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小川 葉子 先生

ドライアイの名医
新宿シティ眼科
新宿シティ眼科 院長・慶應義塾大学病院 眼科ドライアイ外来担当
専門
ドライアイ
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2021年10月08日

臨床実績


ドライアイ患者数/月(延べ)
***

専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


初診までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

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小川 葉子先生のインタビュー

公開日:2019年05月17日
ドライアイ外来の立ち上げから30年!全身疾患に伴うドライアイの名医

医師を志し、眼科をご専門にされるようになったきっかけを教えてください

私が医師を志すようになったのは、教育熱心な父母が常に子供達に一番勉強をしやすい環境を整えようとしていたことや、6つ上の兄(清水一雄 外科医)の影響があります。実は、小さい頃は魅力的なものを創作するデザイナーに憧れたり、海外の方と交流したいという思いから外交官に憧れたりしたこともありました。また、子どもの頃は水泳や中高校生の時はバレーボール部に所属するなど屋外で真っ黒になり活発に過ごしていました。私が中学1年生の頃、兄が医学部に入学し、文化祭に呼んでくれたことがありました。それをきっかけに医学に興味を持つようになり、医学生として一生懸命に勉強している兄の姿に憧れ、医学部に進学することを希望しました。両親は医師ではなく、進路に関する選択はいつも本人の自由で強制されたことは一度もありませんでした。

眼科を選んだのは、小手術を行う外科的な診療科でありながら、内科的な治療も行うということ、臨床を行いながら臨床研究や基礎研究ができるということから良いなと思いました。また、臨床では、生体顕微鏡や眼底鏡でみる所見が魅力に満ち溢れ、一方教科書などで組織像を見ると角膜は5層、網膜は10層からなる構造がとても美しくて、魅力的に感じたこともあり、眼科の道を進むことにしました。

先生は眼の病気のなかでも、特にドライアイをご専門にされていると伺いました

以前、東京都済生会中央病院の眼科に出向していたのですが、同病院には世界でも有数な糖尿病内科があるため糖尿病を患っている患者さんが多く受診されていました。糖尿病網膜症や加齢黄斑変性といった網膜に関する疾患をよく拝見していました。また、研究でも網膜に関する研究で博士号を取得したのですが、その後、網膜の少し前方にある毛様体という緑内障に関わる部位に関する研究をし、それから更に前方にある角膜について、糖尿病による変化やドライアイに関する研究をしました。それがきっかけとなりドライアイを専門にするようになりましたが、どんどんと対象が眼の前の方に移動してきた感じですね。

そして、今から30年前に慶応義塾大学病院眼科の前教授坪田 一男先生からお声がけいただき、当院でのドライアイ外来の立ち上げから携わり、現在に至ります。当時は2人目の子どもが生まれた頃だったので、仕事と育児の両立がすごく大変だったことを覚えています。また、坪田先生が他院に異動されることになった際には、慶應のドライアイ外来は私一人になってしまった時期もありました。慶應のドライアイ外来は存続させたいと思い患者さん拝見していました。仕事が遅い私としては遅い時間まで外来診療が終わらない状況が続き、患者様を長くお待たせしてしまうことも多く本当に辞めたいと思ったこともありました。そのような時に、鴨居 瑞加先生が外来を一緒に行ってくださるようになり、その後も内野 美樹先生や西條 裕美子先生、立松 由佳子先生がドライアイ外来に加わっていただきました。そして最近では根岸 一乃教授のご指導のもと内野 裕一先生、内野 美樹先生をはじめ、清水 映輔先生、佐藤 真理先生とご一緒に担当をしています。

慶応義塾大学病院のドライアイ外来の特徴や強みについて教えてください

当外来には、一般的なドライアイの患者さん以外にも自己免疫疾患によるドライアイなど、全身疾患に伴うドライアイの患者さんが多くいらっしゃいます。私は骨髄移植を含む造血幹細胞移植の後に起こる移植片対宿主病(GVHD)という状態によって生じたドライアイを専門にしていますので、この疾患の患者さんを拝見することが多いです。

当外来の強みは、外来担当メンバーの連携が強いことだと思います。患者さんをなるべくお待たせしないように協力して助け合う雰囲気があり、本日も先生方が全力で外来をすすめてくださったのですよ。また、英語をNative Speakerのように話せる先生も多いので、外国の患者さんにも安心して受診していただけると思います。外来終了時にはその日の外来のポイント、反省点を討論し、疾患の病態メカニズムにも踏み込んで次の外来に役立てるよう討論しております。

