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山口 哲生 先生

サルコイドーシスの名医
掲載開始日:2019年05月20日
最終更新日:2019年07月03日

臨床実績


年間サルコイドーシス患者数
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専門医資格
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学会職位
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学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
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略歴
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受診しやすさ


初診までの待期期間
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医師指定受診
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外来待ち時間
~30分程度

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山口 哲生先生のインタビュー

公開日:2019年10月04日
サルコイドーシスの名医に尋ねる、サルコイドーシスとは

山口先生が医師を志されたきっかけについて教えてください

私は日本文学や古典が好きで、将来は文学部か教育学部に進学するつもりで高校3年次は文系にすすみました。ところが母親は代々医者の家系で、私が高校3年になってから「あなたには医者になってほしかった」と言われたわけです。高校3年次に文系と理系に分かれることを知らなかったのでしょう。母親の落胆ぶりは大きく、あまり自宅に帰ってきてなかった父も母の味方をするので、「医者かー。それもいいか。無医村にいけば世のため人のためになりそうだ」そんな気持ちになって、高校3年生の夏に、医者になる、すなわち医学部に行こうと決めました。もう一年早く決めればよかったのですが、それでも進む道がはっきりしてよかったと思いました。その時は誰も相談相手がいなかったので自分で本屋に行って、チャート式数ⅢA、物理精義、化学精義という本を買い込んで、夏休みに一人で猛烈に理系の勉強をしたのを覚えています。そして千葉大学医学部に進学しました。

ご専門は呼吸器内科、なかでもサルコイドーシスと伺っておりますが、これらをご専門とするには何かきっかけがあったのでしょうか?

内科系の希望はありましたが、すべての分野が面白く感じられてどこの科に行くか決められずにいました。当時は卒業後、大学病院に勤務することが一般的でしたが、私は大学病院ではなく、外の病院でいろんな症例をみてみたいと思っていました。内分泌・代謝、消化器・肝臓などの科ははじめから外の病院勤務というのを許可していませんでした。ところが呼吸器内科の渡邊教授は、私が外病院勤務の希望を伝えたところ「それはいい!」と言って、その場で千葉県内のとある病院の院長に「今、山口くんが呼吸器内科に入局し、そちらの病院に行きたいというので4月からよろしくお願いします!」と電話をされて、そのまま呼吸器内科入局と派遣が決まりました。その病院は、今では3次救急もやっている大総合病院ですが、その頃内科は消化器系の内科医しかいなくて、胃や大腸の造影検査、打診だけでの肝生検は教えてもらってやっていましたがあとは主に独学でした。私の力不足もあって不幸な転帰を取られた患者さんについては今でも忘れられませんし、その経験が「医者の知識と技量で患者の運命がわかれる」という教訓になっていきています。

そして、やはりこのままではダメだと気づいて初期研修2年目に大学病院にもどって他科の研修をうけ、麻酔や救急、外科手技を学びました。その頃はまだ経気管支鏡的肺生検がはじまったころ、結核と肺生理学以上の呼吸器内科学は草分けの時代でしたが、ともかく呼吸器の技術と知識は貪欲に学んでいったと思います。

平成元年。大学に残るかJR東京総合病院(旧国鉄の中央鉄道病院)呼吸器内科に赴任するかの二者択一の岐路にたちましたが、千葉大学で東京都の真ん中の総合病院を確保したいという当時の栗山教授の強い思いもわかり、後者を選択しました。JR病院のすぐ隣には旧国鉄の全職員の健康管理を担う中央保健管理所がありました。赴任するまで知らなかったのですが、そこは「結核初感染の臨床的研究(保健同人社 1948 年)」 を世に発表された千葉保之先生や、サルコイドーシス、石綿肺、胸膜斑などの研究を深められた細田裕先生など、千葉大学の先輩であり、日本の呼吸器病学の分野で偉大な業績を残された先生がたがおられたところであったのです。国鉄職員の検診で、「両側肺門リンパ節腫大があってツベルクリン陰性の例がある。これがサルコイドーシスというものらしい」と、1950年代に千葉先生が言っておられたそうです。また、千葉保之先生のあとをうけて日本サルコイドーシス学会の理事長になられた三上理一郎先生(東京大学第3内科)からサルコイドーシスの学会事務局を手伝ってくれと頼まれたことをきっかけにサルコイドーシスという病気に深く携わるようになりました。

サルコイドーシスとはどのような病気なのでしょうか?また先生が取り組まれた頃と比較して病像の違いはありますか?

以前はサルコイドーシスという病気は、教科書的には、肺の入り口の太い気管支がある部位(肺門部)のリンパ節が腫れ、自覚症状に乏しく、自然に治る病気と記載されていました。初期の頃は、あまり症状もなくただ肺門リンパ節腫大だけがあり、多くは自然に治癒していくというこの病気は、どこに面白さがあるのだろうと思っておりました。

しかし、学会の事務局にもなったので後にも引けず、診療を続けて勉強もして、サルコイドーシスを専門的に診る外来を開くことになりました。ところが5年、10年と長く続けていくうちに次第に患者さんの病像が変わってきました。徐々に肺病変以外にも、他の臓器病変、すなわち眼、皮膚、神経、心臓、骨、筋肉、腎臓などなど全身のいたるところに症状が現れる人が増えてきました。それから全身の強い痛みや倦怠感などの説明しがたい様々な症状を訴えるために他の医師では診療が難しい患者さんもでてきました。私がサルコイドーシスを専門的に診る外来を開いているために、全国から治療が難しい患者さんが集まってくるのだろうと言う方もいらっしゃいましたが、どうやらそうではなく、サルコイドーシスの病像がこの30年でめざましく変わってきたといえるでしょう。この病像の変化には本当に驚いています。

どうして病像が変化してきたのでしょうか?

