※掲載情報は独自の調査・分析により収集しており、最新かつ正確な情報になるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。
※実際に受診を検討される場合には、直接医療機関にもお電話で問い合わせいただくことを推奨いたします。
白内障の手術など、濁っていた水晶体が手術によってきれいで透明になる、という劇的な変化に「美しさ」を感じたからです。私の父は木工職人で、子供の頃から手先を使う仕事を手伝っていました。そのため手先は器用な方です。眼科の手術は非常に繊細で、手先の動きの正確さが必要とされるため、自分にとって眼科医は天職だと感じています。術前の計画と術後の度数ズレや乱視の残りなどが、なるべくない状態を目指して手術に臨むのですが、こうした精緻な仕事において、すべての手術で完璧を目指す姿勢も職人であった父から教わったところが大きいと思っています。
私の専門は屈折矯正手術ですが、眼科疾患全般を診察することの方が多く、患者さまの8割は一般の眼科診療で受診されます。残りの2割の患者さんが視力矯正治療・老眼治療などの自費診療での受診というところでしょうか。自費診療で受診される患者さんは、ホームページをみて来られる方、他院眼科から紹介された方、知人からの口コミで来られる方など様々です。私は老眼治療の啓蒙という意図もありテレビなどのメディアにも時々出演させて頂いていますが、私が出演した番組をご覧になり遠方から受診される方も多いです。
40歳から80歳と受診される年齢は幅広いですが、50歳代半ばくらいの方が多いと思います。最近は、パソコンやスマートフォンの画面を見続けることにより眼精疲労が蓄積し、老眼に似た症状が生じる「スマホ老眼」で受診される方も増えましたので、40代前半の患者さまも増えてきました。老眼は加齢現象ですから、45歳を過ぎると誰しも老眼になるのですが、症状を自覚する年齢は早まっている印象を受けます。老眼治療を希望される患者さんは増えつつありますが、受診される方の4人に1人は手術には至りません。老眼は年齢に伴う生理的な変化であって病気ではないということもあり、老眼の症状が多少なりともあったとしても、全員が手術の対象になるわけではないのです。手術が必要かどうかは、患者さんの「日常生活あるいは趣味をする上でどれほど困っているのか」という不自由さによるところが大きいです。そのため、手術を受けるタイミングも「老眼鏡が手放せなくなったな」と思うほど見え方に不自由を感じ、生活の質が下がってきた時になります。
まず、老眼の手術は、角膜を削ることで左右の目の視力が違う状態にし、近くも遠くも見えるようにする「レーシック(モノビジョン・レーシック)」という方法と、目の中に遠近両用の「眼内レンズ(人工水晶体)」を入れる方法の大きく2種類に分けることができます。当院では、2017年時点で1,500件以上の老眼手術を行っておりますが、治療効果が半永久的に持続することや、水晶体を人工のレンズに交換するため、水晶体が濁ることで起こる白内障の心配もなくなるメリットもあることから、老眼手術のうち約85%を多焦点眼内レンズ手術が占めています。
老眼治療の多焦点眼内レンズ手術は、遠くと近く、種類によっては中間距離にも焦点をもつ人工水晶体を入れる手術で、保険診療で年間約150万人が受けている白内障手術と手術内容は変わらない、安全性が担保されている手術です。遠近両用になるというレンズの性能の違いから、多焦点眼内レンズ手術は自費診療になってしまい50〜100万円ほどご負担が必要となるのですが、当院の術後データの平均では、裸眼で遠くは1.2以上の視力で、手元は0.7〜0.8程度の視力で見えるようになります。0.4〜0.5程度の視力があれば新聞も読めるので、日常生活上問題のない視力が得られるかと思います。当院の統計データ上では、多焦点眼内レンズ手術を受けた患者さんのうち、もっと遠くや近くを見たくてメガネを作った方は約20%程度にとどまっています。
多焦点眼内レンズ手術にもデメリットはあり、夜に点状の光が滲んだように見えてしまうこと、細かい漢字などは読みにくさを感じることなどがあります。見え方の感覚には個人差があるので、ほとんど気になさらない方も多いですが、夜間に運転する機会が多い方などは、注意すべきかもしれませんね。
近視などの屈折矯正では、近視を矯正するだけでなく、目の中を光が通過する際に生じる「収差」を補正することが重要になります。人の目は個々に角膜のカーブが異なりますし、水晶体や虹彩の影響などで光の焦点がきれいに1点に収束せずコントラストの低下(ぼけ)が生じます。この光りの拡散による歪みを「(高次)収差」といいます。当院では、患者さん一人一人の角膜の形状、虹彩の模様などを精密に測定・解析したうえで施術する、カスタムレーシック手術という全国でも数少ないオーダーメイド治療を行っています。レーシック手術を行うと、少なからず収差は大きくなりますが、近年はこの収差の補正技術が格段に進歩しましたので、パイロットや宇宙飛行士など「目が命」の職業人にも施術が認められています。
私自身も30代でレーシック手術を受け、快適な20年間を過ごしてきたからこそ断言できるのですが、せっかく手術を受けるのであれば、旅行での美しい景色やスポーツを楽しむことができる、活動期の年齢のうちに受けられることをおすすめします。
“裸眼で見たい”という希望を叶える方法は、メガネやコンタクトレンズだけではないことを一般の方々に認知して頂くこと、その希望に応えることができる技術を普及させることに尽力したいです。
日本人は眼鏡が好きなのか、裸眼で見たいという要望に対してメガネやコンタクトレンズを提案するのが主流となっています。そのため、他の先進国よりも屈折矯正治療が遅れていて、屈折矯正手術の割合は海外の10分の1程度に過ぎません。メディアでの啓蒙や医師への技術指導を地道に続け、国内の屈折矯正治療を発展させていければと思っています。
本気で治したいと思っているのであれば、私も本気で治療にあたります。リスクがゼロという外科手術はありません。術後の傷の治りや感染症など、手術そのものとは直接関係しないリスクもあるのです。「ちょっと受けてみようかな」という安易な気持ちで手術に臨むべきではありません。「老眼のせいで不便な日常生活を何とかしたい」、「登山やスポーツを裸眼で楽しみたい」という思いが強い方は、手術に必要な費用を何とか工面されますし、手術に対する恐怖心を克服することが出来ます。患者さまの覚悟が決まっているのであれば、手術だけでなく術後の目の健康を、生涯にわたり責任をもってフォローさせて頂きます。
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