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桃原 哲也 先生

心臓弁膜症カテーテル治療の名医
千葉西総合病院
循環器内科主任診療部長、SHDセンター長
専門
虚血性心疾患、心血管カテーテル治療、TAVI、弁膜症の治療
掲載開始日:2018年08月10日
最終更新日:2024年04月11日

臨床実績


年間弁膜症カテーテル治療患者数
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


手術までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
*** 時間程度

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桃原 哲也先生のインタビュー

公開日:2018年10月05日
弁膜症治療の固定観念を変えたTAVIを日本にも導入させる!循環器内科医の夢

桃原先生が循環器内科をご専門とされた経緯やその魅力について教えてください

大学在学中に医学を学ぶ中で、将来はどの診療科を専門にしようかと考えたとき、人間の中で頭と心臓は特に大切な部位であるから、頭であれば脳神経外科、心臓であれば循環器内科を専門にしようと思いました。とはいえ、どちらにするかなかなか決められないまま6年生になり、脳神経外科であれば沖縄県にある脳神経外科で有名な病院、循環器内科であれば東京女子医科大学病院が初期研修先として受け入れてくださることになりました。どちらの病院にお世話になろうかと考えたときに、私は沖縄出身だったので、沖縄に戻るともう沖縄から出ることはきっとなくなるだろうなと思い、東京に行くこと、すなわち循環器内科を専門とすることに決めました。

それからというものずっと循環器内科の医師をしています。循環器内科は救急車で患者さんが運ばれてくることが多く、まさに生死をわけるという状況に幾度となく遭遇します。そのようなときに我々が治療することで症状が劇的に改善し、患者さんの命が助かるというのはとても大きなやりがいがあります。つまり、治療の効果がわかりやすいこと、患者さんを命の危機から救い出せること、これが循環器内科の最大の魅力ですね。

近年、循環器内科のカテーテル治療領域ではTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)という治療が台頭してきました。貴院(※取材時は榊原記念病院)でもTAVIを行っておられますが、導入のきっかけがあれば教えてください

TAVI(transcatheter aortic valve implantation)とは、大動脈弁狭窄症の治療の一つで日本語では経カテーテル的大動脈弁植込み術といいます。現在、この治療は高齢や併存疾患などの影響で開胸術による大動脈弁置換ができない患者さんが主に適応となります。

TAVIは2002年にフランスで初めて行われた術式ですが、当時の日本にはまだほとんど情報がなく、2008年に実際に治療を見てみようと当院(※取材時は榊原記念病院在籍)心臓血管外科の高梨医師と共にイタリアまでTAVIの見学に行ったのです。そこではじめてこの目で治療を見て、”これは従来の弁膜症治療の固定概念が覆される全く新しい術式だ!”と、感動したのを今でも鮮明に覚えています。そして同時に、”この治療が日本でできればこれまで手術が必要だが手術を耐えるだけの体力がないと治療ができなかった患者さんも救えるはずだ。将来TAVIは必ず日本でも広まる術式に違いない。”と希望がわいてきました。

そこから、日本でTAVIを実現させるという夢を持って取り組んできました。当院は2010年にTAVIの治験へ参加したことに始まり、それ以降はTAVIに力を入れていますね。2016年11月30日までは原則、全身麻酔下でTAVIを行ってきましたが、カテーテルが細くなりカテーテルが血管を突き破ってしまうなどの血管性の合併症が減少したことや、その他のデータからも安全性が確立されたと判断できたので2016年12月1日より全身麻酔から局所麻酔と鎮静へと麻酔を変更しました。ですので、10年かけてTAVIを日本でも実施するという夢をやっと実現できました。

貴院(※取材時は榊原記念病院)でTAVIを受けられる患者さんにはどのような方が多いですか?また、TAVIを受けられる患者さんが来院されてから治療を受け退院されるまでの流れについて教えてください。

多くの患者さんが紹介で当院を受診されます。東京23区、埼玉、千葉、神奈川、山梨などからもいらっしゃいます。中には東京に住んでいるご子息が地方に住む親御さんのために当院をお調べになって来院されるというケースもありますね。当院を受診されるとまずは心エコーを行います。そこで疾患の重症度を判定し、治療の必要性と緊急性を検討します。

TAVIを行うべきと判断した場合は3〜4泊程度の精密検査入院中にカテーテルやCTを用いて治療が可能か精査します。その後、2〜3週間以内にTAVIを行うために再度入院していだきます。TAVIを行う際の入院期間は概ね5日〜1週間程度です。治療後は定期的に心臓リハビリテーションを行っていただきます。遠方から来院されていて当院でのリハビリテーションが難しい場合にはご自宅の近くの医療機関をリハビリテーション先としてご紹介することもあります。

当院へ紹介された患者さんの85%程度の方はこのような流れで治療を終えてご自宅にお戻りになられます。しかし、精密検査の途中で重症かつ治療の緊急性があると判断された場合はそのまま入院を継続し、TAVIを受けていただきます。

TAVIは現在限られた施設でしか行われていません。その中でも貴院(※取材時は榊原記念病院)は優れた実績を有しております。その秘訣はなんでしょうか?

