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有田 玲子 先生

ドライアイの名医
伊藤医院
副院長
専門
ドライアイ、マイボーム腺機能不全
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2022年06月22日

有田 玲子 先生から患者さんへのメッセージ

外来は月・木曜日と限られてしまいますが、丁寧に診察しますのでドライアイでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

臨床実績


ドライアイ患者数/月(延べ)
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専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


初診までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

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有田 玲子先生のインタビュー

公開日:2018年11月27日
水が足りないのか、脂が足りないのか。マイボーム腺の研究に情熱を捧げるドライアイの名医

先生が医師を志すようになったきっかけについて教えてください

子供の頃から文章を書くことが好きだったので、作家になりたいと考えたこともありましたが、内科医をしていた父の影響もあり、小学生くらいの頃には自然と医師への道を志すようになりました。純文学が好きで、特に森鴎外や志賀直哉の小説を愛読しているのですが、現役の医師でありながら、作家としてご活躍されている先生もいらっしゃいますので、今でもいつかは小説を書いてみたいと思っています。

数多くある診療科の中でも、眼科を専攻されたのはなぜですか?

一つは純粋に眼の世界を美しいと感じたからです。特に健康な涙は本当にキラキラしていてとても美しいのです。眼の表面にある角膜は体の中でも特に繊細な組織なので、ドライアイなどで角膜が傷ついてしまうと、強く痛みを感じてしまうのですが、このようなお悩みに対して手助けができることに眼科の魅力を感じました。

眼科を専攻したもう一つの理由は、母校である京都府立医科大学に木下茂先生が赴任されたことがあります。木下先生は眼科の世界ではとても有名な先生ですので、当時は大学の中で大きな話題になりました。私は少しミーハーなところがあるので、木下先生の下で眼科の医局が新しい組織としてゼロから実績を積み上げていく中に自分も一員として携わっていきたいと思い、眼科を専攻することにしました。

眼科の中でも、特にドライアイをご専門にされるようになった理由を教えてください

私が師事した木下先生が眼科領域の中でも特に角膜を専門にされていましたので、私は自然と涙やドライアイを専門とするようになりました。角膜を守るために涙があり、角膜と涙、角膜とドライアイは切っても切り離せないものです。初めての学会発表や英語論文も全てこれらに関するものでした。

大学院を修了してからは、木下先生からのご紹介で慶應義塾大学の山田昌和先生のもとに助手として着任することになりました。まぶたの裏には涙が乾燥するのを抑えるために脂を分泌するマイボーム腺という器官があるのですが、当時、アメリカ留学からお戻りになられた山田先生はこのマイボーム腺にご興味を持たれていました。山田先生から、「マイボーム腺を専門にしている眼科医は世界でも数人しかいないので、マイボーム腺を専門にしてみては」とアドバイスを受けたこともあって、大学院を卒業してマイボーム腺に関する研究を専門として行ってきました。

2012年には、マイボーム腺に関する病気の研究や、治療の質の向上と普及を目的としLIME(Lid and meibomian gland working group)研究会を立ち上げました。当時は7名で立ち上げた研究会ですが、現在では会員数が153人にまで増えています。

先生のもとを訪れる患者さんは、どのようなお悩みで受診されていますか?

やはりドライアイで受診される患者さんが多く、小学生からご高齢の方まで幅広い年齢層の方が来られています。「他の眼科ではなかなか良くならなくて」とお困りになられている方や、「マイボーム腺の機能不全について、通院していた眼科では検査が出来ないと言われてしまいました」とご相談に来られる方もいらっしゃいます。最近はインターネットで調べて来られる方も多いのですが、インターネットで様々な情報を調べてから来られますので、患者さんの知識が豊富でこちらが驚くこともあります。私は国内のみならず、国際学会で発表したり、英文論文を書いたりしているのですが、患者さんがその論文を読んで、ベトナムからお問合わせがあったこともありました。韓国から患者さんが来たこともあります。また、日本でも私が書いた新しい治療法についてその薬を処方してほしい、と論文を片手に受診される方もいらっしゃいました。患者さん自身で調べて来られる以外にも、娘さんやお孫さんが調べてご紹介していただいていることも多いようです。

