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森田 將 先生

前立腺がん小線源療法の名医
昭和大学江東豊洲病院
泌尿器科診療科長、准教授
専門
前立腺がん、がん放射線治療(小線源治療)、尿路結石内視鏡手術
掲載開始日:2018年08月23日
最終更新日:2022年07月28日

臨床実績


年間前立腺がん小線源治療数
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


治療開始までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

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森田 將先生のインタビュー

公開日:2018年10月22日
日本導入前から米国で研鑽を積んだ、前立腺がん小線源治療の名医

森田先生が医師になられた経緯と、泌尿器科をご専門に選ばれた理由について教えてください

私には医師を志す契機になるような大きなできごとがあったわけではなく、単純に子供の頃からの職業的な憧れの影響と思います。幼い頃から、なんとなく医者かパイロットになりたいと思っていたのですが、パイロットは当時は裸眼視力が良くないとなれなかったので諦め、医師の道を選びました。

泌尿器科を選んだのは、学生時代の臨床実習がきっかけです。医師になったからには、自分自身の手で直接患者さんを手術して治したいという思いを持っていたので、外科系に進もうと思っていました。その中で泌尿器科を選択したのは、開腹手術も内視鏡手術もある治療の多彩さに惹かれたからです。

ハワイ大学に留学したご経歴もおありですが、留学のきっかけは何だったのでしょうか?

当科には留学先として2つ米国の大学があったのですが、留学先を決める時期の2年前に、ハワイ大学医学部の放射線腫瘍医のLederer先生による小線源治療についての講演を東京で聞いたのがきっかけです。

小線源治療とは、会陰部から針を刺入して放射性物質が入ったチタンカプセル(シード)を前立腺に挿入する放射線治療です。当時、日本の前立腺がん治療は開腹手術による前立腺全摘除術が主流でしたが、すでに前立腺がんが男性がんの罹患率トップであった米国では、コンピュータ技術などの進歩で現代的な小線源治療の方法が確立され、盛んに行われるようになっていました。小線源治療は良好な治療成績も示されており、こんな低侵襲な治療で全摘除術と同じ治療成績なのか、と衝撃でした。

その後、2002年から2年半ほどハワイ大学に留学し、The Queen's Medical CenterでLederer先生のもと、小線源治療の技術習得に励みつつ、現地の日系人の小線源治療後のPSA非再発率などの解析などを行いました。米国では多数の良好な治療成績が既に発表されていましたが、日系人(日本人)においても、良好な治療成績を達成していることが分かりました。日本では当時、小線源治療は認可されておらず、日本から治療目的でわざわざ渡米してきたかたも何人もいらっしゃいました。その後、国内の放射線科、泌尿器科の先生方のご尽力もあり、2003年9月から日本でも行うことが可能になりました。

私も帰国後は、昭和大学病院で小線源治療を開始しました。ハワイ大学で経験した小線源治療は、現在日本で行われていない方法や使われていないシードを使用して行うこともあり、小線源治療に関する幅広い知識を身につけることができ、とても有意義でした。

貴院泌尿器科を受診される患者さんはどのようなお悩みでいらっしゃることが多いのでしょうか?

前立腺がん以外にも、膀胱がんなどの泌尿器腫瘍や尿路結石で受診するかたが多いと思いますが、それ以外にも排尿障害など様々な症状の患者さんが来院されます。特に多いのは、前立腺がんの治療目的や難治性の尿路結石の治療目的の患者さんかと思いますが、当科はがん治療に特化しているわけではないので、日常的な泌尿器関連のお悩みで来院されるかたを全般的に診察しています。

前立腺がんでは小線源治療の治療実績が累積 約1,300例以上と症例数が全国でもトップクラスであるからか、他院から治療目的で紹介受診される患者さんが多いです。尿失禁やED(勃起障害)といった手術による合併症を危惧されて小線源治療を受けると決めていらっしゃるかた以外にも、高リスクで治療方針が定まらないかたなどが相談にいらっしゃいます。

尿路結石は数カ月排石がないかたや、大きな難治性の結石でお困りのかたも来院され、当院では主に経尿道的な尿管砕石術というレーザーを使用した内視鏡治療をご提案しています。4日程度の入院が必要にはなりますが、体外から衝撃波で結石にひびを入れてその後は自然排石を図る治療(体外衝撃波結石破砕術)に比べ、結石の完全消失率は高いメリットがあります。

前立腺がん治療では、病状に応じてどのような治療方針になるのでしょうか?

限局性前立腺がん(※転移のない、前立腺局所にとどまる前立腺がん)の場合、PSA(※前立腺がんの腫瘍マーカー)の値、画像検査の結果、生検の組織結果に基づいて前立腺がんのリスクを分類し、患者さんの希望と状態を考慮しつつ、基本的には前立腺がんの治療ガイドラインに則って方針を組み立てます。

小線源治療を行う場合には、低リスクと中リスクの一部の方には、3泊4日の入院で小線源治療のみ行います。中リスク(の一部)から高リスクのかたは、小線源治療に加えて、5週間の外来通院による体外からの外部照射による放射線治療やホルモン療法を併用します。ホルモン療法の併用は、ホルモン特有の副作用が出現することがありますが、特に高リスクの場合、なかでもリスク因子が複数ある高リスクの方は、画像で指摘できない微小な転移がある可能性もあり、2005年から小線源と外部照射で最大限の放射線治療を行いながら、ホルモン療法も2年半程度併用するトリモダリティ治療を継続的に行っています。ホルモン療法の併用は、小線源前と治療中に併用しておくことが重要で、放射線治療後の併用に関しては期間含め議論のあるところですが、短縮することは可能と考えています。

