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猿渡 力 先生

狭心症(心臓カテーテル手術)の名医
済生会横浜市南部病院
副院長、循環器内科主任部長
専門
肺血栓塞栓症、心筋梗塞、狭心症
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2021年05月26日

臨床実績


年間心臓カテーテル患者数
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


カテーテルまでの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

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猿渡 力先生のインタビュー

公開日:2018年12月07日
患者さんを救えた時の感動を原動力に。患者さんと真剣に向き合い、全力で命を守る循環器内科の名医

猿渡先生が医師を志したきっかけについて教えてください

特に親類に医師がいるわけでもなく理由は覚えていませんが、小学3年生の頃には漠然と白衣にあこがれていました。本気で医師を志そうと決意したのは小学6年生の頃からです。当時、NHKの「赤ひげ」というドラマを見て、その中に登場する見習い医師が失敗を繰り返しつつも真剣に患者に向き合って成長していく姿に感銘を受けました。そのほかにも、「白い巨塔」や「ガン回廊の朝」という本も読み、真剣に仕事に打ち込む医師という職業を素晴らしいと思い、医学部を目指すことにしました。

医師となってから、循環器内科を専門にされたのはなぜですか?

私の家族はがん家系で、祖父母や叔父、叔母は皆、がんで亡くなりました。高校2年生の時に祖母が胃がんで亡くなったこともあり、当初は消化器外科医になって専門家としてがんの治療の最前線を見てみたいと考えていました。循環器内科医について考え始めたきっかけは、大学5年次の第二内科(循環器内科)での臨床実習になります。

実習では当時講師をされていたK先生が指導して下さいましたが、K先生はとても紳士的で格好良く、私が憧れている先生でした。ある時、心電図を読むように言われたのですが、全然勉強しておらず、適当に「エーエフです」と答えてしまいました。エーエフには心房細動(Af)と心房粗動(AF)の2つの意味があるので、K先生から「あなたのいうエーエフとは細動ですか?粗動ですか?」と質問されたのですが、当時はそれすらもよくわからず「どう違うんですか?」と聞き返してしまいました。その際、こんなに失礼な質問をしたにもかかわらず、K先生は一言も怒らずに説明をして下さったのです。

私はあまりにも失礼なことをしたと思ったので、昼休みに謝りに行き、「明日から春休みになりますが、できれば循環器内科の病棟で勉強させて下さい」と伝えました。すると、真面目な学生と誤解されたようでとても喜んでいただき、その場で色々な先生に連絡して研修を組んで下さったのです。これは真剣にやらないと、と強く決意したのを覚えています。

素晴らしい先生に出会い、循環器内科医を目指そうと思われたのですね

実はその後、研修医になってもまだ循環器内科か消化器外科で迷っていたので、半年ずつ研修を行い、どちらかに決めようと思っていました。しかし、研修がはじまって間もなく循環器内科の研修があまりにも面白く、もうこれしかないと思いこみ、研修開始から1カ月が経過した時点で入局させてくださいと伝えてしまいました。

循環器内科に面白さを感じたのは、なんといっても勝負が早いからです。病院には様々な診療科があり、診断や治療にかかる時間は科や疾患によって大きく異なります。循環器内科は心臓や大動脈などを治療する診療科ということもあり、治療を行った次の瞬間には結果が出ることも少なくなく、そのスピード感がすごく自分に合っていたのだと思います。

また、循環器内科では具合が悪くなったり、急変したりして生死を彷徨っているような患者さんを診ることが多くあります。心肺停止で来られた患者さんを蘇生して社会復帰させることはすごく難しいのですが、なかには元気になって帰られる方もいらっしゃいます。その時にはすごくやりがいを感じますし、そのような経験を1度でもするといくらでも頑張れてしまう気になります。

循環器内科というと多忙なイメージがありますが、普段の生活はどのような感じなのでしょうか?

今でも当直やオンコール対応をしていて、今月も当直は5回、オンコールは10回以上しています。仕事ではありますが半分趣味みたいなもので、そんなに負担とは感じていないですね。そもそも私は幼い頃から寝るのが嫌いでした。私のなかでは、寝ているのは死んでいるのと同じなのです。確かに循環器内科は忙しい時もありますが、睡眠時間を削ってでも仕事に打ち込むような医師に憧れていたので、循環器内科の仕事は自分に合っていると思います。とはいえ、いい仕事をするためにはしっかり眠ることも大切だと思うので、必要な睡眠時間はとるようにしていますよ。

どのようなお悩みで先生のもとを受診される患者さんが多いのでしょうか?

横浜市では、心筋梗塞など生死に関わるような心疾患を発症した場合、直近にある拠点病院に搬送するというルールがあります。当院はその拠点病院となっていますので、救急で来られる患者さんが多くいらっしゃいます。

また、地域の基幹病院ですので、救急患者さんへの対応以外にも、地域の開業医の先生からご紹介いただく患者さんを精査・加療する役割も担っています。そのため、開業医の先生からの紹介も多いですし、中にはインターネットなどで調べて来られる方もいらっしゃいます。

以前には私が取材を受けた肺塞栓症に関する新聞記事をみて、千葉の病院からセカンドオピニオンで来られた方がいらっしゃいました。この患者さんは、状態が不安定であったため、先方の先生と連携してドクターカーで当院まで搬送を行い、無事に治療することができました。