遠方から来られる患者さんも多く、静岡や群馬、茨城、福岡などからも来られています。当院はもともと父が内科をしており、週に2日だけ私が眼科の診察をするようになりました。特に看板を立てたり、広告を出したりしていなかったこともあり、当初は眼科の患者さんが2人という日もあったので、現在のように近隣の方をはじめ、遠方からでも来ていただけるというのはとてもありがたいですし、一度受診された後も、続けて通院して下さる方が多いので、とても嬉しく思います。

先生がご専門にされているドライアイについて詳しく教えてください

ドライアイとは、眼が乾燥することよって眼の違和感や痛みなどの症状が起きる疾患です。原因は、大きく分けると涙のなかの“水分の分泌が減少している場合“と、涙が乾いてしまうのを防止するための“脂が減少している場合”があります。この脂は上下のまぶたのなかにあるマイボーム腺から出てくるのですが、何らかの原因によってマイボーム腺が消失したり、くねくねと曲がったり、少なくなったり、短くなったりしてしまうと、脂が分泌されにくくなり、涙が乾いてドライアイになってしまいます。

また、脂の質が悪くなることでマイボーム腺が詰まってしまい、分泌されなくなってしまうこともあります。近年は、食生活が欧米化していて、ハンバーガーなど脂っこい食事を食べることが多くなりました。このような脂を多量に摂取していると、脂質異常症になり、いわゆる血液がドロドロの状態になってしまうことがありますが、それと同様にマイボーム腺から分泌される眼の脂もドロドロになってしまいます。昨年、私たちが行った長崎県における検診では豚を多く食べる地域とマイボーム腺の詰まりが関連するのではないかという結果が出ています。豚の脂はラードなので融点が高く固まりやすいことが原因ではないでしょうか?。

他にも、スマートフォンやパソコンのモニターなどを長時間見続けることで自然と瞬きの回数が減り、眼が乾燥してしまうことがあります。近年では小さなお子さんでもスマートフォンやパソコンを使用したり、タブレットを用いて学習したりすることがあります。その影響か、ドライアイは大人だけでなく小学生くらいのお子さんでも増加していることがわかっています。

実はヒトだけでなく、イヌもドライアイになることがわかっています。特にチワワやパグなど短頭種の犬種は、目が大きくて閉眼できておらず、室内犬のため暖房などで乾燥した環境にいるためドライアイになりやすいようです。アメリカの研究者が、動物の眼の脂を調べたところ、ヒトの眼の脂の組成に一番似ているのはイヌだったそうです。そのため、犬がドライアイになってしまった場合には人間と同じ治療を行いますし、私が推薦している目を温めて脂を出しやすくする「あずきのチカラ」というアイマスクは獣医さんからも好評をいただいており、犬用を出してほしいと要望をいただいたこともあります。

ドライアイで受診した場合、どのような検査を行うのでしょうか?

ドライアイの検査にも様々なものがあるのですが、涙のなかで、水分が足りないのか、脂分が足りないのか原因がどちらにあるのかということに焦点を当てて検査を進めていきます。まず初めに、いくつかの質問に答えてもらいドライアイの重症度について簡単にチェックします。症状やその重症度についてだけでなく、治療の効果についても評価することができますので、このテストは受診の度に行っていただいています。次に、専用の機械を使用して眼をおおう脂の厚みや質(インターフェロメトリー)について調べます。この検査は特に痛みもなく、機械の上に顎を乗せるだけで終わります。その後、フルオレセインという染色液を点眼して眼の傷や下まぶたに溜まる涙の量を観察したり、瞬きを何秒我慢できるかという検査を行ったりします。他にも、まぶたの裏にあるマイボーム腺の状態を観察するマイボグラフィ、涙がどの程度分泌されているか測定するシルマーテストなどを行います。このように様々な検査を行い、どのタイプのドライアイか、どのような治療が必要になるのか診断していきます。また、アレルギー性結膜炎による症状をドライアイと間違って診断されているケースも少なくありません。ドライアイとアレルギー性結膜炎では治療方法が異なりますので、必ずまぶたの裏側まで観察して正しい診断を行うようにしています。

初めて受診される方は、小さな医院にこんなにたくさんの検査機器があるとは想像もしていないと思います。大袈裟かもしれませんが、ドライアイに関する診断、治療機の装備では世界でトップクラスの眼科だと自負しています。そこから得られる膨大な結果を、今までの経験と患者さんそれぞれの自覚症状に応じて解釈し、最適な治療を選択することが私のやりがいであり、使命だと思っています。

ドライアイと診断された場合には、どのような治療を行うのでしょうか?