小線源治療のメリットとデメリットについてお聞きしたいです

小線源治療のメリットは再発率が手術に劣らないことは前提として、尿失禁やEDの合併症が手術に比べて少ないことです。また、治療に要する入院は3泊程度で、体を切開をすることもないので治療手技自体はとても低侵襲です。

デメリットは、小線源治療は前立腺に放射線が集中しやすい特性があるとはいえ、やはり周辺臓器である尿道や直腸がある程度被ばくすることで排尿時痛、排尿困難、頻尿といった尿路の症状と、肛門痛、下痢、肛門出血といった腸に関連する症状が出ることです(※有害事象と言います)。小線源治療の場合、尿路に関連した症状の方が腸に関連した症状より出る頻度が高いのですが、こうした症状は通常は軽度で、内服薬などで対応していくうちにだいたい1年を目途に治療前の状態に戻ります。しかし、可能な限りこうした治療に付随した有害事象を極力避けたいと思っており、前立腺がんをコントロールするに充分な適切な小線源治療を行いつつ有害事象の発生を無くすことを目指しています。尿路の有害事象はシードの配置の工夫を行うことがメインになりますが、腸の有害事象に関しては、今年6月に前立腺と腸の間にゲル状物質のスペーサーを留置することで腸の被ばく線量を下げるSpaceOARという医用資材が保険適応となりましたので、これを積極的に併用しています。保険適用からまだ4ヶ月程度しか経っていませんが、現在までに行った85例において、直腸の被ばく線量はスペーサーを使っていない方たちと比べて有意に低く、ほぼゼロに近いです(※インタビュー実施は2018年10月)。また、スペーサー留置が原因と思われる有害事象も発生していませんし、小線源治療の終了時に続けて行う5分程度の手技なので改めて入院したりする必要がありません。導入からまだ日が浅いので、長期間の経過後の評価はできませんが、直腸被ばくによる放射線性直腸炎による出血などでお辛い思いをされるかたが減ることを期待しています。

小線源治療は、術者の手技も影響するところも大きいのでしょうか?

言葉にするのは難しいのですが、シードの留置時に多少のコツがあり、シードの位置が計画からずれて留置されると大きく線量分布が変わってしまうこともありますし、シードの配置では尿道や直腸など前立腺周囲の重要臓器の被ばく線量を抑えつつ、前立腺の線量分布を適切に調整していく工夫が必要だったりするので、手技によるところも大きいかとは思います。

シードの留置方法にも種類があり、一つ一つシードを配置していく方法と、列単位で配置していく方法(リンクシード)があります。術者の好みにもよるのですが、適切な線量分布を達成しようとすると前立腺の外にシードを置く必要性が出てくる場合もあり、この場合にマイグレーション(※シードが血管内に入り、他所に移動してしまうこと)のリスクが減ること、また前立腺の辺縁によりシードを置きやすくなり、結果尿道線量を低減しやすいという点から、私は現在はリンクシードを使用することが多くなっています。

小線源治療は、術者の手技も治療成績や合併症に影響する治療法ですが、症例数が多い施設であれば、安心して受診してよいのではないかと思います。

患者さんに治療のご説明をする際に先生が心がけていることはありますか?

考えうる治療の選択肢を偏りなくすべて提示し、それぞれの治療特有のメリット・デメリットについて説明した上で、患者さんの考え方に合う治療を選んでいただくことを心がけています。

例えば、前立腺がんの治療の選択肢として小線源治療に並べて提示されることも多いものとして、ロボット支援下手術には、依然失禁やEDなどの術後合併症のリスクがある一方、摘出標本による最終的な病理診断ができるというメリットもあります。また、今まで高度先進医療で自費診療であった重粒子線や陽子線治療も今年保険適応となり、今後治療の選択肢として普及してくることも予想されますが、それらは線質の違いによる治療効果への期待や、照射期間が短いなどのメリットがある一方で、現状では従来からのX線を使った外部照射と比較して明らかに治療成績が優れているとは言い難い面もあります。

限局性前立腺癌には保険適用の治療法だけでも様々な方法がありますから、治療法の提示をする際には、医師は自分が得意な治療に偏った説明をしてしまう傾向があることを認識し、偏りない情報を患者さんに提供して治療選択していただくようにしています。

患者さんへのメッセージをお願いします

治療の選択肢がたくさんある場合があること、また個々の治療法の起こりうる合併症をよく調べてから、治療を受けて頂きたいと思っています。治療後に、「こんな治療法もあったのか」、「自分の状態であれば、経過観察でもよかったのではないか」などと後悔することがないようにしていただきたいです。

また、日本では前立腺癌の罹患率は上昇し、米国同様に男性のメジャーながんの一つです。特に、父、兄弟といった近親者に前立腺がん患者さんがいらっしゃるかたは、50歳代でもPSA検査を受けるようにしましょう。前立腺がん検診は、欧州の研究では癌の進行や癌死亡率を低下させることが証明されています。がんが見つかっても早期であれば必ずしも治療が必要になるわけではなく、経過観察が選択肢として挙がることもあるので、是非お気軽に受けてみてください。

編集後記

森田先生は大変気さくなお人柄で、リラックスした中お話を伺うことができました。患者さんにとっても畏まらずにご相談でき、安心して治療に取り組むことができるのではないかと感じました。小線源の治療以外にも公平にたくさんの情報を快くお話してくださるので、予定時間が過ぎてもついつい質問し続けてしまいましたが、終始朗らかに丁寧な対応をしてくださりました。

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