※掲載情報は独自の調査・分析により収集しており、最新かつ正確な情報になるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。
※実際に受診を検討される場合には、直接医療機関にもお電話で問い合わせいただくことを推奨いたします。
高校生の頃は理系の科目が好きだったので、エンジニアになりたいと考えた時期もありましたが、直接、自分の手を使って、人のためになる仕事として医師になりたいと思い、東京医科歯科大学に進学しました。
医局を決める際には、内科は自分が治すというよりは薬が治すというイメージがあったので、やはり自分の手を動かして治したいと思い外科系の診療科に進むことにしました。外科といっても脳外科や心臓外科、泌尿器科など様々な領域がありますが、私が医師になった頃は、現在のように診療科が細かく分かれておらず、当時は第一外科、第二外科というように分かれていました。私が入局した第二外科では消化器外科や乳腺外科、血管外科、小児外科など様々な領域を診ていたのですが、医局の雰囲気が良く、好きなことを好きなように取り組ませてくれる空気があったので入局を決めました。
医師になってからは2~3年毎に大学の関連病院をまわり、その後10数年間、附属病院での勤務し、2015年から福島県にある太田綜合病院に勤務していました。太田総合病院は3次救急の医療機関なので、忙しい時もありましたが楽しかったですね。その後、2018年4月から当院にて勤務しています。
第二外科では様々な領域を診ていましたが、消化器外科の患者さんが9割方と多かったので、自然と消化器外科を専門にするようになりました。胃の疾患を専門に診ていた時期もありましたが、医局の教授が大腸外科を専門にしていたこともあり、徐々に大腸を専門にするようになりました。
私が医師になった頃から大腸の病気というと大腸がんが多く、現在は大腸がんの患者さんを診ることが一番多いです。他にも、憩室穿孔といった良性疾患や胃の病気など消化器一般も診ています。大腸がんに関して言うと、50代から増加し始めると言われていますが、当院では70代以上のご高齢の方が多い印象です。患者さんは地域の開業医の先生からご紹介されて来られる方もいらっしゃいますし、救急搬送されて来られる方もいらっしゃいます。板橋区を中心に北区、練馬区、豊島区などから来られています。
大腸がんは標準的な治療方法が記載されているガイドラインがあり、当院でもガイドラインに則った形で治療を行っています。大腸がんや胃がんといった消化器がんの治療は、可能であれば、手術によってがんを取り除くことが基本であり、手術にはお腹を開ける方法以外にもお腹に小さな穴を開けて行う腹腔鏡手術や内視鏡手術などの方法があります。しかし、切除が出来ないほどにがんが進行している場合もあり、そのような場合には化学療法や放射線療法などを組み合わせた治療を行います。
日本では大腸の腹腔鏡手術は1990年代から普及し始めました。私も医師になって数年経った2000年頃から取り組み始めましたので、今では20年以上行っています。一口に腹腔鏡手術と言っても、次々に新しい機械が導入されていましたので、技術を習得するためによく講習会などにも参加していました。腹腔鏡手術の成績の向上については、医師の技術の向上はもちろん、手術に用いる機械がすごく良くなってきたことがあります。術野を観察するためにお腹に開けた穴から小さなカメラも入れるのですが、カメラの解像度も格段に上がりましたので、以前はぼやけてあまり見えなかったものも鮮明に見えるようになっています。また、実際に操作をして物をつかんだりする機具を鉗子といいますが、昔の鉗子はうまく掴めなかったり、力の調節が難しく組織が崩れてしまったりすることもありましたが、現在はとても使いやすくなり、精度の高い手術が出来るようになりました。当院には、腹腔鏡手術の機械が4台あり、さらに近日中に最新の機械を導入する予定もありますので、腹腔鏡手術はいつでも並行して行うことができます。
当院は、全ての診療科で検査を遅らせないことに努めており、治療も可能な限り早く開始できるようにしています。そのため、初診日にそのままCT検査を行うこともありますし、受診時に患者さんが食事を摂取されていない場合には内視鏡検査を行うこともあります。治療は、初診日から2週間、長くても3週間程度で始められるようにしています。
入院期間については、腹腔鏡手術の場合、当院の標準的な治療計画を定めたクリニカルパスの中では、7~10日の入院期間としています。先ほど70代の方が多いとお話しましたが、90~100才近い方が手術を受けられる場合もありますので、その方の状態に応じて入院日程は調整しています。退院後は当院で経過を診たり、状況に応じて地域の先生の元に逆紹介して診ていただいたりすることもあります。
当院には皮膚・排泄ケア認定看護師が数名いますので、手術をする前に看護師からストーマについて説明し、装着方法などストーマに慣れていただくようにしています。手術後にも、その看護師が皮膚の状態やケア方法などを看てくれています。看護師達とも密に連携を図っているので、何かあった場合にはすぐに相談してもらい、対応するようにしています。
当科の強みは、24時間365日、院内に必ず1人以上の外科医がいて、患者さんの緊急搬送を必ず受け入れられることです。これまでに、受け入れられないと救急搬送を断ったことはほとんどないと思います。断らないというのは、当院の「最善の医療を提供し、地域社会に貢献する」という理念の元、昔からの伝統であると聞いています。当科には副院長の安藤 昌之先生を含めて15名の常勤医がおり、うち14名が消化器外科を専門としています。24時間365日、救急搬送にも対応するために、当院の規模を考慮しても、かなり充実したスタッフ体制をとることができていると思います。
丁寧に診る、ということを心掛けています。手術に関しては、慌てないでとにかく一つひとつ確認しながら進めるということです。急がば回れという言葉がありますが、急いで行っても、やり直しとなってしまうと、さらに時間がかかってしまいます。一見、時間がかかるように感じることでも、結局は時間の短縮に繋がるのです。また、外来診療に関しては、丁寧に診てお話を聞くということを心掛けています。患者さんのお話を細かく聞いていくことで、「実は…」と分かることもあります。そのため、外来ではなるべく時間をかけて患者さんのお話を聞くようにしています。
治せるものは絶対に治す、ということです。今は手術だけでなく、化学療法なども様々な治療方法があります。それぞれの患者さんに合った治療を行い、治せる病気は絶対に治していきたいです。また、大腸がんは予後が良いと言われますが、一定の確率で再発することがあります。手術で完全に治すことが出来れば良いのですが、再発してしまった場合にどのように、どの程度まで治療するかということも考えていく必要があると思っています。治療を追及するあまり、治療によって体力が落ちてしまい、QOL(Quality Of Life:生活の質)を落としてしまうこともあります。これからも、どのような治療を行うのか、患者さんご自身の希望を汲み取りながら一緒に考えていきたいと思います。
受診を迷っている方は、迷ったらまず来てください。かかりつけ医の先生からの紹介状がない場合は非紹介患者初診加算料がかかってしまう場合もありますが、診察していますのでご相談ください。
また、病気が進行した状態で受診される方も多いです。悪くなる前に受診してくださいと言いたいところですが、早期の大腸がんはサインとなる自覚症状が出ないこともあります。便に血が混じったり、下血したりする場合には、すでに進行している場合もあります。そのため、早期発見するために便潜血などの検診は必ず受けるようにしていただきたいです。
飯田先生は、大学病院や関連病院でご経験を積まれた後、豊島病院に異動されて来られました。東京の大学病院から福島の病院に異動した際には、福島県まで先生を追いかけて受診しに来られた患者さんもいらっしゃったとのことです。長年の経験で磨かれた高い技術に加え、患者さんと真摯に向き合う姿勢から、厚い信頼を得ている先生なのだと感じました。
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