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泉田 良一 先生

人工股関節置換術の名医
江戸川病院
慶友人工関節センター長
専門
股関節外科、小児整形外科
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2022年07月15日

臨床実績


年間人工股関節手術数
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


手術までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

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泉田 良一先生のインタビュー

公開日:2019年05月07日
日本における人工股関節手術の黎明期を知る、人工股関節手術の良医

先生が人工関節をご専門にされるようになったきっかけについて教えてください

父が整形外科医をしており、自然と私も医師を志すようになりました。父は慶應義塾大学の整形外科に所属していたのですが、私も慶應の校風に憧れ、同じ道を選んで整形外科医になりました。
大学卒業後は、都立清瀬小児病院(現小児総合医療センター)などいくつかの関連病院に出向し、整形外科全般について学びました。私が医師になった昭和50年頃は高齢の方が今より少なかったので、股関節外科といっても主に先天股脱や斜頸、内反足といった小児疾患を診ることが多かったです。その後、清水の舞台から飛び降りるような心算でスイスに留学することにしたのですが、スイスは日本と比較して高齢化が進んでいたので、患者さんの多くが高齢の方でした。そのため、スイスでは人工関節の治療を数多く経験することができ、帰国後も人工関節を専門にするようになりました。

先生の元にはどのようなことでお悩みの患者さんが受診されていますか

当センターは、「人工関節センター」という名称なので、膝や股関節などの関節に痛みをお持ちの患者さんや、人工関節の手術をご希望される患者さんが多く受診されています。股関節の痛みでお悩みの患者さんの場合、レントゲン検査やCT検査、必要に応じてMRI検査を行い、痛みの原因を調べますが、およそ8~9割の方は加齢に伴う変形性股関節症が原因となっています。変形性股関節症は加齢とともに軟骨や骨にダメージが蓄積されることで痛みや動かしにくさといった症状が現れます。生活習慣や肥満などが影響することもありますが、日本では股関節の形成不全などの生まれつきの素因をお持ちの方が多いといわれています。また大腿骨頭壊死症といって、男性ではアルコールの過剰摂取に関連し、女性の場合はステロイド治療を行っている方で大腿骨頭の圧潰を起こしてしまい人工股関節手術を受けに受診されることもあります。

現在は都内近郊からいらっしゃる方がほとんどで、かかりつけの整形外科の先生からご紹介されてくる方が多いのですが、東北や東海地方など遠方から受診される方もいらっしゃいます。年齢層は変形性股関節症という疾患の特性上、70歳代を中心にご年配の方が多いですが、なかには40代後半の方で手術をご希望されることもあります。一般的に、男性は腰部脊柱管狭窄症など背骨の病気になりやすく、女性は関節が悪くなりやすい傾向があり、当センターを受診される患者さんの9割以上は女性です。

変形性股関節症の治療にはどのような方法があるのでしょうか

治療の選択肢は大きく手術療法と保存療法(手術をしない治療法)の2つに分けられますが、保存療法には薬物療法、理学療法、運動療法、装具療法、安静療法の5つがあります。手術方法は目的別に、切除術、再建術、置換術、の3つに分けられますが、変形性股関節症では、再建術の場合は骨切り術を、置換術の場合は人工股関節手術を行います。これらの方法の中から患者さんにとって最適な治療方法を選択したり、組み合わせたりして治療を行うのですが、骨切り術は手間暇がかかる割に期待していたほどの効果が得られないことも多く、当センターではほとんどの方が人工股関節手術を選択されています。
また、保存療法を選択する場合、本当に大切なことは患者さんご自身に変形性股関節症は股関節を使いすぎることで悪くなる病気だということを認識していただき、それを心得た上で日常生活のなかで、関節への負担を軽減できるように生活指導を行うことだと考えています。

先生が医師になった頃と現在では、人工股関節手術の方法は変化しましたか

ここ十数年で、人工股関節の手術はとても良くなったと思います。というのは、クロスリンクポリエチレンという素材が開発されたことで、人工股関節が長持ちするようになりました。そのため、以前は人工股関節手術は基本的に60代以上の方に行っていたのですが、現在では40代など若い方にも適応が広がりました。この経過については、当センターのホームページにもまとめていますので、ぜひ一度ご覧になってみてください(http://edogawa-kansetsu.com/ )。
手術に使う材料は進歩した一方、我々のやっている外科手術自体は、骨を削って人工股関節を入れる場所を作り、固定するという方法に尽きるため、19世紀から変わっていません。今後もコンピュータ支援など画像診断や手術の器具などの性能は向上すると思いますが、手術では、どのように切るべきか、どこまで切るべきかといった見極めには、やはり医師の修練が必要になると思います。手術は漠然と行っていても上手くなることはないので、目的をもって技術を向上させていく必要があると考えています。

