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坂本 優 先生

子宮筋腫/子宮内膜症(腹腔鏡手術)の名医
佐々木研究所附属 杏雲堂病院
副院長、レディースセンター長、東京慈恵会医科大学 客員教授
専門
腹腔鏡手術、婦人科悪性腫瘍手術、光線力学療法
掲載開始日:2018年01月15日
最終更新日:2022年07月13日

坂本 優 先生から患者さんへのメッセージ

エビデンスに基づいた患者さん本位の治療を行います。根治性を最優先に、機能温存・妊孕性温存を目指した婦人科腫瘍手術を行います。腹腔鏡手術に力を入れており、良性腫瘍のみならず、悪性腫瘍(子宮がん)に対しても適応があれば腹腔鏡手術を行います。

臨床実績


年間腹腔鏡下手術数
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


手術までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

※医療機関の関係者の方へ

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坂本 優先生のインタビュー

公開日:2018年03月19日
患者さんに安全と信頼を提供できるように

坂本先生が婦人科医を志されたきっかけについて教えてください

私が産婦人科医を選択したきっかけは、病気を診断する際は内科的側面、手術をする際は外科的側面という双方の領域に携われることに魅力を感じたためです。また、新しい生命の誕生に関わることができる現場であることも、産婦人科医を志望した理由した。

当院には1988年から勤務していますが、恩師が婦人科腫瘍に力を入れていた影響もあり、次第に産婦人科の中でも婦人科悪性腫瘍や腹腔鏡手術といった領域に力を入れるようになりました。また私は1990年4月から1992年8月にかけて、アメリカにあるローレンス・リバモア国立研究所ならびに、カルフォルニア大学にも留学していました。留学先では、婦人科悪性腫瘍の遺伝子に関わる基礎的な研究をし、Comparative genomic hybridization(CGH)法(※ゲノムDNAの過剰、欠失、増幅などのコピー数異常を検出する方法。おもに固形腫瘍のゲノム異常解析に用いられる)で特許も取得することもできました。この解析手法は現在でもがんの診断や染色体異常の発見に役立っていますので、貴重な経験になりました。

坂本先生が勤められている杏雲堂病院について教えてください

当院は1882年から約135年続く歴史ある病院で、初代院長である佐々木東洋先生により、神田駿河台の地に「医学の進歩に寄与し、医業を持って社会に貢献する」という理念のもとに開院されました。中でも婦人科では、「病気を診ずして病人を診よ」を座右の銘として、常にエビデンスに基づいた質の高い医療の提供を目指すと同時に、患者さんの立場にたった医療の実践を心がけております。受診される患者さんの特徴としては、悪性・良性婦人科疾患の手術を受けられる方が多く、私が当院で携わった婦人科腫瘍の手術は、悪性と良性を合わせると累計で10,000例以上になります。

子宮頸がんについて教えてください

子宮頸がんはおもに性交渉が原因でヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸部に感染し、持続的に感染が続いていることが原因となって発生すると言われています。通常はヒトパピローマウイルスに感染しても免疫機構が作用し、ウイルスが体内から排除されるのですが、ウイルスを排除にできずに感染が長引いてしまうと(持続感染)、異形成と呼ばれる異常化した細胞が生じ、やがて進行がんになってしまうのです。一口に異形成と言っても異常の程度により軽度(CIN1)、中等度(CIN2)、高度(CIN3)、と細かく分類がなされており、軽度、及び中等度異形成と診断された場合、自然治癒の可能性があるため経過観察を行いますが、高度異形成では自然治癒はほとんど期待できないため外科的治療の対象となります。

人間ドックなどで行われている子宮頸部細胞診は、子宮頸部の細胞をブラシで採取し、染色を行って顕微鏡で異形成やがん化した細胞がないかを観察するという、主に子宮頸がんを発見するための検査です。

子宮頸がんの標準的な治療方法は、CIN3(子宮頸部高度異形成~上皮内がん)から微小浸潤がんまでは子宮頸部円錐切除術、浸潤がんでは広汎子宮全摘術になります。当院では、CIN3に対する治療のオプションとして光線力学療法(※PDT治療ともいい、CIN3の患者さんに対して、腫瘍部分に集まる薬を静脈注射した上で腫瘍にレーザー光線を当てて光化学反応を起こし、発生した活性酸素でがん細胞を死滅させる治療法)にも力を入れています。

術後の妊孕性や根治性に関して教えてください

まず、当院では子宮の病気や卵巣の病気のために手術が必要となった患者さんに対しても、患者さんの希望に応じて子宮や卵巣をできる限り温存することで、妊娠できるチャンスが残せるよう心がけています。

早期子宮頸がん(上皮内がん~微小浸潤がん)では、一般的に子宮頸部円錐切除術という子宮頸部のみを円錐状に切除する手術を行います。子宮頸部円錐切除術の特徴は、子宮の温存が可能であること、病理診断が確実にできること、病巣が十分にとりきれないこともあること、また円錐切除術後に妊娠された場合には流産、早産のリスクが高まることが挙げられます。

がんが進行し、子宮頸部円錐切除術の適応でない子宮頸がんに対して、広汎性子宮頸部摘出術(※子宮頸部、膣壁一部、基靭帯および骨盤リンパ節を広汎に切除し、妊娠に必要な子宮体部を温存する治療法)も導入しています。この術式の適応はⅠa2期~Ⅰb1期の早期子宮頸がんで、腫瘍径が2~3cm以下と小さく、骨盤リンパ節転移がなく、がんの根治性と妊孕性温存の両立を強く望む場合とされ、特徴は子宮頸がんに対する根治性と妊孕性温存を兼ね備えている点です。この手術後に妊娠にトライされた方の約4割の患者さんが妊娠・分娩を実現されて非常に喜ばれています。

