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山下 年成 先生

乳癌手術の名医
神奈川県立がんセンター
乳腺内分泌外科部長(乳腺外科)
専門
乳腺腫瘍学、外科腫瘍学
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2021年06月16日

臨床実績


年間乳癌手術数
***

専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


手術までの待機期間
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医師指定受診
***

外来待ち時間
-時間程度

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山下 年成先生のインタビュー

公開日:2019年11月06日
神奈川県立がんセンター 乳腺外科をブランドに!チームで質の高い医療を提供したい

医師を志し、乳腺外科の道を進まれたきっかけを教えてください

医師は人を助けるということを職業に出来るのが良いと思いました。また、高校が進学校だったので医学部に進学する友人も多く、その影響もあって地元にある名古屋市立大学医学部に進学しました。
私が大学生の頃は、医療系のドラマや漫画はほとんどが外科医を扱ったものでした。そのため、私には医師=外科というイメージがあり、大学卒業後は外科医を志して当時の第二外科に入局しました。第二外科は、呼吸器外科を中心とした胸部外科で、胸腺腫の正岡分類を提唱された正岡 昭教授以下、乳がん治療・研究の先駆者である小林 俊三先生が所属されていました。第二外科の中でも乳腺外科のグループに決めたのは、乳がん治療のトレンドが大きく変わってきている時期であったこと、そして小林 俊三先生や岩瀬 弘敬先生など乳腺外科の先生方の教育や治療・研究に向き合う姿勢、お人柄が大変素晴らしかったことがあります。

乳腺外科医になられてからはどのようなご経験を積まれたのでしょうか

名古屋市立大学病院や名古屋市立城北病院(現 名古屋市立西部医療センター)などでの勤務を経て、愛知県がんセンターに異動しました。その後は、また名古屋市立城北病院に戻るものだと私も周囲も思っていたのですが、いくつかの大学で新たに乳腺外科の講座が作られたり、教授のポストが出来たりして、乳腺外科医の先生方はどんどんと玉突きで動いていくような状況でした。そうしたなかで、東京都立駒込病院からお声がけいただき、約8年勤めました。当時私は定年まで東京都立駒込病院にいるものと思っていたのですが、2年半前に神奈川県立がんセンターの先生方からお声がけをいただき、異動を決めました。

乳がんの治療は、先生が医師になられた頃と現在で変わりましたか

私が医者になった当時は乳腺外科を専門にしている先生は非常に少なく、日本乳癌学会もまだできていない状況でした。しかし、そうした中でも手術方法は、筋肉も含めて切除する術式から筋肉を温存する術式へと変わり、その後、乳房を温存する術式や脇のリンパ節を取らないで済むセンチネルリンパ節生検といった方法が開発されていきました。また、薬物療法についても、抗がん剤や生物学的製剤、ホルモン剤など新たな治療が開発され、トレンドが大きく変わってきています。そのため、徐々に乳がん治療には専門性の高い技術と知識が必要になり、乳腺外科を専門とする医師が増えてきました。

また、私が医師になった頃は乳がんになる患者さんは年間約4万人でしたが、現在では9万人以上と増えてきています。乳がんは女性の11人に1人が罹患すると言われるほど増えていますが、その要因としては食事内容の欧米化などが考えられています。現在、日本の乳がん患者さんは40代後半と60代に多い二峰性の分布となっています。若い女性の乳がんが注目されることも多いのですが、過去のデータと比較すると、若い方よりも閉経後の乳がんが非常に増えています。

乳がんの手術について教えてください

乳がんが見つかった場合、病状によっては先行して抗がん剤による治療を行うこともありますが、基本的には手術による治療が必要になります。
肝臓がんや膵臓がんなど消化器の手術では、手術がうまくいかないと縫合不全などを起こし、術後すぐに状態が悪くなり再手術が必要となることもあります。しかし乳がんの場合、もし、手術で取り残しがあったとしても再発するのは10数年後などずっと先になる場合もあり、再発しても必ずしもすぐに亡くなるわけではありません。手術後の生存率もなかなかデータとしては見えてこないため、乳がんの手術は誰が執刀しても大して変わらないと言われることもあります。しかし、乳がんの手術ではがんを取り残すと再発してしまう可能性があり、手術は重要と考えています。
しかし、再発の多くは手術による取り残しよりはがんとしての悪性たる全身病としての性格から来ています。そのため乳がんは多く切除すれば良いというわけではありません。きちんとがんの部分を取り切れると考えられれば温存療法でも良いのです。ただし、温存療法の場合は取り切れたと考えられても温存した乳房に放射線治療が必要とされています。また、乳がんは脂肪に包れた乳腺の中の乳管のなかに生じます。乳房切除を行う場合は皮膚の裏を広範囲に切除するために皮膚の血流障害を起こす危険があります。温存療法にしても危険はありますが、特に広範囲に皮膚を残すインプラント再建の場合は皮膚の血流障害を起こす危険が高くなります。これを避けるためには皮膚の裏の脂肪織を多く残して血流を保たれるようにするといいのですが、あまり脂肪織を多く残すと乳腺から皮膚につながる靱帯にそって乳がんが広がってきている場合もあり、乳がんを取り残す危険も高くなります。大切なことは、温存療法が可能なのか、乳房切除が望ましいのかなど適応について検討し、患者さんの価値観も様々ですので、適切な情報を提供した上で患者さんと相談して治療の方向性を決めていくことが重要だと考えています。

