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倉島 篤行 先生

結核/非結核性抗酸菌症の名医
複十字病院
臨床研究アドバイザー
専門
呼吸器内科(特に肺非結核性抗酸菌症、肺真菌症)
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2021年09月16日

臨床実績


年間非結核性抗酸菌症入院患者数(病院全体)
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専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
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略歴
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受診しやすさ


初診までの待機期間
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医師指定受診
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外来待ち時間
*** 時間程度

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倉島 篤行先生のインタビュー

公開日:2017年11月13日
早期よりしっかりと治療を! 複十字病院臨床研究アドバイザーからみた非結核性抗酸菌症

倉島先生が医学の道を志されたきっかけや、呼吸器内科を専門にしたきっかけについて教えてください

私が大学の進路を決めるにあたり、むしろメカニカルな物が好きで航空工学を勉強したいと思っていた時期もありました。しかし、父親が漢方医であったので、結果的には医学の道へ進むことになりました。昭和46年に信州大学を卒業し、東京都にある地域病院で、内科をはじめ、外科や麻酔科など様々な科で臨床経験を積ませていただきました。

数ある診療科の中から私が呼吸器内科を専門にしたきっかけは、アメリカのフェルソン先生が執筆した、呼吸器におけるレントゲン診断について書かれた本でした。その本には、レントゲンを読影する際に平面的に読影するのではなく、奥行きを考えた読影法が書かれていました。私がこの本を手にとった当時は日本ではこのようなレントゲンの読み方はまだ広まっていなかったこともあり、とても感激して呼吸器内科という分野に一気に興味を持ちました。

呼吸器内科医の中でも、結核や非結核性抗酸菌症を専門とされている理由について教えてください

私と同年の患者さんであるAさんとの出会いがきっかけです。私のいた地域病院に入院してきたAさんは、私にとっては初めての結核患者でした。Aさんは肺結核のほか、広範な腸結核とその裂孔、汎発性腹膜炎にもかかっていました。Aさんと話をした時におっしゃっていた、「私はもうダメなのだろうか、まだやることがあるのに」という言葉はいまだに忘れることができません。

またAさんとの出会いから何日もたたないうちに、やはり私と同年代のBさんが重症肺結核で入院してきました。Bさんの左肺には結核の大空洞がありました。そしてその空洞は破れ、気胸を引き起こしました。地域病院では手に負える状態ではなかったため、Bさんを結核専門病院に搬送することになりました。搬送時は私も同行したため、搬送先での専門的な治療を見ることができました。

私はこれらの経験から、呼吸器の中でも結核を深めたいと考え、搬送先であった結核専門病院で結核についての知識や技術を深めていきました。その後、次第に結核の患者さんは減り、結核の治療法も確立されました。しかし、その中で非結核性抗酸菌症と言う難治で得体のしれない一群の呼吸器疾患が気になり、良い指導者もあり、そこに没入するようになったわけです。

複十字病院の専門外来で診られる患者さんに多い疾患は何でしょうか

私は非結核性抗酸菌症の専門外来を開いているので非結核性抗酸菌症の患者さんを診ることが多いです。周りの人にうつしてしまうのではないかと心配で受診される方もおられますが、非結核性抗酸菌症は人から人へは感染しません。国内の非結核性抗酸菌症原因菌の約 9割はMAC菌(アビウムコンプレックス菌)であり、水や土を好む細菌です。代表例として、温水を好むためにお風呂(循環式浴槽)のフィルターから検出されることが多く、ごく身近な場所に存在する菌です。

結核の場合、感染しても必ず発病するというわけではなく、発病する人は感染した人の10人に1人といわれています。しかし非結核性抗酸菌症は、発病率など疫学的にもまだはっきりとわかっていないことが多い疾患です。以前は陳旧性肺結核症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺切除後など肺に病気を抱えている男性に多くみられましたが、最近は、特に先行する病気のない痩せ型の中高年女性の患者が増えています。また、MAC菌に感染したからといって必ず非結核性抗酸菌症を発病するわけではありません。

非結核性抗酸菌症の原因の一つには、遺伝子的体質の何かが影響していると考えられています。例えば、親子が別々の家に住んでいるのにも関わらず、親子ともに非結核性抗酸菌症が少なからずあります。また、家族の中で発病している人と発病していない人との遺伝子の差を研究していますが、100以上の遺伝子の差が出てきます。遺伝子の差の中で、どの遺伝子が非結核性抗酸菌症を発症する本当の原因であるかを限定していくことはとても難しく、日本だけでなく世界中で今現在も研究を重ねている分野になります。

日本での非結核性抗酸菌症は増えていると聞きましたが、地域差はあるのでしょうか?

非結核性抗酸菌症は、1975年には人口10万人に対して罹患率(一年間に新しく診断された患者の割合)が約 1.01でしたが、2003年には約 6.3、2014年の全国調査では約 14.7と年々増えています。例えば米国ではフロリダやミシシッピ、ハワイ、サンディエゴ、ニューヨークでも非結核性抗酸菌症の罹患率は増加していると発表されています。いずれも気候がやや湿潤で、水が豊富な環境であることが特徴的です。

また日本においては罹患率増加の理由の一つとして、日本のCT台数は世界トップクラスであり、保険制度や人間ドックなどもあり、患者さんに症状がなくてもCT検査や気管支鏡検査などを行うことで非結核性抗酸菌症が発見されているという特有の環境もあると考えられます。

肺アスペルギルス症と結核の関係性について教えてください

肺アスペルギルス症の原因なるアスペルギルスはカビの一種で、アスペルギルスを吸い込み、菌が肺に定着することで発症します。健康な人の場合は菌を吸い込んだとしても肺の中の換気が十分にできているとともに、免疫機能が正常にはたらいているため発症には至りません。

しかし、結核治療後の患者さんは注意が必要になります。なぜなら、結核は肺に空洞を作る病気ですが、結核の治療が終わっても肺の中の空洞はなくならず、カビを吸い込んだ時に肺の空洞にカビが停滞しやすくなるとともに、肺の中の湿度や温度はともにカビにとっては繁殖に適した環境であるからです。

肺アスペルギルス症は、高熱や激しい咳といった症状を伴います。発症すると薬(抗真菌薬)を使用しても、効果があるのは約60%と言われていて、たとえ薬で症状を抑えられたとしても手術が必要となる場合もあります。また最近は非結核性抗酸菌症の合併する方が増えています。

倉島先生が患者さんを診られる時に心がけていることについて教えてください

非結核性抗酸菌症の患者さんの中には10~30年間も非結核性抗酸菌症とともに人生を送ってきた患者さんがたくさんおられます。そのため、患者さんが私のもとを受診された時、その患者さんの治療過程が今どの時点にあるかを明確にした上で治療やアドバイスを行うように心がけています。

複十字病院臨床研究アドバイザーとしての今後の展望について教えてください

今後も、非結核性抗酸菌症の研究に力を入れていきたいと考えています。研究をよりよいものにしていくために、東京都認可のNPO法人を設立しました。在籍する医師や研究者が1年に4~5回程の頻度で研究会を開催して、意見交換、後輩医師を育てていく場にしています。こういった活動が非結核性抗酸菌症の患者さんのためになればと考えています。

患者さんへのメッセージをお願いいたします

非結核性抗酸菌症は、早期よりしっかりと治療をしていけば肺の大きな空洞も目立たないくらいに小さくすることができます。一人一人に合った治療を一緒に考え、しっかりと治療を行うことで疾患があっても人生を楽しんでいただければと思います。

複十字病院の写真

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