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斉田 芳久 先生

大腸がん手術の名医
東邦大学医療センター大橋病院
副院長、外科教授、医療安全管理室長、治験事務局長
専門
大腸外科、ストーマ外来、内視鏡外科、消化器内視鏡
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2021年06月16日

臨床実績


年間大腸がん手術数
***

専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


手術までの待機期間
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医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

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斉田 芳久先生のインタビュー

公開日:2018年06月18日
一人ひとりの辛さと向き合い、それぞれに合った優しい大腸がん治療を

斉田先生は医学生時代の留学先であるアメリカで外科医に感銘を受けて外科に進まれたとのことですが、外科のなかでも消化器外科をご選択されたのはなぜでしょうか?

私が消化器外科を専門としたのには3つの理由があります。1つ目は、がんの発生部位でいちばん多いのは胃や大腸などの消化器なので、たくさんの患者を救えると思ったことです。2つ目には胃がんや大腸がんはよほど進行していない限りは手術などの治療を行うと元気になって退院していく患者さんが多いので、患者さんが亡くなる場面をあまり目にしなくてすむことですね。担当している患者さんが亡くなるとすごくつらいんです。そして最後の理由は、大腸がんの内視鏡治療のエキスパートである工藤進英先生(当時秋田赤十字病院勤務)に師事したという経歴も影響しています。内視鏡治療の低侵襲性を最も活かせる消化器領域で、ライフワークとして患者さんに優しい医療を追求したいと思ったのです。

弊社では、斉田先生を大腸がん手術の名医として掲載させて頂いております。貴院における大腸がん治療の特徴などがあれば教えてください

今でこそ腹腔鏡下手術は全国の病院で実施されていますが、当院は20年以上前から腹腔鏡下手術に取り組んできた、国内のパイオニア的存在です。病院の理念である「患者さんに優しい医療の実践」を外科として実現するため、腹腔鏡下手術や内視鏡治療に加えて大腸ステント治療(※狭くなった大腸内腔を、メッシュ構造をした筒状の医療器具で広げる治療)を行っている点は当院の大腸がん治療の特徴と言えます。

また、当院の大腸グループの医師4名は全員消化器内視鏡の専門医資格を取得しておりますから、普通は消化器内科で行われることが多い大腸内視鏡検査や治療・処置を消化器外科でも行っています。ですから大腸がんにおいては、基本的に術後の検査で主治医が変わらないという点も特徴のひとつです。他科とコラボレーションして意見を仰ぎつつ、内視鏡治療、腹腔鏡下手術、開腹手術、化学療法そして緩和医療と、幅広い治療方法を同じ主治医が責任をもって行っていきます。主治医が変わりませんから、構築された信頼関係のもと、患者さんは安心して治療に専念することができるのではないかと思います。

斉田先生が大腸がん治療において気をつけていらっしゃることは何でしょうか

できるだけ患者さんに安心して治療を受けてもらえるようにすることと、患者さんの希望にできるだけ沿うことですかね。患者さんが治療についてしっかりと理解することは安心感につながると思うので、患者さんにお渡しする治療に関するパンフレットは私自らが作成しています。また、患者さんのご希望をできるだけ叶えるため、ガイドライン以外の治療の選択肢もそろえるようにしています。例えば、「強い抗がん剤は心配だけれど、何も治療しないのも心配」とおっしゃる患者さんには、ガイドラインには載っていない弱い抗がん剤を用いた治療を提案するなども行っています。

斉田先生は大腸ステント治療に関する研究に先駆けて取り組まれてきただけでなく、大腸ステント安全手技研究会の設立などにも携われてきたと存じております。大腸ステント治療のどのようなメリットに着目されて国内での普及に力を入れ始めたのか、きっかけも併せてぜひお聞きしたいです。

大腸がんには重篤な合併症がたくさんあります。代表的なものは、大腸の一部が閉塞して便が排出できない状態になってしまう大腸閉塞です。大腸閉塞になると、人工肛門を造設する緊急手術を行うことが多く、患者さんの生活の質(QOL)は下がってしまいます。さらに、ただでさえ大腸は細菌の多い臓器であるうえ、緊急手術の場合は便を前もって排出して大腸をきれいな状態にするという手術の前処理を実施する猶予がないため、術後の感染症のリスクが非常に高まります。大腸ステント治療を導入すれば、大腸閉塞やそれに続く人工肛門造設の緊急手術、術後感染症を避けることができるというメリットがあります。

しかし、ステント治療は、食道、胆道、気道、血管などの狭窄に対する治療ではよく用いられてきたのですが、大腸では最近まで用いられてこなかったのです。その原因は、大腸は曲がりくねった構造になっており、ステント留置が難しいとともに腸壁の穿孔リスクが高いと考えられていたことと、2011年以前は大腸におけるステント治療が保険適応ではなかったことにあります。ですが、やはりリスクがある一方メリットも大きいので、食道に用いられる金属ステントを大腸用に改造し、金属ステント留置による腸閉塞の解除に挑戦しました。結果、大腸閉塞によりつまっていた便があっという間に排出され、患者さんはご飯を食べることができるようになっただけでなくお腹の張りによる苦痛も解消され、劇的な自覚症状の変化に非常に喜んでくださいました。これが大腸ステント治療の普及に力を入れ始めたきっかけです。

大腸ステント治療の適応について教えて頂けますか?また、大腸ステント治療は比較的新しい治療法であるため、メリットもある一方でまだまだ治療の方針が不確定である側面もあると思われます。議論の余地が多少なりともあるうえでも、このような患者さんには強く大腸ステント治療を勧めたいという斉田先生のお考えがあれば伺いたいです。