治療方法は、涙の水分分泌が少ない場合と脂の分泌が少ない場合によって異なります。水の分泌が少ない場合には、水の分泌を促進させるような点眼薬などを用いて治療を行います。また、脂の分泌が少ない場合にはご家庭でできるマイボーム腺のケア(マイボケア)を説明し、実施していただいたり、ご希望によっては、保険外診療にはなりますが、眼を温めたりマッサージするような特別な医療機器を使った治療を行っていただくことも出来ます。

マイボケアとしては、脂が出やすいようにホットマスクなどで眼を温めていただいたり、マイボーム腺の出口が詰まらないように、目の周りをきれいにするよう洗顔の指導をしたりしています。特にご年配の方では目の周囲をよく洗えていない方が多くみられますので、まつ毛のキワまでしっかりと洗い流すようにお伝えしています。目の周りを洗うと、その刺激で血流が良くなり、脂が出やすくなる効果も期待できます。また、食生活やコンタクトレンズの着用がドライアイに影響しますので、脂っこい食事を連続して摂ることを控えたり、なるべく眼鏡にする時間を増やしたりするようアドバイスすることもあります。

また、内服薬としてオメガ3脂肪酸が含まれているお薬や、抗炎症作用のある抗生物質のミノサイクリンを処方することもあります。まぶたは血流が豊富な組織ですので目薬よりも内服薬の方が効果的なことがあり、内服薬でドライアイが改善される方もいらっしゃいます。

先生が診察の際に心がけていらっしゃる事について教えてください

患者さんのお話をよく聞くことですね。以前、ドライアイの患者さんに「ランチの時にコーヒーを飲むと午後に事務作業をしていても眼が楽になるけど、コーヒーって涙を増やす効果があるのですか?」と聞かれたことがありました。気になって論文を調べてみると、コーヒーによって涙が増えると書かれているものと、逆に涙が減少すると書かれているものがありました。これらはいずれも疫学調査の結果であり、実際に実験を行った研究ではありませんでしたので、実際に実験を行ってみようと思い、臨床研究を行う事にしました。研究の結果、カフェインの摂取によって涙の量が増加する人もいれば、減少する人もいることがわかり、遺伝子の検査ではコーヒーを飲むと眠れなくなるような、カフェインがよく効くタイプの方では涙の量が増加することが明らかになりました。

このような経験もあり、患者さんのお話を良く聞いて、お話の中にあるヒントから、それぞれの患者さんに合った治療がご提案できるように心がけています。先ほどご紹介したようにドライアイの検査はたくさんありますが、検査に頼りきるのではなく、患者さんのお話をよく聞き、診察を丁寧に行うことを大切にしていきたいと考えています。ドライアイがよくなったときの患者さんの満面の笑みを見たくて全力で診療を行っています。

ドライアイなど眼のお悩みで受診を迷われている方へのメッセージをお願いいたします

もし受診を迷われている場合には、ぜひ一度ご相談にきていただきたいと思います。検査をして、何も異常が見つからなければ安心することができますし、病気が見つかった際には早く治療を始めることができます。また眼科に限らず、早期に病気が見つかれば治療の選択肢が増えることもあります。何か気になることやお悩みになっていることがある場合には、あまり先延ばしにせず、早めに受診されると良いと思います。

編集後記

取材のために医院へお伺いすると、有田先生をはじめ、スタッフの皆様が温かい笑顔で出迎えてくださいました。有田先生は「涙の世界って美しいと思うんです」と目を輝かせてお話をしてくださり、ドライアイやマイボーム腺に対して熱意をもって診療や研究に取り組まれていることが伝わってきました。先生もおっしゃる通り、早期に病気が見つかれば早く治療を開始することに繋がりますので、ドライアイで悩んでいらっしゃる方(特に点眼治療や従来の治療で改善しない方)は、一度ご相談されることをおすすめします。

伊藤医院の写真

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