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杉谷 巌 先生

甲状腺がんの名医
日本医科大学付属病院
内分泌外科教授・部長
専門
甲状腺・副甲状腺の外科。とくに、甲状腺癌の診療。微小癌から進行癌まで
掲載開始日:2019年05月20日
最終更新日:2019年07月31日

臨床実績


年間甲状腺がん手術数
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


手術までの待期期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
1時間程度

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杉谷 巌先生のインタビュー

公開日:2019年07月31日
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甲状腺がんは怖くない!データを基に、患者さんの不安を軽減し、最小限の治療で良い結果を出す

先生が医師を志したきっかけについて教えてください

子どもの頃は体が弱く、小学4年生の時には1学期ずっと入院して学校を休むこともありました。入院中、急にお腹が痛くなり先生を呼んだことがあったのですが、先生の顔を見た時に安心したのか、痛みが引いてきて、その時に医師という職業に憧れ、自分もなりたいと思うようになりました。
柳田邦男の「がん回廊の朝」を読んで基礎医学に関心を持ったこともありますし、高校生の頃は心理学に興味があり、精神科や心療内科に関心を持ったこともあります。しかし、様々な診療科を見ていく中で最終的に残った選択肢が外科でした。当時、生体肝移植が始まった頃で、肝臓外科に興味が湧き、母校である東京大学の第二外科(現在は肝胆膵外科・人工臓器移植外科)に入局することにしました。

その後、甲状腺外科を専門にするようになったのはなぜでしょうか

甲状腺外科を専門にするようになったのは、恩師である藤本 吉秀先生との出会いがきっかけになります。藤本先生は東大の第二外科のご卒業で私の先輩にあたるのですが、日本で初めて内分泌外科の講座を立ち上げられ、国際内分泌学会の会長も務められた先生です。
藤本先生は東京女子医科大学を定年退職された後、癌研究会附属病院(現在はがん研有明病院)の顧問に就任されました。同病院は当時、東大の第四内科(現在は腎臓・内分泌内科)のご出身の尾形 悦郎先生が副院長に就任された頃で、尾形先生が藤本先生と親交が深かったことからお声掛けして、週に1回顧問として来てもらうことにしたそうです。というのも、甲状腺は身体の浅い部分にあるため、甲状腺の手術というと当時は一般外科や耳鼻咽喉科の先生が割と気軽に執刀するような立ち位置にありました。尾形先生は副院長として就任した際に、ここには甲状腺がんの学問がないと思い、藤本先生に来ていただくことにしました。その後、私にも尾形先生から直接、藤本先生が来るからお前も来ないかとご連絡をいただきました。私も、こんな話は運が良い!と思い、癌研病院に行くことをその場で決めました。

実際に癌研病院に赴任すると、内分泌外科という診療科はなく、藤本先生が週に1度、外来と手術をなさりに見えるだけの状態でした。そのような状況だったので、最初の一年は乳腺外科に所属して藤本先生のお手伝いをしていましたが、病院の協力を得るのも難しく、手術の度に病院中の空いているベッドを探すような状態でした。東京大学に残った同僚は研修を受けたり、海外に留学をしたりしている中、不安になることもありました。
翌年からは頭頸科の所属になりました。まだ甲状腺疾患の患者さんはあまり多くありませんでしたが、その分、藤本先生から直接学ばせていただく時間を取れたので、今では良かったと思っています。当時、私は藤本先生の外来で診療内容を紙カルテに記載する担当をしており、藤本先生と患者さんのやり取りを門前の小僧のごとく覚えることが出来ました。外来が終わると、藤本先生が甲状腺や内分泌外科のことを私に語ってくれました。その時の語りは後に、出版社の方が編集し、「いろはにほへと」(インターメルク社 1997年)という書籍として発行されました。振り返ってみても、本当に贅沢に学ぶことができたと思っています。

