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原井 宏明 先生

パニック障害/不安障害の名医
専門
強迫症、社交不安症、パニック症、その他の不安症
掲載開始日:2019年04月23日
最終更新日:2023年02月07日

臨床実績


年間不安障害患者数(延べ)
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専門医資格
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学会職位
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学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
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出身大学
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略歴
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受診しやすさ


初診までの待機期間
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医師指定受診
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外来待ち時間
完全予約制。ただし場合によっては20分程度お待ちいただくことがあります。

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原井 宏明先生のインタビュー

公開日:2019年04月23日
強迫ひと筋34年!強迫性障害と認知行動療法のパイオニア

医師を志し、精神科の道を進まれたきっかけを教えてください

医師になったのは、たまたまというのが本当のところです。私は京都にある洛星中学・高校という進学校に通っていました。卒業したのは1984年、共通一次が始まる直前、まだ国立に一期校・二期校という区別があった時代です。学校の進学指導は京都大学合格者を増やすことを目的にしていました。私の学力では京大工学部には合格できそうでしたが、医学部は無理でした。もともと形になるものを作る仕事に興味を持っていたこともあり、一期校では京都大学工学部の建築学科を、二期校では京都から近い岐阜大学医学部を受験することにしました。そして、京大建築学科に無事合格し、入学説明会や部活動説明会にも参加していたのですが、岐阜大学にも合格していることがわかりました。悩みましたが、建築学科には高校の同級生や先輩も合格していて高校生活の延長になるのが嫌だったことと親元を離れて一人暮らしをしたかったことが主な理由で岐阜大学に進学することにしました。

精神科医になったのも医学部に進学したのと同様にたまたまです。大学での部活の後輩がある意味、私よりも大人でいろんなことを教えてくれました。彼の下宿で夜中まで話し込むことがよくあったのですが、話題の一つが精神療法のことでした。一方、自分自身の得意分野で言えば、基礎医学の方で生化学教室に進もうという考えもありました。もともと話下手で自分が精神科医に向いているとは思えなかったのです。ぎりぎりまで悩んで、結局、精神科に決めて神戸大学精神科に入局することにしました。これはロータリー奨学金で海外留学することが決まったことも理由の一つです。6月に入局して9月には留学するという状況になったので、それでもよいと言ってくれる医局が神戸大学の精神科だったのです。母からは「なんで京都を飛び越して神戸に行ってしまうんや?」と文句を言われましたね。親元に帰りたくなかったから、とは言い出せませんでしたね。

大学卒業後はどのようなご経験を積まれたのでしょうか

大学卒業後、アメリカのミシガン大学に留学して文化人類学について学びました。精神科医として患者さんと関わる上で役に立つと感じたということもありますし、大学の教養科目の中で文化人類学が一番興味深かったということもあります。ミシガン大学に留学した理由は大学の講義で用いられていた教科書の著書がミシガン大学のマーシャル・サーリンズ先生という先生だったからです。

帰国後は神戸大学で研修を修了し、佐賀にある国立肥前療養所で11年、熊本にある国立菊池病院で10年、名古屋市にあるなごやメンタルクリニックに10年勤めました。この時期に東京で原井クリニックを開業しようと思った理由はいくつかあります。一つは10年周期で勤務先を変えているので、最後の10年目には大きく出ようと思ったこと、二つ目には肥前時代から強迫症を専門にしてきていて、この病気を治せる精神科医が不足していることを痛切に感じたことです。菊池郡合志町(現在は合志市)のような田舎にも東京から飛行機で患者さんが来ていたのです。なごやメンタルクリニックの患者さんの半分ぐらいは新幹線で来る方でした。2018年の1年間は東京の知り合いのクリニックとカウンセリングセンターで週2回程度の診察などを行いながら、開業に備え、2019年に当院を開業しました。東京駅から徒歩で来られるところで全国から来ていただこう、10年後に私がリタイアできるように強迫症を専門にする後継者を育てようというのが狙いです。京橋行動療法研究会という症例検討会も毎月行い、強迫に興味をもつ臨床家に集まっていただいています。略称、京行研ですが、強行研と呼んでいただいてもよいです。強迫行動研究会ですね。