TAVIは、2018年7月23日時点では許可を受けた全国142施設でしか行われていません。(※TAVIの治療許可を受けるためには年間平均20件以上の実績が必要)ただでさえTAVIを行っている施設の数は少ないのですが、その中でも当院ではこれまで国内で実施されたTAVI約 1万1000件を対象とした治療後30日以内の死亡率調査において、TAVI実施施設の全国平均1.3%を下回る0.8%という治療実績を誇っています。

なぜこのように高い治療実績をあげられているかというと、当院は循環器内科と心臓血管外科が一体となって治療に邁進していることがその最大の要因でしょう。心臓に対する治療を行うという目的において、カテーテル治療を行う循環器内科と外科的手術を行う心臓血管外科、一見すると治療方針に関して意見が合わず患者さんの取り合いが起こるなど、仲が悪そうだというイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、我々は循環器内科と心臓血管外科が1つの”ハートチーム”として、常に患者さんにとって最善の選択肢をフェアに追求しています。

国内においてTAVIの先駆けとして治療に取り組んできた循環器内科があるため地域の先生は安心して患者さんを当院に紹介できる→来院される患者さんが増えるとTAVIの実施件数も増加し循環器内科にはさらなるノウハウが蓄積される→精査の結果患者さんがTAVIの適応外である場合、頻度は低いですがTAVIの治療中に合併症が生じて緊急手術が必要になった場合には手術実績豊富な心臓血管外科が治療を担当することになりますが、そもそもの患者数が増加することで心臓血管外科の手術件数も増加する。

このような循環を通して我々は全国のTAVI実施施設の平均を上回る実績をあげているのです。循環器内科はいざというときの頼みの綱として高梨医師をリーダーとする実績豊富な心臓血管外科を信頼しているからこそ安心して様々な患者さんを受け入れられますし、心臓血管外科はTAVI有する循環器内科が積極的に患者さんを受け入れるから多くの手術をすることができる。お互いをプロフェッショナルとして尊敬し合い、信頼し合っているからこそ成り立つ絶妙な持ちつ持たれつの関係なのです。

他院の医師からも、”ここまで連携を密に取ることができている病院は全国的にも珍しいですね。”とお褒めの言葉をいただくこともよくありますよ。

これまでTAVIの治療に邁進されてきたかと思いますが、印象に残っている出来事はありますか?

私がこれまで経験した中で印象に残っているのは、ある患者さんのご子息のエピソードですね。ご両親の手術が必要だとわかってからご自身でたくさんの情報を調べて来られて、治療以外でも選択肢があるのか、またその治療にも対応できる実績があるのか、もしもの時には手術ができるのかとか、そしてその手術の実績も確かなのか調べて来られた結果、総合的に循環器の治療の成績が良いと判断してこられました方がいました。

インターネットを使って様々な情報を自ら調べられる今の時代、特定領域に特化しているだけではなく、内科や外科を問わずどの治療がベストな選択肢なのか議論でき、患者さんに選択肢を提示できることが重要なのだと実感しました。その中でTAVIはやはり有効な選択肢になっていることは間違いないですね。例えば、”開胸術しかできない病院”と“開胸術もできるし、TAVIもできる病院”のどちらを受診したいか、患者さんの気持ちになって考えてみると、選択肢を多く提示してもらえて、それぞれのメリットやデメリットをフェアに評価し、納得した上で治療を受けられる後者を選びたくなると思いませんか?

桃原先生は患者さんと病院を適切につなぐために、学会や講演などの院外活動で「シュッシュ運動」という啓発活動に注力されていると伺いました。具体的にどのような運動か教えてください

「シュッシュ運動」とは、開業医の先生に対して患者さんの誕生月に胸の真ん中に聴診器を置いて心音を聴き、”シュッシュ”という音がしないか聴いてみてくださいね、とお伝えする啓発運動のことです。もしもシュッシュという音がしたら程度の差はあれど必ず異常が潜んでいるということになります。1年に1度心音を聴く、それだけでいいのです。実際にこの「シュッシュ運動」がきっかけとなって患者さんが当院に受診されることも増えてきました。早期に異常がわかれば重症化する前に治療を受けられ、患者さんのQOLも維持できるので今後も続けていこうと思っていますよ。

今後の展望について教えてください

私は現在54歳(※取材当時)なのですが、残りの医師人生は引き続き治療に熱心に取り組むだけでなく、後輩医師の指導やチームをさらに成熟させるような働きをしたいですね。また、私は啓発活動にも取り組んでいますが、やはり患者さんの状態が重症化する前に治療を受けることは大切だと思っています。日頃息切れがするということや、ドキドキするというような自覚症状がある場合には一度思い切って症状を相談されるといいと思います。当院に来ていただければ万全の体制で検査、治療をさせていただきます!

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