※掲載情報は独自の調査・分析により収集しており、最新かつ正確な情報になるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。
※実際に受診を検討される場合には、直接医療機関にもお電話で問い合わせいただくことを推奨いたします。
医師になったきっかけは、高校の先生に薦められたことがあります。私は宮崎で生まれ、中学からは鹿児島の学校に進学し、自然の豊かな所で過ごしていました。昔から生き物が好きだったので、中高生の時には生物部に入部しており、山などで昆虫を採取したり、どのような場所にどのような生き物が生息しているのか調べたりしていました。そうしたこともあって獣医になろうと思い、獣医学部に進学しようと考えていましたが、高校生の時に学校の先生から「人間も獣だよ」と医師になることを薦められて納得し、獣医学部ではなく医学部に進学して医師を目指すことにしました。
皮膚科は自分の目で診てすぐに診断を行うことができますし、治療の効果も自分の目で診てはっきりとわかります。それを魅力に感じ、皮膚科医の道を進むことに決め、母校である東京大学の皮膚科学講座に入局することにしました。大学病院の外来ではアトピー性皮膚炎や色素異常症などの患者さんがよくいらっしゃいました。また、大学病院には乾癬の専門外来があり、そちらを手伝っていたこともあり、難治性の皮膚疾患で受診される患者さんに多く出会いました。これらの疾患は患者さんのQOL(※Quality of Life:生活の質)を低下させてしまいますので、なんとかならないだろうか…と思っていました。その後、色素異常症専門外来を手伝っていたことがきっかけでハーバード大学に留学することになり、留学先では色素細胞の基礎研究を行っていました。このような経緯もあり、乾癬やアトピー性皮膚炎、色素異常症などの疾患を専門とするようになりました。
クリニック全体でいうと2~3割くらいは初診の患者さんです。当院はビジネス街にあり、朝8時から開院していますので、仕事前に受診されたり、お昼休みや仕事後に寄られたりする方がいらっしゃいます。受診される理由としてはアトピー性皮膚炎をはじめ、水虫や湿疹、かぶれ、シミなど様々なお悩みで来られていますよ。あまり宣伝はしていませんが、口コミなどで知られて来られる方も多いです。
また当院は以前からありましたが、私が2018年3月に東京慈恵会医科大学を退官し、同年4月から院長として就任しました。ですので、大学病院で診ていた乾癬などの患者さんがずっと診てほしいと当院に来られることも多いですね。また当院では、光線療法やレーザー治療などに用いる医療機器について大学病院と同等のものを導入しています。大学病院はどうしても受付から会計までの待ち時間が長くなってしまいますので、治療をスムーズに受けるために大学病院の先生から紹介されて来られる方もいらっしゃいます。
乾癬は症状が見た目に出てしまうため、QOLに影響を与えやすい疾患です(※乾癬は皮膚の新陳代謝が異常に活性化されることで、皮膚が赤くなって盛り上がる、カサブタになってフケのように剥がれ落ちるといった皮膚の症状が現れます)。
乾癬の罹患率については、以前はきちんとした疫学調査が行われておらず、0.1%程度といわれていましたが、近年のデータでは約0.3%の人が乾癬であるといわれています。日本国内では約40万人の乾癬の患者がいると推定されています。男女比は2:1と男性の方がなりやすいといわれており、男性は30~40代で、女性では20代と50代で発症される方が多いです。男女において発症年齢のピークが違う理由は明らかになっていませんが、女性では月経周期やピルの内服によって悪化することがあることから、女性ホルモンの影響もあるのではないかと考えられています。
乾癬の診断については、皮膚の症状に特徴がある疾患なので、通常は目で診て診断することができます。ですが乾癬にもいくつかの種類があり、まれに詳細な検査が必要なこともあります。そのような場合には大学病院を紹介して検査を受けていただくこともあります。その時には患者さんに紹介状を渡すだけでなく、必ず私の方から大学病院の先生に電話をいれて、すぐに診てもらえるように配慮しています。