貴院で人工股関節手術を受ける場合、どのような流れになるのでしょうか

麻酔を行う時間を除くと手術自体は1時間20分程度で終わりますが、この手術時間は他院と比較して早い訳ではありません。その理由として、当センターでは手術中にレントゲン撮影を行って人工股関節の位置を確認していることが挙げられます。数十分で手術を終える病院もあるようですが、それほど短時間の手術時間では術中にレントゲンを撮影し、人工股関節の入り方を確認することは難しいと思います。手術中に入り方を確認することで人工股関節の位置を微調整することが出来ますので、当センターでは必ず手術中にレントゲン撮影をしています。

手術後は翌日からリハビリを行い、3週間程度で退院することが多いです。どの患者さんにも一律の対応を行うベルトコンベアー式のような医療はしたくないと思っているので、早く退院したいという方は早めに退院できるように調整し、ゆっくりとリハビリを行いたいという方には、当院の回復期病棟に入院してリハビリを継続してもらうようにするといった、一人ひとりに応じた対応を心がけています。

貴センターの特徴や強みについて教えてください

2006年に当センターを開設して以来、約1,000例の初回人工股関節手術を行ってきましたが、再手術を要するような術後感染は一例も起きていません。全国平均では約0.5%の確率で起きると言われているので、非常に良い成績であると思っています。その理由として、手術の際の創がきれいだからだと考えています。最近は多くの施設で筋腱を切らずに行うと言っていますが、当院では一部筋を切る方法で行っています。一見、筋腱を切らない方が良いと思われるかもしれませんが、筋を切らずに手術を行うと筋肉の筋腹という部分に負担が掛かり挫滅を起こしやすいと思います。挫滅壊死した組織には細菌が増殖しやすくなりますので、それならば挫滅を避けるために腱の部分を切った方が良いと考えてこの方法で行っています。

また、人工股関節手術を行う場合、前方もしくは後方からアプローチする方法があります。手術時間が短縮できたり、術後の脱臼が減少したりすることから、10年位前から前方からアプローチする施設が増えましたが、当院では基本的に後方からアプローチする方法を用いています。前方から行うと骨盤側の展開は容易になりますが、術野が狭く、人工股関節のステムの挿入が困難になり、無理をすると大腿骨の骨折を起こすリスクが高くなります。それで、前方法では最近短いステムを入れる傾向がありますが、短いステムが従来型の長めのステムと同じように長持ちするというデータはまだ十分にありません。従って長持ちという点を考えれば後方からアプローチする方法が良いと考えています。
まとめると長年の経験をもとに、長い目で見て患者さんにとって最もよい方法で治療を行っている点が当センターの強みであると思います。

診療の際にはどのようなことを心掛けていますか

患者さんには、できるだけ気配りをするように心掛けています。最善を尽くして治療を行うのは当然のことですが、医師がいくら最善を尽くしても治療の現場での私たちの考えや思いは患者さんには伝わりにくいこともあります。そのため、なるべく患者さんが不安を感じないで治療を受けられるよう、気配りも大切にしたいと考えています。

先生はロコモティブシンドロームの啓発にも注力されていると伺いました

日本整形外科学会の広報渉外委員会の下部組織に「ロコモチャレンジ!推進協議会」というのがあるのですが、立ち上げから4年間は委員長として、現在はアドバイザーとして啓発活動に取り組んでいます。ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、立ったり歩いたりといった機能が低下している状態のことをいいます。
これまでは、患者さんの股関節の痛みが改善され、日常生活がより良いものになれば良いとしてきましたが、今後は関節疾患を抱えている方たちが治療のプロセスを通じて、健康寿命をさらに延ばせるようにするという考え方が重要になってくると考えています。そのためには、できるだけ毎日身体を動かすことが重要であり、運動量の指標として厚生労働省から「健康づくりのための身体活動基準2013」が発表されていますので、その身体活動目標を関節外科治療にも援用したいと思っています。
今後も、医師として臨床で治療に携わりながらも、啓発活動にも力を入れていきたいと考えています。

患者さんへのメッセージをお願いいたします

変形性股関節症は直接命に関わるものではないので、患者さんにはどのような治療を選択するのか主体的に決めてほしいと考えています。このところの人工股関節手術の急激な増加をみますと、オーバーサージェリーといって本当は行う必要のない手術まで行っている可能性もあります。変形性股関節症の治療は、患者さんの生活やご希望に応じて複数の選択肢から選択することが可能であり、当センターでは迷われたら当センター以外のセカンドオピニオンも受けてから手術を受けるか決めるようにお伝えしています。どうしても手術をした方がよいと考えられる場合には手術を勧めることもありますが、こちらから手術をしなければとは言いませんし、患者さんが迷っている時はやるべきではないと思います。

編集後記

江戸川病院にお伺いすると、様々なアートや壁絵があり、慶友人工関節センターの中庭には亀やフラミンゴ、エミューまでいてとても驚きました。病院を受診するとなると緊張してしまう方も多いかと思いますが、緊張が解れるような配慮がされた素敵な病院だと感じました。
泉田先生は、手術を迷っておられる患者さんには必ず他院でのセカンドオピニオンを勧められていると伺い、患者さんにとって本当に良い治療は何かと考えられている信頼できる先生だと感じました。

江戸川病院の写真

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