現在はどのようなお悩みをお持ちの患者さんが受診されていますか

2019年1月に開院してから現在(2019年4月中旬)までに、約200人の方が受診されています。そのうち、約8割の方が強迫性障害でお悩みの方で、4~5割の患者さんは以前から継続的に診ている患者さんや随分前に診ていた患者さんとなります。その他の方は初診としていらっしゃった患者さんです。これまでの経験でも5才のお子さんから70代の方まで幅広く診ており、当院を開院してからも小学校高学年~60代の方まで受診されています。
強迫性障害以外の患者さんは、ギャンブル依存症や血液外傷恐怖症、職場のストレスによる心身の不調など様々なお悩みで受診されています。

患者さんはどのような経緯で貴院を受診されているのでしょうか

強迫性障害の患者さんに関しては、私の著書などでお知りになり受診される方がほとんどです。こうした方は前医で強迫性障害と診断されたあと、ご自身で治療法について調べられることが普通です。今では認知行動療法の有効性は誰でも知っている常識になりました。ところが、この治療を受けたいと主治医に相談しても薬物療法しかできないと言われるのが普通です。先に話したように治療についての知識が広まる速度と実際に治療できる専門家が増える速度は一致しません。仕方なく自分で探して、原井クリニックを見つけて来られる方が多いようです。また、私自身は日本認知・行動療法学会で長年活動をつづけており、こちらでの知り合いから紹介される方もあります。私は以前、うつ病やパニック症、全般性不安症、処方薬依存の治療も行っていました。私が書いた「うつ・不安・不眠の薬の減らし方」という本を読み、処方薬依存を治療してほしいと訴えて来られた方もいらっしゃいます。

統計的には2~3%の方に強迫性障害があるといわれていますが、例えば収集癖のある方でも、外に出れば普通の方ということもあるので、病院に行くきっかけがなく、受診に至らない状態の人も多いと考えられています。そういった方の中には、テレビやネットなどのメディアの情報を見て、自分は強迫性障害かもしれないと思い受診される方もいます。

強迫性障害とはどのような病気なのでしょうか

強迫性障害の特徴は、大したことのない小さなことだとわかっていても、気になって悩んでしまうということが挙げられます。多いものとしては、排泄物や感染症などを不潔で気持ち悪いと感じ、それが移ったり広がったりするのではないかと不安になる不潔恐怖や、自分が人を傷つけたのではないか、自分のミスで会社に損害を与えているのではないかと不安になる加害恐怖などがあります。他にも、広く捉えると自分の頭髪を抜いてしまう抜毛や、大事ではないものとわかっていても、もしかしたら大事なものが入っているかもしれないからと捨てられない収集癖、鼻の形がまっすぐになっているかどうかや眼が左右対称か気になってしまい、手術をすることもある身体醜形障害といったものも類似した疾患に含まれます。

強迫性障害になる原因というのはわかっているのでしょうか

精神疾患の中で明確な原因がわかっているものは例外的な存在です。手洗いを長時間繰り返してしまう方でも、最初から数時間もしているわけではなく、初めは短時間だったものが何年かの間に徐々に長くなっていくのです。女性では結婚や出産を通じて、新居を汚したくないとか愛児を大切にしたいといった気持ちから手洗いが始まることがよくあります。小学校高学年のお子さんの場合、神仏や死後の世界、正義、道徳といった抽象的な概念を理解できるようになり、ばちが当たるのではないか、地獄に落ちるのではないかと考えだすこともあります。また、会社の責任ある職位に就くことで、個人情報を漏らしたらどうしよう、些細な見落としから会社に大損害を与えるのではないか、といった不安を感じるようになる方もいらっしゃいます。何か明確なきっかけが原因になるというよりは、何か守りたいもの、家族や地位ができてきて、それを自分が壊してしまわないかどうかを気にするうちに、強迫が次第に増大していくといえば良いでしょう。

