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佐々木 結花 先生

結核/非結核性抗酸菌症の名医
東京病院
呼吸器内科 医長、地域医療連携部長、副臨床研究部長
専門
呼吸器内科(特に結核、非結核性抗酸菌症、肺真菌症)
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2021年06月21日

佐々木 結花 先生から患者さんへのメッセージ

非結核性抗酸菌症、肺真菌症は、今でも不明なところが多く、完治は難しい疾患です。
今の生活を維持することを目標に、少しでも症状が軽くなるように話し合っていければと思います。

臨床実績


年間非結核性抗酸菌症入院患者数(病院全体)
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


初診までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

※医療機関の関係者の方へ

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※掲載情報は独自の調査・分析により収集しており、最新かつ正確な情報になるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。
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佐々木 結花先生のインタビュー

公開日:2020年01月20日
チームで連携し、非結核性抗酸菌症の最適な治療を提案する呼吸器内科の名医

先生が呼吸器内科医となられて、結核や非結核性抗酸菌症をご専門とされたきっかけは何でしょうか?

呼吸器を選んだ理由は、肺という臓器は、人が生まれてから死ぬまでずっと生命活動を維持するために休むことなく働き続けている臓器の一つであり、そのような「肺」に興味をもったことです。医学生の最後のころ、私は呼吸器の病理医になろうと思ったのですが、呼吸器病理の講座におられた先輩に相談し、臨床の経験を最初に積むのがよいかと思うようになり、今もそのまま臨床の世界にいます。病理医は今かなり不足しているので、たまにこの話をすると病理の先生には「なんで病理医にならなかったの!」と言われたりします(笑)。

結核や非結核性抗酸菌症に出会った時のことは、今も鮮明に覚えています。20数年前の後期研修開始日に、初めて自分一人で主治医となった患者さんが4名おられました。2人が肺癌、もう2人が結核の患者さんでした。結核の患者さんの一人は多剤耐性結核患者さんで、前主治医から有効な治療はないと引き継がれました。これは大学病院での研修を終わったばかりの3年目の医師には衝撃でした。翌週、その病院で非結核性抗酸菌症の患者さんの主治医にもなったわけですが、その時に「非結核性抗酸菌症」を知らず、慌てて勉強してみると有効な治療法がないとあり、再び強い衝撃を受けました。

結核や非結核性抗酸菌症がどういう病気なのかは、知らない方も多いと思いますので教えていただけますでしょうか

まず結核と非結核性抗酸菌症は異なる病気としてはっきり区別して理解していただく必要があります。

結核は、空気感染で人から人への感染する病気です。感染しても全員が発病するとは限らず、発病する場合でも感染の数か月後に発病する場合としばらく潜伏してから発病する場合があります。後者の場合、加齢や何らかの病気による免疫低下が契機となって発病することもあります。結核については治療法が世界で共通して定められています。日本においては、2020年までに結核の罹患率が10万人あたり10人を下回ることを目標に対策が進められてきました。それによって全体の患者数はなだらかに減ってきていますが、2018年の時点では罹患率が10万人あたり12.3人と中蔓延国の水準に留まっています。

中蔓延国となっている要因の一つとして日本に働きに来る若い外国の方が増えたこともあります。そのため、これまでは高齢の患者さんが多かったのですが、現在は高齢者だけでなく若年者、外国の方に対する結核対策を進めています。他の結核先進国も同じように周辺の国の影響を受けていますので、これは、ある意味で成熟したことの証と思います。

非結核性抗酸菌症については、まだまだわからないことが多いです。人から人には感染しないということが定説となっていますが、非結核性抗酸菌は現在わかっているだけでも170種類以上あり、その170種類の「生き方」は不明なことだらけです。いつどのように人の体内に入って、どう発病するのか明確にはわかっていませんし、確実に効く薬剤が開発されておらず、治癒に至る治療法も定まっていない状況です。そのため、当院でも行われていますが、薬剤と手術を併せた治療が研究されています。

最近では非結核性抗酸菌の患者数は増加傾向にあり、結核の患者数を上回っていると報告されています。そのため、取り扱った論文も数多く発表されており、関心の高まりを実感しています。

薬物治療の大きな柱となる主要なお薬については大きな進歩はありませんが、2019年2月にはアミカシンという注射薬が保険診療として使えるようになりました。私は日本結核病学会の社会保険委員会委員長としてこちらの保険適用に携わりましたが、実を結ぶまでに3年弱かかりました。しかし、現在でも欧米で使える薬剤が日本では使えないということがまだありますので、学会を通じて世界と同じレベルの治療が日本でも行えるように取り組んでいます。

東京病院の呼吸器内科として、これらの病気にどのように向かい合っているのでしょうか

東京病院では、呼吸器内科・呼吸器外科、呼吸リハビリテーション、画像診断学(放射線診断科)、そして栄養指導などそれぞれの専門家が連携して診療を行っています。そして、循環器、消化器内科、眼科、神経内科など、多くの診療科が院内に存在し、副作用についての相談が容易です。

結核も非結核性抗酸菌症も呼吸筋力が低下すると、喀痰の排泄ができなくなり悪化してしまうこと、活動的な生活を維持していただくため、患者さんにはリハビリテーションの重要性をお伝えしています。