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藤本先生とは、研究も数多く取り組まれてきたと伺いました

藤本先生からは様々なお話を伺ったのですが、そこには根拠となる研究や論文が未だ出ていない事柄も多くありました。そこで、癌研病院の患者さんの記録をデータベース化して調べることにしました。調べてみると藤本先生が言っていることは全て正しく、それらを論文として世に出してきました。

大きな研究としては、日本と海外での甲状腺がんの治療方針の違いについての研究がありました。当時は甲状腺がんが見つかった場合、日本では甲状腺温存手術(腺葉切除または亜全摘)が一般的でしたが、海外では温存手術で取り残したがんが後々患者さんの命を脅かすという考えから甲状腺全摘出と補助療法(甲状腺ホルモン療法と放射性ヨウ素内用療法)を行うのが一般的でした。しかし、藤本先生は、東京大学にいらした昭和30~40年代に手術した方が約40年経過してどうなっているかを電話やお手紙で直接連絡をとり、計49人の予後調査をされました。すると、若い人で腫瘍の甲状腺外への浸潤や肺等への遠隔転移がない場合は温存手術でも予後は決して悪くないことがわかり、必ずしも全摘出や補助療法を行う必要はないと示されました。

甲状腺がんは9割以上を占める乳頭がんの他、未分化がん、濾胞がん、髄様がんなどに分類できます。乳頭がんの中にも種類があり、高リスクと低リスクのものに分けられるというのが藤本先生の発想でした。時間の経過によって早期がんから進行がんにステージが進行するという考え方に対して、藤本先生は低リスクのがんはいつまで経っても低リスクのままであるという考え方を提唱されました。
この考え方を受けて、癌研病院で治療された604名の患者さんの症例データを解析し、「癌研式がん死危険度分類」を発表することが出来ました。

がんといっても、それほど危険ではないものもあるのですね

甲状腺がんの中には手術を行わずに経過観察でも良いと考えられているものもあります。例えば、1cm以下の乳頭がんを微小乳頭がんといいますが、転移や浸潤もない微小乳頭がんは超低リスクであり、経過観察で良いといわれています。また、経過観察中に大きくなった場合は大きくなってから手術しても問題ないといわれています。
このデータを1990年代から取っているのは私たちと神戸の隈病院ですが、どちらでも同様の結果が出ており、現在では甲状腺腫瘍診療ガイドラインでも超低リスクの微小乳頭がんに対し非手術経過観察という選択肢が示されています。しかし、微小乳頭がんの中にも転移や浸潤があるものも一握りあり、それらは普通の低リスク乳頭がんよりも性質が悪い場合もあります。そのため、経過観察する際には転移も浸潤もしていないということを見極める必要があります。

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現在はどのような患者さんを診られていますか

内分泌外科では副腎という腎臓の上にある臓器も扱っていますが、私は以前から甲状腺疾患を専門にしていることもあり、甲状腺がんを中心にバセドウ病や、甲状腺良性腫瘍、副甲状腺疾患などの患者さんを診ています。バセドウ病については大半の方は薬物療法で治療できますが、薬が効かない、副作用が強い、早く治したい等の理由で手術を希望される方が来られています。また、バセドウ病の方では眼が突出するバセドウ病眼症という合併症を伴うことがあり、その際には甲状腺を残したままでは十分に改善せず、全摘出を検討される方もいらっしゃいます。そうした際に手術を希望して来られる場合もあります。
甲状腺の手術には様々な術式がありますが、頸部の手術なので術後の傷跡が見えてしまうこともあります。しかし、当科の前教授である清水 一雄先生が開発されたVANS法は頸部に傷をつけない術式であり、当院では数多く行っておりますので、この手術を希望して遠方から来られる患者さんもいます。