先生がご専門にされているGVHDによるドライアイとは、どのような疾患なのでしょうか

血液の病気では、治療のために造血幹細胞移植を行います。しかし、移植された細胞が患者さんの臓器を異物と認識して免疫機能が働き、攻撃してしまうことがあります。色々な臓器がダメージを受けることがありますが、眼の細胞がダメージを受ける場合、症状として最も多いのがドライアイです。しかし、実はドライアイといっても、眼の乾きが前面に出るのではなく、複数の症状を併せ持つのが特徴的です。ドライアイでは眼の痛みや疲れ、異物感以外にも充血やまぶしさ、かゆみ、めやにの増加、眼の霞み、眼が重いといった感覚などの症状がみられることがあます。

GVHDによるドライアイは、移植後半年以上が経過してから生じる慢性GVHDによるものです。造血幹細胞移植の後3~5か月が経過すると眼の粘膜に病変が生じ、半年程度経過すると症状が現れます。造血幹細胞移植をした患者さんの50%以上がドライアイになるといわれており、60~70%以上との報告や、軽症の方も含めると80%程度に認められるという報告もあります。また、GVHDは眼以外にも様々な部位に起こり、個人差はありますが、皮膚や肝臓にGVHDを発症した方は、眼にも障害が起こりやすいといわれています。

GVHDによるドライアイの患者さんは、どのような経緯で受診されるのでしょうか

慶應の血液内科から紹介されて受診される方が多いですが、他院から紹介されて受診される方も多くいらっしゃいます。GVHDによるドライアイを専門にしている先生がいまだ少ないこともあり、アメリカやイタリアなど海外から受診される患者さんもいらっしゃいます。しかし、造血幹細胞移植をした患者さんがドライアイの症状を訴えた際に、骨髄移植後に散発的に拝見しても、そのドライアイが骨髄移植の影響で生じたのかの判断は難しいです。そのため、当院では24年前から血液内科の岡本 真一郎先生、森毅彦先生と、当院で造血幹細胞移植をする全ての患者さんについて、必ず移植前からドライアイ外来で評価すると取り決め、現在まで継続しています。当院では1年間に約40名の骨髄移植が行われ、これまでに1,000名以上の新規造血幹細胞移植の方を拝見してきました。また、移植前だけでなく、移植後3・6・9か月、1年、1年半、2年、3年…と継続的に拝見しています。移植前から継続的に造血幹細胞移植症例を拝見しているのは世界的に少ない取り組みとされています。最近はその重要性が認識されつつあり、ハーバード大学やイリノイ大学でもGVHDによるドライアイ症例を専門に拝見する外来が開設されています。

GVHDによるドライアイの治療方法を教えて下さい

初期の方は、通常のドライアイの方と同様に眼に潤いを与えるような点眼薬を処方することが一般的です。一般的に点眼薬の中には、防腐剤が含まれているものも多いですが、ドライアイの方では涙液が少ないため、防腐剤が蓄積してしまい、眼の表面にひどい障害を起こすこともありますので、防腐剤の含まれていないものを選ぶ必要があります。また、眼の状態に応じて、ヒアルロン酸やジクアホソル、レバミピドといった成分の目薬を使い分けます。ステロイドの点眼・軟膏も抗炎症作用がありますが、移植後の患者さんではGVHD予防のために予め全身投与でステロイドを服用していますし、緑内障や白内障、角膜感染症などの副作用が起こることもあるので、局所ステロイド点眼をなるべく控えるようにしています。また、免疫反応によって起こる疾患なので、本来はこのような免疫応答異常が関連する疾患はシクロスポリンやタクロリムスといった免疫抑制剤の点眼・軟膏による治療が主流になりますが、日本では保険適応になっていないため処方にくいという現状があります。

また、GVHDによるドライアイでは、眼の表面の粘膜が線維化する頻度が高いことが明らかになっているのですが、これに対して処方できる保険適応の目薬も今のところありません。現在は眼表面の線維化に対する有効な治療法について模索中です。