病気の原因菌と宿主の間でくりひろげられる免疫反応が変わってきているのでしょう。では、サルコイドーシスの原因とはなんなのか。サルコイドーシスは成書では、「原因不明の肉芽腫性疾患」としか書かれていません。しかし、東京医科歯科大学人体病理学の江石義信先生を中心とした精力的な研究の結果から言えることは、サルコイドーシスは、にきびからよく分離されるアクネ菌(Propionibacterium acnes 現在はCutibacterium acnesといわれる)が原因であろうことはほぼ間違いありません。アクネ菌は人体の皮膚などに常在している嫌気性菌で、ほかの細菌による攻撃から人体を守っている共生菌でもあります。アクネ菌は経気道的に肺や肺門リンパ節にはいってきて潜伏感染をおこします。非サルコイドの多くの成人でもアクネ菌がそのように潜伏感染していることが証明されています。そして過度なストレスや睡眠不足など、身体内の環境を変化させる何らかの引き金が引かれた時にこの菌は細胞内で増殖するのですが、ごく一部の人はこのアクネ菌増殖にたいして、例えば蕎麦アレルギーや化学物質過敏症のような過敏症を起こしているのだろう、すなわち、その過敏症を持っているごく一部の人たちがサルコイドーシスを発症しているのだろうと考えています。

今、この考え方を「アクネ菌病因説」として江石義信先生とともに日本や世界の人たちに広めているところです。サルコイドーシスの肉芽腫の中にこのアクネ菌が頻度高く多数みつかることは間違いありませんが、アクネ菌病因説はまだ科学的には仮説としかいえません。しかし、皆がアクネ菌病因説に関心をもつようになれば、どこかでさらに研究がすすみ、ブレークスルーが生じるだろうと思っています。

まだまだ珍しいサルコイドーシスですが、患者さんが先生のもとを訪れるきっかけはどのようなことでしょうか?また診療で大切にされていることを教えてください

サルコイドーシスは発病時の病像が多彩でその後の臨床経過が多様です。いろいろな症状をおこしますし、その後の臨床経過も様々なわけです。経験のない先生は、多彩な症状・所見を呈している本症患者さんを目の前にしてどうしてよいかわからず、自分は専門ではないから別のところに行ってくれ」とよく言われるようです。私のところでは、サルコイドーシスの専門外来を設けているので、紹介されて、または自分で探してサルコイドーシス専門外来をみつけていらっしゃる患者さんが多いです。サルコイドーシス友の会という患者会もあり、どうしたらいいかと困った場合に、友の会からの情報を頼りに遠くからお越しになる患者さんもいらっしゃいます。

多彩な症状(熱、痛み、だるさ、息切れ、しびれ、体重減少、皮膚、眼、神経、肺などのさまざまな所見など)を訴える方の場合には、治療方法は患者さんごとに異なるとも言えます。肺に病変がみつかってサルコイドーシスと診断されたけれど全く無症状であるという方もおられます。そして一般的に使用されるさまざまな薬に副作用がでやすいのも特徴のように思います。そのため、よく話し合って、一番良い治療を選択するという努力が大切になります。サルコイドーシスはステロイドや免疫抑制剤を処方すればよいというような簡単なものではありません。

難病のサルコイドーシスと診断されて、患者さんはとても不安をかかえてこられます。私は2015年に厚労省からサルコイドーシスの診療ガイドラインをつくるようにいわれてしばらく世界の研究成果をまとめていましたが、結局本症はわからないことだらけだということがわかりました。このままでは、どういうふうに治療するのがベストかとか、今後の病気の見通しはどうかとか、これからどんなことに気をつければよいかとか、そういう一番大切なことを伝えられないものしかできないということに気づいて作成を一時期ストップしました。それから作り直して、「サルコイドーシス診療の手引き2018」としてサルコイドーシス学会のホームページに掲載してありますが、やはり病因論から考えてその患者さんの状態を語ってあげないと本当のところは伝わらないです。私のサルコイドーシスのデータベースは1000例をこえていますので、これまでの経験を踏まえて自分の信じる最良の治療方法と、日常生活のことや将来の見通しについてもお話しするようにしています。

今私が働いている新宿つるかめクリニックは、外来だけのクリニックでありながら1フロアに13の診療室があり循環器、消化器、リウマチ膠原病、総合内科、眼科、皮膚科、整形外科などほぼすべての科がありますので多臓器疾患を診療するにはとてもやりやすいところです。上の階は健診・人間ドック、特殊検査にあてられています。また漢方診療科がありますので、全身症状の強い人は漢方診療科と連携して煎じ薬を調合してもらいながら診療することが多いです。

今後の展望について教えてください

「サルコイドーシスは原因不明の肉芽腫性疾患」とされている限りは、なぜあのような病気がおこるのか、また治療法はどうすることが最善なのかなど、何もわからないままです。最近はいろいろな治療方法を試していてそれなりに手応えがあるものもありますが、みながそれでよくなるわけではありません。辛い人たちは本当につらい思いをされています。なんとかアクネ菌病因論でまず間違いないことを世界中の人に気づいてもらって、一番良い治療方法をともに考えていってほしいと思っています。共感してもらうためには、世界の人が納得できる臨床の論文を書き上げるしかないので、その作成をライフワークとして努力しています。

関連情報

サルコイドーシス診療の手引き2018
http://www.jssog.com/www/top/kenkai20118.html

新宿つるかめクリニック サルコイドーシス専門外来
https://www.ne.jp/asahi/h/sato/tokyo1.htm

サルコイドーシス友の会
http://www.ne.jp/asahi/h/sato/

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