貴院循環器内科の特徴について教えてください

当院は地域の基幹病院ということもあり、循環器内科では心筋梗塞や狭心症などいわゆる冠動脈疾患の診断や治療を一番の柱としています。救急には特に力を入れており、24時間365日必ず循環器内科医が院内にいるような体制をとっていますし、治療によっては医師一人では対応できないこともあるので、夜間や休日は当直医だけでなくオンコールの医師も常に待機するようにしています。

また、当院には心臓血管外科があり、非常に密に連携を図っている点も強みだと思います。週に1回は合同カンファレンスを行いますし、同じ病棟のため顔を合わせることも多く、日常的に情報共有を行っています。病院によっては心臓カテーテル治療に力を入れるあまり、治療方針が手術よりもカテーテル治療に偏ってしまうこともあるかもしれませんが、当院では心臓血管外科と密に連携をとり、患者さんにとってベストな治療方法を考えていくことができていると思います。

また、本来は手術の適応となる状態でも、手術室の関係や患者さんのおかれた社会的な立場などで、すぐに手術を行うことが難しい場合もあります。本来は手術の方が良いのかもしれませんが、手術が可能になるまで治療を先延ばしにするより、一刻も早くカテーテル治療をした方が良い場合もありますので、当科と心臓血管外科の先生で相談してベストな方法を考え、患者さんにも必ずありのままを説明するようにしています。

先生のご専門について教えてください

私は循環器内科の中でも、特に急性肺塞栓症という病気を専門にしています。急性肺塞栓症はエコノミークラス症候群とも呼ばれ、静脈内でできた血の塊(血栓)が血流に乗って肺に達し、肺動脈が詰まってしまう病気で、突然死してしまうこともあります。

急性肺塞栓症になった患者さんは、心肺停止で搬送されてきたり、目の前で心肺停止になってしまったりすることもありますが、迅速に心臓マッサージやPCPSという心肺補助装置などを用いて治療を行うことで、救命できる場合があります。

同じように血管が詰まる病気である心筋梗塞や脳梗塞では、救命することができても後遺症や機能低下が残ってしまうことが少なからずありますが、急性肺塞栓症はその場の危機さえ乗り切ることが出来れば、多くの場合後遺症や機能低下は残りませんので、治療がうまくいったときには本当にやりがいを感じます。

肺塞栓症の治療ではどのようなことを行うのでしょうか?

肺塞栓症の治療では、血液をサラサラにする薬などを用いて血栓を溶かす治療を行いますが、場合によっては再度血栓ができた時に肺に流れないように腹部にある大きな静脈にフィルターを留置することもあります。このフィルターは、永久に留置しておくものと、病状が落ち着いたら抜去するものとありますが、どちらを使用するかについての判断は医師によっても異なる場合があります。

私は、基本的には急性期の修羅場さえ乗り切ればフィルターは不要だと考えていますので、一時的にフィルターを使用して、症状が落ち着いたら抜いてもよいと考えています。また最近ではフィルター自体もよほど重症でなければ使用しなくてもよいと考えられてきています。フィルターを使用すべきかどうかの判断は患者さんごとに状態をみて判断するべきですし、タイミングも重要だと考えていますので、これまでにも学会やシンポジウムで講演するなどしてフィルターの使用法について周知してきました。

先生の今後の展望について教えてください

私がいま興味を持っているのは、がんや抗がん剤による循環器への影響を扱うオンコカーディオロジー(腫瘍循環器学)という分野で、先日第一回の学会が開催された新しい分野です。がん患者さんは血栓ができやすいと言われており、がんそのものや抗がん剤の副作用が血栓形成のリスクとなると言われています。日本ではがん患者数が増えていますので、それに伴い、治療中に静脈血栓症や肺塞栓症を合併してしまう患者さんも増えているといわれています。

がんの治療中に抗がん剤の副作用で血栓症になってしまった場合、抗がん剤を中止すれば良いと考えられるかもしれませんが、そうするとがんの治療を中止しなければならなくなってしまいます。がんの治療をしながら血栓症などの循環器疾患を予防したり、血栓ができてしまった場合にサポートをしていく分野が腫瘍循環器学です。当院でもがん患者さんが増加しており、いかに抗がん剤を中止せずに血栓症を治療するかというところが循環器内科医としての腕の見せ所だと考えています。

最後に循環器の病気を心配し、受診を迷われている患者さんへのメッセージをお願いいたします

心臓の病気は、胸の辺りの違和感などだけでなく、胃や肩、歯などの痛みを訴えられて受診された患者さんにおいても見つかることがあります。また、心臓の異常として起きる症状は10~30分程度の発作性であることが多く、長時間持続することは稀なため、自然に軽快して症状がすっきり良くなってしまうのはむしろ危険なサインです。

胃や肩、歯が痛い等の心臓以外の症状でも、症状が発作的に起き、短期間で治り、それ以降全く症状がなくなる場合、その症状は心臓から来ている可能性がありますし、数ある病気の中でも、見落としてしまった時に特に弊害が大きいのは心臓に関する病気です。
少しでも不安がある場合には、一度循環器科を受診されてみることをおすすめします。

編集後記

済生会横浜市南部病院は二次救急病院で、病床数500床と大きな病院でありながら、JR港南台駅より歩いてすぐの所に位置し、とてもアクセスの良い病院でした。猿渡先生は、「循環器内科って楽しいんですよ。心肺停止して搬送されてきた患者さんを救えた時の経験だけで、もうずっと頑張れるくらい」と話され、本当に循環器内科医という職業にやりがいを感じ、全力で取り組まれている様子が伝わってきました。また、質問に対して、とても丁寧に答えてくださり、安心して相談できる先生だと感じました。

済生会横浜市南部病院の写真

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