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きっかけは 小さい頃に入院した際に受けた診察です。入院したのは小学生の頃なので、はっきりとした記憶が残っているわけではないのですが、その時の先生から受けた診察が今でも非常に印象深く残っています。
入院では、背中に皮膚移植をするといった治療を受けました。治療期間はだいたい1ヶ月ぐらいだったのですが、その入院中に先生から処置を受けるとき、私がその処置を非常に嫌がったみたいなんですね。嫌がる私に、先生が患部の様子を見せてくれようとして、壁に備え付けてある大きな鏡をわざわざ取り外して、背中の様子を見せてくれました。
そのように患者と真摯に向き合おうとする先生の熱意が、幼い私には非常に印象深く残りました。なかなかそこまでする先生っていないと思うんですよね。その時の体験から「医者ってすごい熱意や情熱を持って人と向き合っている職業なんだ」と強く感じ、自分も同じような医師になりたいと思うようになりました。医師となった今も、その時の先生に感じた行動力や熱意を持って 診察にあたるよう、常に心に留めています。
ちょうど研修医の時期が終わる頃に『この先どの科へ進もうか』と、とても悩んでいたのですが、麻酔科の先生からお誘いを頂きました。外科系に進みたいとだけは考えていた私にとっては麻酔科も選択肢の一つでした。当時の麻酔科には、 医師として尊敬する先輩が多く在籍していたことや、「悩んでいるならとにかく2年間麻酔科で勉強してみないか」と言われたことを受けて、麻酔科への入局を決めました。
麻酔科医として診療にあたるうちに、麻酔科は自分にとても合っていると感じました。というのも、手術中の患者さんは当然意識がない状態のため、自分で自分の身を守ることが出来ません。麻酔科医は患者さんが安全に手術を終えられるようにサポートするのが使命であり、縁の下の力持ちとして患者さんを『守る』医師なのです。そこが麻酔科医のやり甲斐だと思っています。
また麻酔科は様々な科と連携する機会が多い診療科です。そのため、様々な病気について幅広い知識を要求されます。知識を広く深く習得し、患者さんに還元できるという点も麻酔科の魅力ではないかと思います。
「痛み」を伴う全ての疾患が対象と言えます。もちろん急性心筋梗塞や急性胆嚢炎など、発症急性期の病気は別ですが、慢性的な病気による痛みは全て対象になります。具体的な病名でいうと脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、帯状疱疹などですね。
痛みというのは主観的な要素が強いものです。レントゲンなどの画像上では特に所見を認めなかったとしても、患者さんが痛いと言えばそこに痛みは確実に存在するのです。腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛では、痛みにより歩くことすら出来なくなってしまう人もいます。高齢の方ですと痛みが強くなってしまうことで、外へ出歩けなくなってしまい、精神的にも塞ぎ込んでしまいます。ペインクリニック外来はそのような患者さんの痛みを和らげることで、患者さんのメンタル的な部分も治療することが出来ます。
痛みというのは、完全に消し去ることがなかなか難しいものです。しかし、痛みが緩和されることで、日常生活が劇的に改善することもあります。私の目標として考えていることが、「痛くても笑顔で過ごせるようになる」ということです。
ペインクリニック外来の代表的な治療方法に「神経ブロック」があります。これは痛みの原因となっている部分の近くに「局所麻酔」と呼ばれる鎮痛剤を注射し、神経を一時的に麻痺させることで痛みの伝達を抑制させ、痛みを少なくするという治療方法です。先ほどもお話しした、腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛の患者さんへこの治療を行うと、症状が驚くほど改善されることがあります。神経ブロックを行った方で、効果が現れるのが早い人だと病院から帰る際にはもう治療効果を実感する、という方もいらっしゃいます。
神経ブロックというのは、1回のみで完結する治療ではなく、繰り返し治療を受ける必要があります。痛みが重度の方ですと、初めは2~3日に1回治療を受けていただく必要があります。ですが、治療を継続することで痛みは徐々に改善し、治療の間隔も徐々に空くようになります。痛みのコントロールを行うことで、日常的に感じる痛みの度合いを下げることが出来るのです。
痛みの度合いを下げることで、今まで歩けなかった人が歩けるようになり、歩ける距離も徐々に伸びていきます。そうすると日常生活が大きく変わり、活動的な毎日を過ごすことができます。痛みとの付き合い方を知ってもらうことで、その人がその人らしく生活できるようになる、と私は考えています。
麻酔科もそうですが、順天堂大学医学部附属練馬病院は医師同士の仲が非常に良いのが特徴だと思います。その理由に、病院の構造が挙げられます。通常病院には医局というものがあり、それぞれ独立した部屋となっているものですが、当院は全ての診療科の医局が繋がっているような構造になっています。診察室も『うなぎの寝床』のような隣合った構造になっているため、他科の先生へ相談しやすい環境であることが特徴です。
このように、病院の構造的な面からも、他の診療科の先生と協力しやすく、連携という部分は非常に強い病院だと思います。私もこれまで複数の病院で勤務してきましたが、このような病院は全国的にも珍しいのではないでしょうか。各医師も診療のしやすさを実感しているようで、当院を1度離れた先生が再び戻ってくるということが多いように感じます。
当院は大病院ほど大きくはなく約400床ほどの規模なので、各科の連携スピードが早く、円滑な治療を行うことができます。それも患者さんにとって良い医療につながるのではないかと思います。
私個人として考えているのは、ペインクリニック外来と地域の病院との連携をより深めていきたいということです。ペインクリニックは全国的にも徐々に増えてきているものの、まだ数が少ないというのが現状です。私の診察を受けに来られる患者さんの中にも、色々な病院を経て私の元を訪れる方が多くいらっしゃいます。できるだけ早期に患者さんの痛みを緩和して、生活を整えてあげるためにも、連携強化は重要だと考えています。
また私は緩和ケアも担当してます。がんの領域だと治療法や緩和ケアについての情報共有など、多くの医師、看護師やメディカルスタッフが集まって行う「学習会」や「オンコロジーカンファレンス」などを実施したりしています。色々な取り組みを通して、地域全体としてより良い医療が提供できるように今後も継続して実施していきたいと思います。
痛みで悩んでいる方は是非当院に来ていただければと思います。当院は完全予約紹介制の病院のため、紹介状を持参していただく必要があります。そのため、地域の病院に1度かかっていただく必要がありますので、その点だけご留意ください。
診療予約の状況としては1年を通して波があるので、はっきりしたことは申し上げられませんが、タイミングが合えば翌日に予約が取れることもあります。痛みで長くお悩みになる前に、ぜひ当院のペインクリニック外来をご検討いただけばと思います。
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