進行した大腸がんにより大腸の内腔が狭い状態(大腸悪性狭窄)が引き起こされた場合は、大腸ステント治療の適応です。大腸ステント治療は、待機手術までの間の大腸悪性狭窄による症状緩和と緊急手術回避を目的とした治療(BTS)と、根治手術ができない状態になった患者の大腸悪性狭窄による症状の緩和を目的とした治療(緩和治療)に分けられます。

BTSでは、ステント留置が長期的な予後に与える影響を考慮しなければならないので、まだまだ研究を積み重ねていく必要があると思っています。ヨーロッパに比べて日本のステント留置の成功率は非常に高く失敗することはほぼないと言えますが、ステント留置の際に腸壁に穴が空いてしまうとがんの再発リスクが上がるとの報告もあります。ですから、現在国内におけるステント留置手技のさらなる安全性とともに、患者の予後についてのデータを蓄積している最中です。

緩和治療では、大腸ステント治療を強く勧めます。内視鏡で大腸の閉塞部位を確認した後ステントを留置するまでは10−30分程度しかかからず、大腸ステント留置は速やかかつ非常に低侵襲な治療です。治療の後は、ご飯を食べることができるようになったり、腹部の張りなどの苦痛がなくなったりと、患者さんのQOLは劇的に改善します。長期的にみると、大腸ステント治療を受けたうちの1−3割程度の患者さんにおいて、大腸ステント留置後にステントがずれたり大腸が再閉塞したりするなどの合併症が発生しますが、負うリスクよりもQOLの改善という得られるメリットの方が大きいと考えています。

ちなみに、大腸悪性狭窄の患者さんのなかでも大腸ステント留置の適応外となるのは、大腸が切迫破裂した患者さん、狭窄部位が長かったり複雑だったりする患者さん、炎症を起こしていたり出血傾向にあったりする患者さんなどです。また、直腸がんについては、場合によっては人工肛門造設を勧めています。

大腸ステント治療を希望されて斉田先生のセカンドオピニオン外来を受診される方も多いことと思われます。斉田先生のセカンドオピニオン外来受診を考えてみてもよい患者さんは、特にどのような患者さんでしょうか?

人工肛門を造らなければならないと医師から説明された患者さんや、手術をしたくない患者さんでしょうか。そのような患者さんには、手術をする場合と手術をしない場合についてきちんと説明して、患者さんが納得して意思を明確にできるまで待って、患者さん自身に治療を選択してもらうようにしています。大腸ステント治療や2~3か月ごとのフォローアップを行うなかで、途中で「やっぱり手術をしたいです」とおっしゃる患者さんも多いです。そのような場合にも、できるだけ患者さんの希望に沿えるよう責任をもって手術を行っています。

とはいえ、手術を受けるかどうかといった治療法の選択以前に患者さんにとって重要だと思うことは、担当になる医師と馬が合うかどうかです。はっきりと物事を言う先生に対して苦手感情を抱く患者さんもいれば、物腰が柔らかな先生に対して「はっきりしないやつだ」と思う患者さんもいて当然です。自分に合う医師が見つかれば、あとはその医師を信頼して治療に取り組んでいくだけです。私はどちらかと言うとはっきりものを言うタイプの人間ですが、もし私に相談してみたいことがあるときにはぜひセカンドオピニオン外来を受診してみてください。

斉田先生は、手術に関する身体的苦痛内容についてアンケート調査を行うなど「患者さんに優しい外科治療」を追求していらっしゃると伺っております。斉田先生が考える「患者さんに優しい外科治療」とはズバリ何でしょうか?

苦痛に感じる内容は人それぞれなので、患者さんにとって何が苦しいのかをきちんと調べて、手術に伴う苦痛をとってあげることが「患者さんに優しい外科治療」だと考えています。

アンケートの結果では、手術後に患者さんが最も苦痛に感じていることは術創部の痛み、次が尿道カテーテルの痛みです。そこで手術による傷をできるだけ小さくするため、内視鏡治療やロボット手術で低侵襲を追求しています。また更なる低侵襲を達成するため、NOTES(※内視鏡を口・肛門・膣などから挿入後、管腔壁から体腔という経路で目的臓器に到達することで、皮膚や筋肉を切開することなく診断・処置を行う手技)やLECS(※内視鏡治療と腹腔鏡治療を同時に行い、低侵襲で腫瘍切除を行う手術法)など新しい術式にも力を入れています。

尿道カテーテルの痛みの解決に向けては、尿道チューブよりも膀胱ろう(※下腹部の皮膚を通して細いチューブを膀胱に直接挿入し、尿を排出すること)の方が痛みは少ないのではないかと考え、研究を進めている最中です。尿道カテーテルは外径が5mm程度ですが、尿を排出するためにそこまでの太さを確保する必要は本来ありません。ですから、膀胱ろうには2mm程度の太さのチューブを用いています。

人には、”痛みが消えたら痛みが生まれる”という面があって、尿道が痛くなくなったら次は喉が痛いなどということがどうしても起こってしまいます。「患者さんに優しい外科治療」のゴールがどこになるのかは正直よくわかりませんが、患者さんが楽になることをとことん目指したいですね。

斉田先生の今後のご展望について伺ってもよろしいでしょうか

当院は2018年6月20日に新病院に移転します(※取材日は2018年6月7日)。私は引っ越し作業のリーダーですから、まずは無事引っ越しを終わらせることに全力をかけています。挿管して呼吸の管理を行っている患者さんも安全に運ぶため、何度もシミュレーションをしています。新しい環境で働くことができるので、職員のモチベーションも上がっていますよ。

今後は、新しい病院で外科としての優しい医療、心のこもった医療を実践しながら、次の世代の医師を育てていければいいですね。

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