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勝俣 範之 先生

乳癌薬物療法の名医
日本医科大学武蔵小杉病院
腫瘍内科教授、部長、外来化学療法室室長
専門
腫瘍内科学、がん化学療法、抗がん剤の支持療法
掲載開始日:2019年09月02日
最終更新日:2022年12月23日

臨床実績


年間乳癌化学療法患者数
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


初診までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
-時間程度

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勝俣 範之先生のインタビュー

公開日:2019年12月11日
がんのことならなんでも相談ください。がん治療のよろず相談を請け負う腫瘍内科医の思い

先生が医師を志したきっかけについて教えてください

子供の頃に読んだブラックジャックという漫画がきっかけです。ブラックジャックはメス一本で病気をなんでも治すのでかっこいいなと思い、最初は外科に憧れを持って医学部に進学しました。しかし、医学部に入学してみると、手術で治せる病気は全体のごく一部と言うことを知り、ブラックジャックは漫画の世界の話だったと思い知らされました。そして、それなら手術だけでは治らない病気に関わっていきたいと思い、内科志望に変わりました。

先生が専門科に進まれるようになった経緯を教えてください

卒業後は徳洲会病院で研修を行いました。当時は今のような内科、外科と満遍なく研修するレジデント制度はまだ整備されていませんでしたが、徳洲会病院は当時から全科をローテーションする研修方式が基本でした。そのため、外科から内科、小児科、産婦人科、離島医療も経験しました。どの診療科もやりがいはありましたが、当初からの志望に沿って研修後は内科に進みました。

腫瘍内科に興味を持ったのは、ある肺がんの患者さんがきっかけになります。当時は患者さん本人にがんの告知を行わないことが多く、その患者さんにも告知をしないまま抗がん剤治療を行なっていました。そのため、徐々に患者さんが治療を行っているにも関わらず、病状が良くならないことに疑問を抱くようになり、私はその方から本当はがんなのではないかと何度も尋ねられました。周囲の先生たちはそれでもがんの告知には反対していたのですが、私は到頭、こっそりと患者さんに本当のことを伝えました。そのことで、患者さんは私を信頼してくれるようになったということがありました。
その頃、欧米の文献を読むなかで、海外ではがんの治療を専門とする腫瘍内科医と言う専門医がおり、患者さんにはインフォームドコンセントを行った上で治療を行っていることを知りました。そして、がんの告知すらせず、腫瘍内科医も存在しない日本のがん医療は大変遅れていることを痛感しました。そして、がん治療に関してしっかり勉強したいという思いから、国立がんセンターで研修することにしました。
しかし、当時の国立がん研究センターにも腫瘍内科という科は有りませんでした。内科は血液内科、消化器内科、呼吸器内科、乳腺内科とありましたが、それ以外の臓器では主に外科医が行っていました。また、乳腺内科はありましたが、術後の化学療法は外科医が行っており、乳腺内科では再発乳がんのみ診ていました。私は腫瘍内科として抗がん剤治療に主体的に関わりたかったので、乳がん術後の補助療法や通常内科で診ない婦人科がんの化学療法や原発不明がん、肉腫、胚細胞性腫瘍などの化学療法も内科で行うようにして、乳腺・腫瘍内科をスタートさせました。
当時は学会に行っても外科医が多く、抗がん剤治療に関して統一した治療マニュアルが整っていなかったため、外科の先生とは対立もしばしばありましたが、徐々に治療する患者さんの対象を広げていきました。

がん診療レジデントマニュアルもこの頃にまとめられたのですか?

がん診療レジデントマニュアルはレジデントのレジデントによるレジデントのためのマニュアルです。当時の日本には科学的根拠に沿った抗がん剤治療の教科書はまだまだ少なかったので、欧米の文献などを参考にエビデンスに則った教科書を作ろうと、私がチーフレジデントをしているときにまとめました。出版社には最初は一蹴されてしまいましたが、乳腺・腫瘍内科の上司だった渡辺亨先生を通して、当時の国立がんセンター総長であった阿部薫先生に出版社の上層部と掛け合っていただき、出版することができました。
第1版は私と他のチーフレジデント合計3名で書き上げましたが、第2版からはレジデント達が分担して執筆をしています。

現在の先生の元にはどのような患者さんが多くいらっしゃいますか

前職で乳がんや婦人科がんをメインで見ていたので、乳がん、婦人科がんの方々は多く来られますが、それ以外にも様々ながんの患者さんがいらっしゃいます。白血病だけは白血病を専門に診ている先生に紹介しますが、それ以外のがんについては、消化器がん、肉腫、胚細胞性腫瘍、神経内分泌腫瘍など、何でも診ます。
抗がん剤治療から手術や放射線療法、緩和ケアなどあらゆる治療法の中から目の前の患者さんにとって最善の治療法を提案し、必要であれば他院へ紹介状も書きます。また、これまでに他院で治療方針を決め兼ねて来られる方もいらっしゃるので、そう言った場合には治療方針を決めていくまでに何度か面談を重ねていくこともあります。