また当院における治療の特徴である光線力学療法も、妊孕性と根治性を兼ね備えた治療です。従来の術式である子宮頸部円錐切除術と光線力学療法の治療成績を比較した研究結果では、頸部病変の治癒率はほぼ同等であったが、妊娠や出産という観点では光線力学療法の方が子宮頸部円錐切除術よりも早産率が低いという結果が出ています。また、ヒトパピローマウイルスの感染に対しても治療2ヶ月後HPV感染率が3割に減り、さらには6ヶ月超えても減っていき、1年後のHPV感染率は約1割まで低下します。病変完全消失後の再発率は約1.6%です。現在、保険診療として、フォトフリンを用いたPDTを行っていますが、光過敏症が殆どみられないレザフィリンを用いたPDTの臨床研究も行っています。

坂本先生が診療の際に気を付けてらっしゃること

患者さんの手術後の身体的負担が少なく、日常生活に早く復帰できる腹腔鏡下手術を積極的に施行しています。そのため、腹腔鏡下手術のメリットとデメリットについて患者さんにわかりやすくお伝えするように心がけています。また、技術面においても患者さんに安全と信頼を提供できるように、日本婦人科腫瘍学会認定 婦人科腫瘍専門医の資格とともに、日本産科婦人科内視鏡学会 技術認定医、日本内視鏡外科学会 技術認定医の資格などを取得しています。

最近の傾向として、患者さん自身から「腹腔鏡手術はできますか?」と希望・相談していただくケースも多々あります。腹腔鏡下手術のメリットは、開腹手術と比較して身体へのダメージが少ない(手術の傷が小さく出血時間も少ない)ということです。例えば、子宮体がんの手術でリンパ節廓清術を伴う開腹手術となると切開創は25〜30センチにもなりますが、腹腔鏡であれば小さな傷(各5〜12ミリ)5カ所にて手術を行うことが可能です。また当院における腹腔鏡下手術では、“3Dハイビジョン内視鏡”を用いた手術を開始しています。3Dハイビジョン内視鏡では、手術部位を立体的に拡大視野で確認することができますので、複雑な手術であっても従来の腹腔鏡下手術よりも安全かつ迅速に行えます。

腹腔鏡下手術は低侵襲手術とも言われており、基本的には小さな傷だけで済むのですが、子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮卵巣の近隣にある尿管や腸管、膀胱に万が一に損傷があった場合や、腹腔鏡下で手術を開始しても癒着がひどい場合や出血が多い場合には開腹手術に切り替わる場合があります。しかし、手術中に腹腔鏡下手術から止むを得ず開腹手術に切り替えた場合でも、初めから開腹手術を行う場合に比べて小さい傷で済む可能性が高いということも知っていただきたいです。

もしも婦人科疾患で手術が必要になったとき、当院では患者さんみなさまに対して自分の家族のように大切に思って医療を提供するよう努力しております。また、当院に産科は無いのですが、私が東京慈恵会医科大学の客員教授も兼任していることもあり、出産時は東京慈恵会医科大学附属病院へご紹介するといった地域連携も可能です。

子宮頸がんワクチンについて

子宮頸がん検診や子宮頸がん予防ワクチン接種に関して、日本は先進国に対して遅れをとっています。ワクチンの副作用の影響で厚生労働省から子宮頸がん予防ワクチン接種の積極的勧奨が控えられた影響もあり子宮頸がん予防ワクチンの接種率は下がっています。しかし、WHO(世界保健機関)は声明の中で、若い女性が本来予防し得るヒトパピローマウイルス関連がんのリスクにさらされている日本の状況を危惧し、安全で効果的なワクチンが使用されないことに繋がる現状の日本の政策は、真に有害な結果となり得ると警告しています。子宮頸がん予防ワクチンを接種することによって、持続的なヒトパピローマウイルスの感染や子宮頸部異形成を予防する効果は確認されており、これらに引き続いて起こる子宮頸がんを予防する効果が期待されています。

また、ヒトパピローマウイルスの種類は100種類以上知られており、うち約15種類が子宮頸がんの発生に関与していると言われています。その中で、現在日本で承認されている子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がん全体の約50~70%の原因とされる2種類のヒトパピローマウイルス(16型と18型)などに対して持続感染等の予防効果をもつワクチンです。さらに、米国やオーストラリアなどの先進国では、子宮頸がんワクチンは、9種類のヒトパピローマウイルスに持続感染等の予防ができるとされている次世代のワクチンに移行しているなど医学的にも進歩しています。

子宮頸がん(上皮内がんを含む)は年間約3万人が罹患し、約2,900人が死亡しており、患者数・死亡者数とも近年増加傾向にあります。当院でも、子宮頸部円錐切除術だけで年間約100症例以上行っており、円錐切除術を受けられる患者さんのうち過半数は20〜30代とまだ妊娠を希望されるような若い世代の方です。子宮頸がんワクチンと子宮頸がん検診の両方による予防が子宮頸がんに対して最も効果的であることを知っていただきたいです。

今後の展望

患者さん本位の診療とともに、まだまだ婦人科疾患に対して臨床に役立つ研究をしたいこともありますが、後輩医師をはじめ、看護師、薬剤師、理学療法士、社会福祉士などスタッフを育てていくことも私の務めだと思っています。チーム医療の質を高めつつ、カンファレンスや学会などを通し、知識や技術を伝承していきたいと思います。

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