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井上 晴洋 先生

食道がん手術の名医
昭和大学江東豊洲病院
消化器センター長、教授、消化器外科診療科長
専門
消化器内視鏡診断学・治療、食道・胃外科学
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2022年07月28日

臨床実績


年間食道がん手術数
***

専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


手術までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
~2時間程度

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井上 晴洋先生のインタビュー

公開日:2018年02月01日
より良い医療を行うために、常に自分を見つめ直す 食道内視鏡手術の名医

井上先生が医師を志したきっかけはどのようなものでしょうか?

医師を目指した理由はいろいろありますが、私が小学生の頃に父が進行胃がんで亡くなったことが大きなきっかけです。父は大学病院に入院していたのですが、手術を受けた後も状態が思うように改善せず、一時退院も出来ずに息を引き取ってしまいました。

当時の私は、父のお見舞いに行くために放課後は毎日病院に通っていました。その時に感じた大学病院の独特な雰囲気と、消毒液の匂は今になっても印象深く記憶に残っています。多感な小学生時代に同世代の友達が滅多に経験しないことが続いたというのも、病院や医師を意識した理由の一つだと思います。ですが、面会に通っている中で何より一番印象深く覚えていることがあります。それは執刀医の先生に言われた言葉です。

大学病院の渡り廊下を母と歩いていた時に、たまたま執刀医の先生が向こうから歩いてきました。その時、先生が私たちに話しかけてきてくれました。先生は私の目線までかがんでくれて、私の頭を撫でながら「君も大きくなったら医者になりなさい」と言ってくれました。その思い出は、今でもはっきりと覚えています。先生は、父がこのまま亡くなってしまうことがわかっていたのだと思います。当時は言われた言葉をそのまま聞いていただけでしたが、後々になってその時の言葉の意味を考えてみると、『大きくなったら医者になって、父親と同じ病気で悩んでいる人を救ってあげなさい』と私に語りかけてくれていたのではないかと思います。医者として救えない命があったことに対する悔しさや、私への気遣いなど、その一言にはきっと色々な意味が込められていたのでしょう。

井上先生が外科領域をご専門とされるようになった経緯を教えてください

研修医は様々な診療科を回って経験を積むのですが、どの診療科でも非常にやり甲斐や面白さを感じることが出来ました。ですので、この先どの診療科で経験を積んでいくかは非常に悩みましたが、自分が進むべき方向性を考える上で、自分の強みや特性が合致する領域が一番いいだろうと思ったのです。

私は小さい頃から手先が器用な方でした。図工の授業などで何かを作ったりするのも好きでしたし、 細かい作業がとても楽しかったのです。あと私は、細かい作業をする時に手先が震えないという特技みたいなものがありました。もちろん意識をしていないときは多少震えることもあるのですが、意識をして震えを止めようとするとピタッと止められるんですよ。こういう自分の特徴は外科に向いているのではないかと思いました。

外科医というのは、医学知識が豊富なだけでは診療が成り立ちにくい部分があります。手術ではやはり細かな動作を求められますし、どの部位を切開するか、どの部位とどの部位を縫合するか、など、実施した処置の結果が患者さんのその後の生活に大きく現れてきます。ある種のデザイン的な感覚も必要になってきますし、外科医として求められる素質と、自分がもともと得意にしていた部分が合致しているのではと思い、外科で経験を積んでいこうと決めました。

井上先生が開発されたPOEM(経口内視鏡的筋層切開術)について、術後の経過なども含めて簡単に教えていただけますでしょうか

POEMはアカラシアという病気に対する治療方法の一つです。内視鏡を使用して、肥大した食道の筋肉を切除し、食道から胃への通りを良くするという治療ですね。POEMの利点はまず外見に傷が残らないことです。従来は腹腔鏡を使用して治療を行っていましたが、それですと腹部を何箇所か切開しなければなりません。

POEMは胃カメラのように口から内視鏡を挿入して治療を行うので、余計な傷も少なくて済みますし、術後の回復も非常に早いです。治療を受けた翌日には水を飲むことが出来ますし、通常通りに回復していけば2日目からは食事も採れ、手術後4日で退院することが出来ます。またPOEMは治療の適応となる年齢が、非常に広いのも特徴です。一応10歳以上と想定してはいますが、私が過去に執刀した患者さんは下が3歳から上は89歳まで、非常に幅広い年齢の方に治療を受けていただいています。