治療はステロイドやビタミンD3などを含有した塗り薬による外用療法が中心になりますが、シクロスポリン(※抗炎症作用がある薬)などの内服薬や、光線療法なども使われるため、患者さんの状態やご希望に合わせて一緒に選択していきます。当院は光線療法の機器が充実していることから、光線療法をご希望される方も多いですね。光線療法の機器は、普通の皮膚科だと皮膚の症状がある部分にのみ照射するタイプの機械を設置しているところが多いですが、当院ではそちらに加えて全身に一度に照射できるタイプの機械も揃えており必要に応じて使い分けています。
光線療法を行う場合、まずは週に2回の照射を1カ月程度行います。その後、照射の頻度を週に1回に減らします。そこからは患者さんの状態によって照射を行う頻度を減らすなど調整を行っていきます。患者さんにもよりますが、効果を実感される方も多いですよ。一回の照射は1分程度で終わりますし、その間に処方やお会計の準備をしているので、あまり待つことなくスムーズに受診していただくことができます。
近年は生物学的製剤(※人の体内で作られるタンパク質を参考に開発された薬)と言った新しい薬も治療に用いられるのですが、その際には治療開始前に様々な検査を行う必要があります。そう言った場合、こちらから大学病院に紹介して検査を受けていただき、治療については当院で受けていただくということもできます。
患者さんには「ここに来て診察してもらって良かったな」と思っていただけるように心がけています。皮膚科では塗り薬による治療を行うことが多いのですが、塗るタイミングや塗り方を正しく行わないと十分に効果を得られないことがあります。そのため、患者さんがそれぞれの生活パターンの中で正しく塗り薬を使えるように、生活習慣やお仕事などについてもお話を伺い、生活への取り入れ方を一緒に考えるようにしています。
また自分が40数年培ってきた知識や技術を若い先生方に伝えることで、「受診してよかった」と思う患者さんがより増えればいいなと思い、後身の育成にも力を入れています。今でもいくつかの大学で非常勤講師として授業を行っていますし、大学病院の外来で学生指導をしたり、研修医の先生の診察に一緒に入るようにしたりして、診断や治療、患者さんへの説明方法についてアドバイスを行っています。当院でも、大学病院から先生が来ている日には、なるべく一緒に外来に入ってアドバイスするようにしています。
まずは、症状があるならば早く受診するようにしてほしいと思います。皮膚疾患というのはいきなり重症化するのではなく、初めは軽症だったものが徐々に重症化していくものです。当院でも酷くなってから受診される方が結構いらっしゃいますし、特に大学病院ではかなり重症化してから受診する人が多かったです。軽症の時に来ていただいた方が結果として病院に来る回数も少なく済みます。ボヤは早く消した方がよいということですね。
また、慢性的な皮膚疾患の場合、生活習慣が悪化の原因となっていることもあり、なかなか改善せず悩まれている方は、どうして治りにくいのか、どのような時に悪化しやすいのかを考える必要があります。うまく治療が進まない理由が分かっていても、仕事や家事などで忙しくしていると、生活習慣を改善するのは難しいのかもしれません。当院では、症状を悪化させないためにはどうしたらよいのか、どのように治療を行っていけばよいのかと言ったその人その人の生活に合わせたアドバイスを行うために患者さんの話をよく聞くことを大切にしています。私の外来日に来られない場合でも私以外にもベテランの先生方がそろっているので、受診を検討している場合にはご相談ください。
中川先生は医師になられてから40数年、皮膚科の道を極めてこられた先生です。大学の名誉教授でもあり、ご高名な先生なのでお会いするまでは少々緊張していました。ですが、お会いしてみるととても穏やかな雰囲気で、その話し方や素敵な笑顔で、患者さんからも厚い信頼を得ているのだろうと感じました。またこれまでの生き方について、「上を目指していたわけではなく、その日その日を一生懸命にやっていただけ。大学の教授になろうとは考えておらず、きっと診療科長くらいかなと思っていた。」と話され、謙虚にこれまで努力を積み重ねて来られたのだと感じました。
あたご皮フ科さんでは受付の方にも丁寧に対応していただき、何かあったときには家族にも紹介したいと思えるクリニックだと感じました。
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