先生はなぜ強迫性障害をご専門にされたのでしょうか

私が強迫性障害を専門にしている理由は、強迫性障害は他の精神科医があまり診たがらないからです。私が医師になった30数年前と現在を比べると、医学的知見やエビデンスが大きく進歩した疾患がいくつかありますが、強迫性障害もその一つです。薬物療法においてSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が有用な薬剤として登場したことは広く知られています。認知行動療法、特に避けている状況に敢えて直面することと儀式行為をしないようにすることに効果があることがわかってきました。これをERP、エクスポージャーと儀式妨害と呼んでいます。私自身のERPも進化してきました。菊池病院のころまでは入院でERPを行なっておりましたが、今は2~3か月の外来通院で行えるようにして効率を改善してきました。現在では10人程度の患者さんを対象にした3日間集団集中治療をメインにしています。3DIと呼んでいます。2~3か月の期間、外来通院と心理士のカウンセリング、3DIに参加していただくことで、仕事や日常生活に支障を来すほどの強迫性障害があった方でも、80%くらいの方で50%程度にまで症状を軽減させることができます。

貴院で行われている強迫性障害の3日間集団集中治療プログラムについて教えてください

基本的には月に1回、金~日曜日の3日間で行っています。1回の定員は10名程度で、都内の方もいらっしゃいますが、北海道から九州まで全国各地から来られています。強迫性障害の症状は人それぞれ異なりますが、汚れるのが嫌という方もいれば、情報漏洩を恐れて会社支給の携帯電話のパスワードを1日に何回も変更してしまう方など様々な方が一緒にプログラムを受けます。みなさん、それぞれに気になることが異なっていますが、他の人が気になっていることについてはなんとも思わないのです。集団治療プログラムの面白いところは、そこをお互いに共感できるようにすることなのです。自分が狭い世界に入り込んでいることに気が付き、全体をバランスよく俯瞰できるようになるために、お互いに関心を持つことが必要だと考えています。

具体的にはどのようなことをするのでしょうか

プログラムの内容については、患者さんによって変えることもありますが、患者さんが飽きないように内容を考えています。ビデオを観ていただいたり、実際に何か体験していただいたりすることもあります。例えばトイレに触れるという暴露を行う場合、全員でトイレに触れます。その時、不潔恐怖の方の場合、泣いたり強い抵抗を示したりしますが、情報漏洩を心配している方の場合、その方の名刺をトイレにいれるなどすると、手を入れて名刺を取りたいとおっしゃるのです。お互いに気になっているところは全く違い、小さなことなのだけれど、そこに拘ってとても苦しんでいることは共通だと気が付くのです。そういった体験を通して、「逃げていたらいけない」、「嫌なことにも立ち向かう必要がある」ということを皆さんが共有してくれます。

先生の今後のご展望についてお聞かせください

今年で60才になります。終わり方を考えなければならない時期です。米国の外科医・雑誌ニューヨーカーのスタッフライターでもあるアトゥール・ガワンデが書いた「死すべき定め―死にゆく人に何ができるか」を私が翻訳し、みすず書房から出版しています。この本に接すると、どう人生を終わるかを成り行きに任せてはいけないことを痛切に感じます。偶然ですが、国立肥前療養所で11年、国立菊池病院で10年、なごやクリニックに10年という区切りでやってきましたので、次の10年で70才になるまでにゴールを設定する必要があると考えています。そのゴールは何かと考えると、強迫性障害に対して認知行動療法という治療方法があるということはインターネットで検索すればすぐにわかり、患者さんもご存知ですが、認知行動療法が可能な施設は十分ではないので、患者さんが実際に受けられるようにするために、認知行動療法の研修のための場をつくりたいと考えています。また、動機づけ面接という方法を広げる仕事もしています。動機づけ面接というのは、認知行動療法の技法の一つで、私が16年前に日本で最初のトレーナーになりました。今年、創始者のミラー・ロルニックの著作も私が主になって翻訳し、星和書店から出版しています。その他、学会での講演や、補聴器メーカーの方と一緒に普及のための活動をしています。

執筆や翻訳の仕事はいまもぼちぼちつづけています。ガワンデの本2冊を翻訳していたそれぞれ1年間は、終わった時には喪失感を感じるような素晴らしい時間でした。認知行動療法や動機づけ面接の本もこれから書かなくてはなりません。年齢を重ねても執筆や翻訳の仕事はできます。こっちをやめるのは成り行き任せですね。

原井クリニックの写真

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