患者さんを診察する上で心掛けていることはありますか

がんが見つかった場合、多くの患者さんはショックから頭の中が真っ白になってしまうと思います。しかし、乳頭がんの高リスクなものでも10年生存率は7割以上といわれています。ですから、高リスクだからもう…という様な説明ではなく、データを基に適切な説明を行って、不安を和らげられるように心掛けています。
また、新たな治療方法として分子標的薬という薬も出てきており、これまではもう治療方法がないと言われていたような方でも、進行を緩やかにする効果が期待出来る場合があります。ただし、分子標的薬には様々な副作用もありますし、甲状腺を全摘出した上で放射性ヨウ素治療に抵抗性であるうえ、手術が不可能で進行性である場合というのが適応の条件になっていますので、しっかりと適応を検討する必要があります。高リスクのがんの治療は複雑化していますが、長い目で見て治療を考えるということも大切だと考えています。

超低リスクの微小がんが見つかった方には、他の理由で亡くなってしまった患者さんでも解剖すると10人に1人の割合で小さな甲状腺乳頭がんが見つかるというところから説明をします。最近は健診などでたまたま見つかることが多く、知らぬが仏と言える部分もあると思います。超低リスクの微小がんが見つかった方を経過観察した結果、9割以上の人で手術が必要にならなかったことがわかっています。手術をした場合、少ないとはいえ、一定の確率で声がかすれるなど合併症が起こることもありますし、金銭的な負担といった面でも手術を受けるよりもエコー検査で経過観察をした方が良いというデータがあります。

今後の展望について教えてください

私はこれまで、患者さんの不安を軽減し、最小限の治療で良い結果を出すということをコンセプトとしておりますので、これからも患者さんには過剰な診療や精神的な負荷を掛けないようにしていきたいです。
また、患者さんのQOL(生活の質)は大切だと考えていますが、QOLを評価するためには、今後、よりよい測定法の開発が課題です。例えば、微小がんが見つかって経過をみた場合と手術をした場合で患者さんのQOLに差はあるのかという研究が行われていますが、結局は個人差が大きくて全般的なことを言うのは難しいのかとも思います。傾向としては、様子を見るのですか?と初めは半信半疑の方でも、2~3年経って何も変わらないことがわかると、患者さんの不安は軽くなっているように感じています。
甲状腺がんの本質について私たちは、少し知っただけでも理解した気になってしまいます。しかし、藤本先生は小さな所見の違いにもいつも驚いて好奇心を持たれていました。何十年も医師をしてきて多くのことを知っているはずなのに、それでも普通の人が見逃してしまうようなことに気が付いて関心を持たれるのです。私たちが当たり前と思っている診療方法でも、患者さんに行う際には根拠となるデータが必要になります。これからも驕ることなく、好奇心を忘れずに探究心を持ち続けていきたいと考えています。

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受診を迷われている患者さんへのメッセージをお願いします

甲状腺疾患に関しては、内分泌外科で扱っている病院と耳鼻咽喉科や一般外科で扱っている病院があります。一概には言えませんが、内分泌外科専門医の先生を探すのが一つの指標にはなると思います。日本内分泌外科学会のホームページ(http://jaes.umin.jp/specialist/index.html )に専門医の一覧があり、現在全国に344名の内分泌外科専門医がいます(2019年7月現在)。
また、甲状腺がんは手術をした後にすぐに再発したり、すぐに亡くなったりするということは少なく、長期間にわたって経過をみていくものです。そういった意味では長く診ていただける先生、もし診られなくなった時でもきちんと対応していただけるという観点で医療機関をお探しになると良いかと思います。

編集後記

杉谷先生は大学の教授というお立場でありながら、非常に穏やかな雰囲気で取材に応じて下さいました。これまで、日本のみならず世界における甲状腺がん治療の基盤となるデータを発表されてきた杉谷先生ですが、「これまでの研究は藤本先生がおっしゃった疑問のかけらを、そのまま検証してみたというものばかりです。藤本先生の見識、哲学がすべて正しかったのです。」と話されており、とても謙虚な先生という印象を受けました。

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