患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

まず、患者さんとの信頼関係の構築を大事にしています。信頼関係が構築できないことにはこちらが意図していることがうまく伝わりませんし、患者さんの中で既に誤った情報がインプットされてしまっている場合には、信頼関係なくして修正することは困難だからです。今は情報が氾濫する世の中ですので、何が正しい情報か迷うことも多いかと思います。そう言った中で自身にとって都合の良い情報をつい信じてしまう方もいらっしゃいます。そう言った際に正しい知識を伝えるためにはやはり信頼関係が構築できていないと難しいのです。
そのため、初回の診療では患者さんの思いをしっかり聞けるよう30分〜1時間程かけることが多いです。また、この方はなぜそう考え、そのような発言やお気持ちに至ったのか、背景に何を抱えていらっしゃるのか、と考えながらお話を伺います。それを踏まえた上で、現在のお身体の状況や治療の必要性について説明するようにしていきます。ナラティブ(物語的)なコミュニケーションとも言われますが、患者さんも治療を受けながら日々迷っていますし、辛くて逃げ出したい気持ちに理解を示し、寄り添いながら謙虚な姿勢で接することを心がけています。

ナラティブなコミュニケーションをとる上で大切なことは何でしょうか?

サイコオンコロジー(精神腫瘍学)といってがんに直面した患者さんやご家族の方の精神面について扱う学問があります。アメリカで確立され、日本では国立がん研究センターの内富先生が取り入れて広がってきた考えです。以前は、私自身、コミュニケーションと言うものは個々人が元々持っているスキルだと思っていました。また、自分は上手くコミュニケーションが取れている、患者さんに愛情を持って接していればそれで良いと思っていました。それでも、サイコオンコロジーと言う領域に興味はあり、セミナーに参加してみたところ、自分がいかにうまくコミュニケーションを取れていないかがよく解りました。サイコオンコロジーではがん患者さんと向き合う際に共感的・探索的な対応をしていくのですが、そういった対応をしたことが今までなかったからです。セミナー中はロールプレイも行うのですが、模擬患者さんからの問いかけに言葉がうまくでないこともありました。そのため、セミナー後はすぐに実践できるよう問いかけに対する回答例などを紙に書いて、診察に臨むこともありました。最初はぎこちないこともありましたが、実践を重ねるごとにこれらの技術は上達していくことを実感しましたし、何より患者さんの対応が全く違いました。看護師さんからも「先生、最近患者さんに対して優しくなりましたね。」なんて言われました。コミュニケーションは訓練によって上達できる技術だと感じました。

近頃はエビデンスに基づいた医療(EBM)や対話に基づく医療(NBM)と言った言葉が使われることがあります。EBMとNBMを対立するものとして捉える方もいますが、両者はどちらも必要な概念で、補い合うことが必要だと考えています。
EBMは患者さんにとって必要最低限な考えだと思っています。EBMだけ優れていても、患者さんの気持ちは離れてしまいますし、それでは患者さんを治療することは出来ません。しかし、NBMだけが優れていても、患者さんの信頼関係は得られるかもしれませんが、科学的根拠を欠いた医療はまやかしの医療になってしまいます。
患者さんの治療のためには、EBM、NBMのどちらかに偏重するのではなく、EBMとNBMと統合した医療ができればと思います。NBMは患者さんの数だけ答えが違いますので奥が深いと思っています。

今後の展望について教えてください

がん患者さんが増え、医師の業務量が増えてきたこともあってか、私が医師になった当時よりも医師・患者関係が希薄になってきている気がします。腫瘍内科医は、他科の先生方が時間を取れない分、患者さんと向き合い、納得いく治療をとことんまで話し合い、患者さんとの関係性を大切にするのも腫瘍内科医の役割の一つです。
また、腫瘍内科医の数や質の向上には早期からの教育が大切だと考え、こちらの大学に来ました。今後は腫瘍内科医のボトムアップにも尽力していきたいです。

患者さんに対してメッセージをお願いいたします

腫瘍内科医は抗がん剤治療に関するご相談はもちろん、抗がん剤治療以外の治療についても専門家としてご相談やアドバイスに乗ります。がん治療のコーディネータの役割も担っております。がんのよろず相談を受け付ける、そんなイメージで考えて頂ければと思いますので、がんのことで困ったらなんでもご相談ください。

腫瘍内科医という専門医を知っていただきたいと思いますし、まだまだ数が少ないので応援して欲しいなとも思います。

編集後記

勝俣先生は腫瘍内科医として日々がん患者さんと接しておられます。がん治療の発展は目覚ましく、治療の選択肢も増えてきているため、どうすれば良いか悩まれる方も多いかと思いますが、そんな患者さんの思いを受け止めるために丁寧に時間をかけて診療を行っています。深く豊富な知識や経験をお持ちの勝俣先生を受診することで、自分のお気持ちの整理やがん治療に対しての方針を決定する一つの道標になるかと思います。

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住所:神奈川県川崎市中原区小杉町1丁目396
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