私がPOEMを実施するようになって、今まで1,500人以上の方に治療を行いましたが、術後に重大なトラブルとなってしまったケースはありません。比較的新しい治療方法でもあるので、患者さんの中には心配される方もいらっしゃいますが、手術を受けられた方は皆さん「もっと早く受けていればよかった」とおっしゃっていただけます。今ではアカラシアの治療として確立された方法(保険診療)であるため、アカラシアでお悩みになっている方は、ぜひ一度検討していただければと思います。

昭和大学江東豊洲病院の消化器センターは「消化器早期がんの拾い上げと低侵襲治療」を特徴の一つとされていますが、 早期にがんを発見するために患者さん側でできることなど、何かあれば教えていただけますでしょうか

早期がんというのは、自覚症状がないのが特徴です。自覚症状があって受診された際には、すでに進行がんの状態となってしまっていることが多いので、やはりがんを早期に発見するためには定期的に検診を受けていただくことが非常に大切だと考えています。40〜50代になったあたりから、胃カメラを1年に一回、大腸カメラは2〜4年に一回受けていただくと、早期がんのうちに発見できる可能性が非常に高まります。進行がんは治療も大変になってしまいますし、ぜひしっかり検診を受けて、早期発見に努めていただきたいと考えています。

ですが「無症状の状態で検診を受ける」というのは、そもそも検診に対するモチベーションが湧きにくいということも理解しています。また、胃カメラなどの検査は「苦しい」という部分が非常にネックになってきますし、苦しいことを定期的に続けられる方は、なかなかいらっしゃらないと思います。

そこで、検診を定期的に受けていただくために、当院では「苦しくない検査」を実施しています。むしろ苦しくないを超えた「受けて気持ちのいい検査」とも言えると思います。

快適に検査を受けていただく上で重要になるのが、やはり麻酔薬です。当院で使用する麻酔薬は「麻酔からの回復が早く、覚めがいい薬剤」を使用しているので、検査を受けられた皆さんから「今まで受けたことある検査とは全然違う」と 言っていただけます。当院で胃カメラを受けられた方の中には「検査後の気分がいいので、明日もまた受けたいよ」と言ってくださる方もいらっしゃいましたし、使用する薬剤を変えるだけで検査の苦しさをなくす事ができるのです。

検診はどこの病院も同じ、と思われる方が多いと思いますが、やはり施設によって大きな違いがあります。がん検診を受けようと思われている方は、ぜひ専門施設での検査を検討してみていただければと思います。

井上先生が考える名医とは?

自分自身を客観的に捉える事ができ、患者さんからの言葉を素直に聞いて、次に行う治療を今よりも良いものにするために自分に何ができるか、と常に考えられる事がやはり重要です。今現在様々な経験を積んでいる最中の若い先生も、謙虚に自分を見つめ、常に現状を改善することができる人であれば、いずれ名医と呼ばれる医師になると思いますし、そういう素養というのは、名医と呼ばれる先生全員に共通しています。

私も長い経験を積んできたので、若い先生に指導することも多くありますが、私は自分自身を「35年目の研修医」だと思っています。今でも自分に足りない部分が色々あると感じますし、自分自身の引き出しにはない技術を学ぶために、たとえば他の診療科の先生の執刀を見学させて頂く機会を持つようにしています。

また自分が行った治療は映像に残して、あとで自分の治療を見直す機会も作っています。アスリートの人が自分のプレーを見返す、というのに近いと思います。一人一人違う患者さんへ治療を行い、自分の執刀した映像を何度も見直し、患者さんから受けた言葉と照らし合わせながら学ぶというのは、次への改善点を考える上で非常に重要です。そういう部分で考えると、医師はアスリートに似た部分が非常に多いのではないでしょうか。

医師という職業に『これでよい』という終わりはありません。”よりよい医療を目指して、アスリートのように研鑽し続ける!“しかないと思います。患者さんからの言葉をこれからもしっかり受け止めて、研鑽を積んでいきたいと思っています。

昭和大学江東豊洲病院の写真

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勤務先医療機関

住所:東京都江東区豊洲5丁目1-38
電話番号:0362046000