GVHDの他にはどのような疾患がドライアイの原因となるのでしょうか

代表的なものはシェーグレン症候群という自己免疫疾患で、他にもリウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)、スティーブンスジョンソン症候群、強皮症、多発性皮膚筋症、自己免疫性肝炎・膵炎・甲状腺炎、眼類天疱瘡などの自己免疫疾患を伴ってドライアイになることがあります。多くの場合、比較的軽症となることが多いですが、シェーグレン症候群によるドライアイは重症になる場合が多いです。当院にはリウマチ内科がありますので、そちらから紹介されてくることありますし、精査のため他院から紹介される場合もあります。その他、一般的にホルモンのバランス異常や加齢によるドライアイ、飛行機の機内の湿度の低下、自動車や室内のエアコンのよる送風といった環境によるドライアイ、パソコン長時間使用によるドライアイ、LASIKや白内障等の眼局所の手術後の一過性ドライアイ、アレルギー性結膜炎やマイボーム腺機能不全、まぶたの瞬きが不完全だったり閉じるのが不完全だったりなど目の局所疾患合併によるドライアイ、コンタクトレンズ装用者、点眼薬の防腐剤、ある種の降圧剤内服、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤内服がドライアイの危険因子となることもあります。

また、通常のドライアイとして当外来を受診された方でも、精査をしていくうちにこれらの全身疾患が見つかることも多いです。また、ドライアイ患者様を拝見していく中で、斜視で物が二重に見えるという方を診察した時に、視神経乳頭を確認すると浮腫を起こしていたので脳神経外科に紹介したところ、メニンジオーマという脳腫瘍が見つかったこともあります。他にも、眼底検査をした時に、糖尿病の初期に生じるmicroaneurysm(網膜細動脈瘤)を確認して内科に紹介したところ、糖尿病が見つかったということもありました。このように眼科から全身疾患を見つけることもあります。

先生は研究にも注力されていると伺いました

臨床でも多く拝見しているGVHDや自己免疫疾患によるドライアイと、GVHDに関する免疫反応および線維化に関する研究をしています。GVHDは免疫応答が大きな柱であり、免疫応答として生じた症状に対する治療は行われています。しかし、効果が不十分な場合もあり、完全に治癒するのは難しく、その原因としてまだ明らかになっていない病態があるのではないかと考えています。
研究を行ううちに、GVHDには加齢性疾患としての側面があることがわかってきました。というのも、臨床で造血幹細胞移植後に、まつげや眉毛が早期に白くなることがあり、老化が進行しているのではないかと考えました。実際にGVHDを再現したマウスの涙腺を調べると、標的臓器において老化に関わる酸化ストレスが上昇し、リンパ球やマクロファージなどの炎症細胞も老化していることがわかりました。この老化を抑制することでドライアイを治療できるようになると考えており、患者さんの治療に役立てられるように研究を進めていきたいと考えています。

先生が診療で心がけていることと、今後のご展望について教えてください

自分が年齢を重ねてきたこともあり、患者さんのお立場がわかるようになりました。当科には眼に関する様々なお悩みをお持ちの患者さんがいらっしゃいますので、患者さんのお話をよく伺った上で、病態に考えをめぐらせ一歩踏み込んだ説明をするように心がけています。
今後は、今まで培ってきたもの、研究してきたことを患者さんに還元していきたいと考えています。先ほどお話した研究の話も、マウスでの実験レベルから治療まで進めるのに何年もかかることが予想されますが、後輩に託しながらも進めていきたいと思います。

受診を迷われている患者さんへのメッセージをお願いいたします

眼の症状が複数現れた場合には、ドライアイが疑われることがありますので、ぜひ一度眼科を受診されることをおすすめします。また、緑内障では眼の痛みや霞み、眼精疲労といったドライアイと似た症状を示すことがあり、他の疾患が隠れていないか調べることも重要になります。早期発見により早期治療を開始することが大切です。気になる方はぜひ一度眼科の先生にご相談されてみることをおすすめします。

慶應義塾大学病院の写真

ドライアイ外来のメンバーの皆様です。

編集後記

小川先生は慶應義塾大学病院のドライアイ外来を30年以上担当し多忙ながらも、非常に温かく迎えてくださり、質問に対してもとても丁寧に答えてくださいました。また、お写真撮影の際に他の先生方と仲睦まじくお話されており、先生方からも厚く信頼されている先生なのだと感じました。大学病院に受診するのは緊張してしまうという方もいらっしゃるかと思いますが、小川先生は安心して受診できる先生だと感じました。2021年4月からは新宿シティー眼科院長に就任後も根岸一乃教授体制のもと慶應義塾大学病院のドライアイ外来を継続されています。両方の施設で受診可能ということです。

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