乳がんの治療方針の決定には、患者さんご自身の価値観も重要になるのですね

同じ結果になったとしても、患者さんの価値観によって感じ方は異なります。
とても印象に残っている二人の患者さんがいるのですが、お二人とも10年前に温存療法をされ、定期受診で来られました。お一人は「10年経っても何事もないし、温存療法を選んで本当によかったです」と話されましたが、もうお一人は「私は10年間ずっと不安を抱えて生きてきました。私は乳房切除術を希望していたのですが、温存療法が良いと言われて…」と話されたのです。この方は私が執刀した方ではないのですが、全く異なる捉え方をされ、とても印象的でした。
また、再発の可能性が高いと知りつつも温存療法を選択し、その後再発してしまった患者さんが「私は5年間乳房を持っていられたから良いです。あの時はとても受け入れられなかったので」と話されたこともありました。私は再発=絶対に駄目なものだと思っていたので、患者さんのお話を聞いていると価値観は本当に人によって異なるのだと感じました。もちろん、絶対に乳房切除をしないと取り切れないというような場合もありますので、患者さんの状態によってどのような治療方法がおすすめか、おすすめではないかは説明します。しかし、最終的には患者さんの価値観を尊重するようにしています。

神奈川県立がんセンター 乳腺外科で注力していることについて教えてください

当科は、チームで統一した質の高い医療を行うことに注力しています。大きな医療機関では、同じ診療科でも医師によって治療方針が異なったり、治療の質に差が出てしまったりすることがあり、個々の医師が個人商店主のようになっていることがあります。当科ではそういったことが無いように、以前から行っていた術前カンファレンスに加え、手術後の治療方針について話し合う術後カンファレンスや、再発患者さんの治療方針について話し合う再発カンファレンスも行い、どの医師になっても同じ医療が受けられるようにしています。ただただ手術を数多くこなして、対応できない程の外来患者さんを診察しているような状態では、ミスも起きますし、医療の質が低下してしまいますので外来診療枠の調整なども行ってきました。今後は地域連携パスを用いた病診連携を推進して当院として行うべき医療行為に注力していく予定です。

他にも、質の高い治療を行うためには、看護師や薬剤師などコメディカルとも連携してチーム医療を行うことが重要だと考えています。以前は看護師さんと十分なコミュニケーションが取れていなかったので、看護師さんはなぜその患者さんが入院してきたのかわからないということもありました。医師同士でも自分が担当している患者さん以外は把握出来ていないことがありました。しかし、そのような状況では、もし患者さんが急変した場合、主治医がいないと誰も対応出来ないという事態になってしまいます。そのため、病棟の看護師さん、乳腺外科の医師、MSWが病棟に集まり、多職種によるカンファレンスを行うようにしました。
その他にも医師が処方する薬はなるべく統一するようにしています。例えば抗がん剤治療を行う場合、副作用を和らげるための鎮痛剤などは医師が思い思いに処方していました。しかし、医師によって処方する薬が異なると、薬剤師さんを含めコメディカルの人が介入しにくくなってしまいますので、医師間で処方する薬はなるべく統一するようにしました。その結果、薬剤師さんも患者さんへの説明文書を作成するなど連携してくれるようになりました。

また、当科では数多くの治験に参加しており、そのため先日、FDA(アメリカ食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)が査察にきました。査察は悪いことでは無く、その治験に多く関わった証拠です。治験とは医薬品を製造・販売する承認を得るための臨床試験を指し、必ず、いい結果になるとは保証できませんが、最新の治療を受けられるというメリットがあります。ここ2年間で20件以上の治験に参加しており、そのような治療を目的として来られる方もいらっしゃいます。
当院はがんを専門に診るためのがんセンターです。がんの診療・研究に特化している施設なので、がん以外の整形外科や循環器といった疾患を診るのは難しいですが、スペシャリストとして乳がんの治療で貢献することが役目だと考えています。治験など他の医療機関では行っていない治療を行えることが強みだと考えています。

先生の今後のご展望についてお聞かせください

あまりブランド、ブランドというのは良くないかもしれませんが、神奈川県立がんセンター 乳腺外科という施設としてのブランドを作り上げていきたいと考えています。スターのような医師が一人いて、その医師がいなくなったらその施設が終わりというのではなく、神奈川県立がんセンター 乳腺外科を受診したら、良い治療を受けられるというのを確立していきたいと考えています。そうすれば、どの医師にも安心してかかっていただけますし、質の高い医療を多くの患者さんに提供できると思っています。

患者さんへのメッセージをお願いします

当院はがん治療に特化している病院で、新規治療薬の認可に向けての使命を担っている病院でもあります。当院のホームページにも記載していますが、循環器疾患や精神科疾患がある方の場合、どうしても対応が難しいことがあることをご了承下さい。また、診ることの出来る患者さんの数には限りがありますので、経過観察などは地域の医療機関でお願いするなど、どうしても地域の医療機関と役割分担をしなければならないこともありますが、限られたマンパワー、医療資源で質の高い医療を提供するために必要なこともございますので、ご理解いただきたいと思っています。

編集後記

神奈川県立がんセンターは清潔感に溢れていて、頻繁にドラマのロケ地としても使用されているそうです。
山下先生は乳腺外科医が数少ない頃から、乳腺外科を専門にされてきた先生です。ただ治療を行うのではなく、患者さんの価値観を重視しながら、根治性や整容面など様々なことに留意して治療されている旨を伺って、もし自分が患者の立場になったら安心して治療を受けられると感じました。

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