また、東京病院は近代呼吸器病学において、呼吸不全や在宅酸素療法などの呼吸管理の分野で著名な先生方が多くいらっしゃり、呼吸器感染症の領域に加え、これらの分野では長く国内をリードする立場にあります。多摩地区では、ご年配の方が増えてきていますが、呼吸器疾患だけでなく全身を診ることができる病院として各科が広く連携して治療に取り組んでいます。

非結核性抗酸菌症の治療を受ける上で大切なことはどのようなことでしょうか

薬を飲んだり飲まなかったりしてしまうと、菌が薬剤耐性を持つ可能性があるので、治療期間中はきちんと薬を飲み続けることが重要です。もし治療がつらい、負担が大きくて続けられないという場合には相談してください。治療を止めることの問題点を整理し、ご納得いただければ、治療中止も一つの選択肢となります。そのような相談ができるよう、患者さんとの信頼関係を築くことは重要だと考えています。

もう一つは、他人の治療を真似しないということです。非結核性抗酸菌症は菌の種類も多いですし、患者さんの年齢や症状、既往症の有無なども異なります。ネットなどで他の患者さんの治療について知り、その人が良くなったからと、主治医に相談せず治療法を真似してしまう方がいらっしゃいますが、これは良くない場合もあります。治りたいという一心で行ったことが、むしろ身体に負担をかける場合もあります。その方の状態に応じた最適な治療ができるように考えていますので、ご自身の主治医を信頼していただきたいです。

時折、ここだったら新しい薬があるのではないかと期待されて来る方もいらっしゃいますが、国内で使える薬はどこでも一緒ですし、一番大切なことは患者さんご自身が一番楽な形で通院できることです。そのため、なるべく近隣の先生に診ていただくことをお勧めしています。

また、患者さんには病気を正しく知っていただくことが大切だと思います。正しい知識を持った上で治療について少し考える時間を持っていただきたいです。治療は納得していただいてから開始して欲しいですし、医師にとってもわかっていないことが非常に多い病気であるということを知っておいて欲しいです。医師も全知全能ではないですし、現在の医療では限界があることを説明せざるを得ないときもあります。私自身も、時には厳しい言葉にはなってしまうこともありますが、嘘や誤魔化すことなく正しくお知らせすることを大切にしています。それでも、患者さんにとっては医療に見捨てられたと感じてしまうこともあるかと思います。しかし、病気と向き合いながらも生活を維持するために何ができるかということに視点を向けていただきたいと思います。呼吸理学療法や栄養補助、感染防御など集学的な治療をきちんと行い、症状が落ち着いている時には近くの診療所で診ていただき、節目のところで病院に来ていただくと言った形で病診連携を図ることで、患者さんにとって治療を受けながらでも心地よい生活にしていくことが大切です。

印象に残っておられる出来事について教えてください

10年以上前のことですが非結核性抗酸菌症の患者さんのことは今でも印象に残っています。
その方は亡くなる2年程前にセカンドオピニオンで来られ、治療が落ち着いたので元の病院にお戻りになったのですが、1年が経って再びいらっしゃいました。その時はもう有効な薬もなく、酸素投与を行わないと呼吸も維持できない状態だったので、緊急入院となりました。しかし、患者さんのご希望もあり、ご家族とも相談の上で人工呼吸器は使わないことになりました。

その患者さんは、呼吸は苦しい状態でしたが、意識ははっきりしていらっしゃいました。そして、亡くなる前日に「私のフィルムや医療情報をこの病気のことを周囲の方に知ってもらえるように、先生の研究に使ってください。先生には良くしてもらったけど、私は真綿で首を絞められるような毎日を過ごしました。もう多分、長くないけど自分のフィルムや医療情報を使って、こういう病気があるのだということを知らせてください。」と言われました。言葉になりませんでした。治療や理学療法にも熱心に取り組んでいた方で、本当に悔しかったのだと思います。今でもその患者さんのフィルムは保管していますし、しっかりしなければならないと強く思うようになった背景にはその方の存在があります。

最後に患者さんへのメッセージをお願いします

呼吸器の病気は様々な環境の影響を受けるので山もあれば谷もあります。季節の変化を受けて大変なことも多いと思いますが、地域の先生方とうまく付き合ってご自身の生活に合った治療を受けいただきたいと思います。医薬ありきではなく自分ありきで治療していただきたいです。

結核の患者さんにおいては、結核と診断を受けた時に、隔離されるということや旧い時代の印象から、精神的負担を強く感じておられる方もおいでになると思いますが、適切な治療をすれば必ず治る病気ですので、自信を持ってその後の生活をしていって欲しいと思います。

非結核性抗酸菌症の患者さんに向けてですが、医師の努力は絶え間なく続いています。近年は免疫治療や再生医療の話題を聞くと、自分たちのかかった病気だけが医療の進歩が遅れていると感じてしまう方もいらっしゃると思いますが、医療技術の進歩は非結核性抗酸菌症の治療にも応用されると期待されています。今できることを行い、生活を充実させていくことが一番大事ですので、ご自身のかかりつけの先生とよくお話しをして、一緒に歩んでいただきたいです。

以前から診療をしていますが、肺真菌症も大きな問題であることを再度自覚しています。多くの呼吸器の病気に合併してきますので、今病院で何らかの治療を受けていても発症してくることがあります。東京病院の同僚である鈴木純子先生が専門家であり、共に診療に従事していきたく思います。

これからも、東京病院において、多くの呼吸器内科の同僚の先生方(文末の写真は東京病院ほんの一部の先生です。佐々木)と共に診療をしていきたいと思います。

東京病院の写真

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