※掲載情報は独自の調査・分析により収集しており、最新かつ正確な情報になるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。
※実際に受診を検討される場合には、直接医療機関にもお電話で問い合わせいただくことを推奨いたします。
高校生の頃に、将来は医師か弁護士か外交官になりたいと考えていました。そして最終的に人に直接かかわることで役にたてると考え慶應義塾大学医学部に進学しました。大学在学中、漠然と将来は手術をできる科に進みたいと思っていましたが、産婦人科が産科という特別な領域を持っていながら、他方で手術もできる点から産婦人科を専門にすることを決めました。
大学病院では胎児超音波診断を中心に勉強しておりましたが、胎児手術を学ぶ一環として婦人科腹腔鏡手術を始め、それが契機となり現在では良性・悪性を問わず手術適応のある疾患のほとんどを腹腔鏡で手術する施設に属しております。
手術日程については、実際に当院を受診され、手術を行う場合には、初診から平均で1ヶ月から1ヶ月半お待ちいただくこととなります。例えば、子宮筋腫では患者さんの仕事や家事などのご都合から希望の日程を伺いながら手術日を決めていきます。患者さんのお話を聞いたうえで、必ずしも手術でない方法(経過観察含む)を選択する場合もあります。よく相談することが重要だと考えております。子宮内膜症も女性を困らせる疾患です。特に赤ちゃんをご希望して、疼痛に悩まされている患者さんはピルといった薬物療法が選べないことも多いです。そういった方ともよく相談することで治療法を選択するようにしております。
執刀医について、我々は手術の説明をする医師と実際に手術をする医師が同じであることを前提としております。当院では月曜から金曜日まで手術を行っており、1日平均10件程度の手術を施行し、昨年は年間約1400例の腹腔鏡手術を施行いたしました。できるだけ、手術決定から施行までの時間を短くするように努めております。
手術時間についてですが、一つの目安として子宮全摘出の腹腔鏡手術ではおよそ1時間から1時間半で終了します。当院は腹腔鏡の専門医資格を保有する医師も多く在籍しており、クリンタルでご覧になれる我々以外にも女性医師が多数おりますので、安心して手術を受けていただけるかと思います。
婦人科における腹腔鏡手術で一般的に難易度が高いと言われている手術に子宮頸がんの手術と深部子宮内膜症の手術があります。特に、深部子宮内膜症では子宮と直腸が内膜症によって強固な癒着を形成します。この状態では患者さんは月経の度に強い疼痛に悩まされ、時には月経以外にも生活の質を悪化させられます。腹腔鏡では開腹手術と異なり、子宮や直腸をより詳細に観察できます。また拡大視野のため、細かい操作が可能となり、今では特に深部子宮内膜症では腹腔鏡以外での手術は考えられない、と言っても過言ではありません。
この手術を当院では日頃より行なっております。自分は一生、月経痛を経験することはありませんが、疼痛で人生のロスをしている患者さんが手術を通して前向きに人生を楽しめるようになるお手伝いをさせていただくことを何よりも嬉しく思い、日々手術を行っています。
我々は診療を行うなかで患者さんの待ち時間を解消することを大切にしています。我々が言う待ち時間とは、当院に紹介されるまでの時間であったり、受付を済ませてから診察室に入るまでの時間であったり、手術までの待機時間、会計までの時間など患者さんの一連の行動において発生する待ち時間全てです。当然、手術時間の短縮ができるよう、技術を磨くことも大切です。待ち時間が短くなると、つらい時間を短くできることは勿論ですが、患者さんは短縮できた時間を使って仕事や家事、買い物をすることもでき、より充実した日々を過ごすことができるのではないかと思っています。
また、患者さんがそもそも受診を迷っているという場合に確認いただきたい受診の目安は主に2つあります。1つは月経痛で仕事や家事に影響があるかどうか、ということです。これは、月経痛により仕事を休まなくてはいけない、生理休暇をとったことがある、家事や育児ができないという状態のことです。2つめは不正出血がある場合です。月経以外の期間で出血があることを不正出血といいます。これらの要因があるときは何らかの病気が隠れている可能性があるので受診をおすすめします。
産婦人科医として手術やいろいろな経験を積んできたので、現在は臨床での仕事に加えて後輩の指導も行っています。また、当院では腹腔鏡手術を多く行っているので日々様々な症例を経験することができますが、地方であまり腹腔鏡手術を行っていない病院ですと、我々が経験する症例や手技などの習得にその何倍もの時間がかかってしまいます。このように、地域によって患者さんの受けられる医療に差ができることは看過できません。今後は地方での講演や学会発表、そこで出会った若手医師との情報共有・情報交換を積極的に行い、目の前の患者さん以外にも直接役立てる活動を増やしていきたいと思います。最近は、どうすれば医師同士を繋ぎ、お互いを高め合えるようなコミュニティを作っていくことができるか、といったことを漠然と考えております。クリンタルさんにこのような場所を提供していただけたことも勉強になりましたし、感謝です。
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