
私は当初から医師を目指していたわけではなく、もともとは音楽家になりたいと考えていました。両親が音楽家なので、その姿を身近に見ていたこともあり、将来プロとして活躍することを夢見ていました。しかし、プロになるには自分の実力が足りないと感じ、高校の頃にその夢を断念しました。その後、自分がどのような道に進むかを改めて考えてみましたが、ずっと続けていく職業ならば誰かのためになることをしたいと思いました。「困っている人を助けられる仕事」ということを考えたときに、医師が真っ先に頭のなかに浮かびました。徐々に自分の中で将来のイメージを固め、最終的に医学の道へ進む決意を固めました。
また、医学部を選んだのは、私が大学で学ぶなら「実学」を学びたいという思いが強かったのもあります。より具体性の高い学びを得ることで、自分の将来像についてもはっきりイメージできるようになります。自分が学んだことがそのまま形となって活かせる、というのは何かを学ぶ上でも大きなモチベーションになります。そのような点から考えても、医学は実学の最たるものであると思いました。日々の診療において患者さんに喜んでもらえるのはとてもやりがいがありますし、医師を志してよかったと今は強く実感しています。
腎移植に興味があったというのが、泌尿器科を選択した理由ですね。東京女子医科大学病院の泌尿器科へ入局したのですが、東京女子医科大学病院は日本でも移植医療において有数の実績のある医療機関ですので、非常に多くの移植医療へ関わることができました。ですが移植に携わるうちに、徐々に治療法への疑問が自分の中に湧いてきたため、自分が行う医療の方向性を少し見直してみようと考えました。
その後は、東京女子医科大学の先端生命医科学研究所で再生医療の基礎研究を行い、博士号を取得、さらにカリフォルニア大学サンフランシスコ校へ留学し尿路の発生と再生医療についても学びを深めることができました。帰国後は、再生医療の応用の可能性が高い小児泌尿器科の分野をサブスペシャリティーとして、神奈川県立こども医療センターに赴任。在籍中は8年間で2500例以上の手術にも携わり、大変多くの臨床経験を積むことができました。
泌尿器科専門医のいるクリニックが少ないというのもそうですが、それよりも小児から成人まで幅広く対応できるクリニックがないことの方を危惧して、という思いが強いですね。
小児泌尿器科で治療を受けている方も、18歳ごろまで成長するとその病院を卒院して、成人を対象としている別の医療機関にて継続加療を受ける必要が出てきます。ですが、小児泌尿器科と成人の泌尿器科では、対象としている疾患も異なりますし、診療もそれぞれ独立していますので、成人を対象とする泌尿器科医は、小児泌尿器科についての知識が不足しがちであり、適切な治療法を提案できない可能性が起こり得てしまいます。
従来通りの「子供は小児泌尿器科」「成人は泌尿器科」のままですと、通院先に困ってしまう患者さんを救うことができないと考え、患者さんの生涯を支えるクリニックの必要性を小児病院在職中から強く感じていました。私は成人と小児の両方の泌尿器科を経験していたので「成人への移行医療」を安心して受けられるクリニックを作りたいと思い、4年前に開院することを決めました。
夜尿症は小児泌尿器科領域で最も頻度の高い疾患です。原因は単一的なものではなく、様々な要因が複合的に関わって起きると考えられています。主な要因としては膀胱容量の低下、夜間尿量の増加、覚醒障害などがあります。睡眠時の蓄尿コントロールが正しく機能しないことで、夜尿症をきたしてしまうと考えられています。
夜尿症の治療方法は生活指導、服薬、夜尿アラームなどがあります。夜尿アラームは夜尿症治療のファーストラインとして世界で推奨されています。夜尿アラームは市販もされており、病院へ通院しなくても治療を行うことができます。アラーム治療では夜尿をするとセンサーが反応して夜尿アラームがなる仕組みとなっており、アラームがなることによって排尿直後に覚醒刺激が与えられ脳が訓練されます。繰り返しアラーム治療を行っていると次第に夜間の蓄尿量が増し、夜尿頻度が減り治癒に至るというものです。ですがアラーム治療は治療効果が即座に現れる手段ではなく、使用方法や治療の経過が問題ないかという点についても、ご家族の方だけでは評価が難しいという難点があります。
そういう知識面についても、医師が適切に伝えてあげる必要があります。夜尿症の治療では患者さんや家族が状況を正しく認識でき、悩みを抱え込まないようにすることが重要ですので、一度は専門医に相談することをお勧めします。
患者さんとその家族が、笑顔でクリニックを後にすることを最も大切にしています。小児の診療では保護者への説明が中心となり、患児が置き去りにされることがしばしばありますが、そのような状況は好ましくありません。相手が子供であってもそれぞれの理解度に合わせて説明を行いますし、病気が複雑な場合であれば、より丁寧な説明を心がけます。
また思春期の患者さんでは、保護者の方とは別に説明する機会を作ることもあります。診療にいらした患者さんの悩みを正確に把握し、解決の方向へ導いてあげることを大切にしています。
赤ちゃんから100歳のご老人まで年齢に係らず泌尿器科領域の相談ができる専門性の高さが当院の特徴です。泌尿器の専門医が最新の医療を提供し、治療方法についても最新のものをお伝えするので、患者さんが疑問を残さずに治療へ望めると考えています。
私は毎週水曜日に公立昭和病院で成人および小児の外来診療と小児の手術を、隔週木曜日には都立小児医療センターで小児排尿障害外来も行っています。当院へ来院された患者さんに、病診連携を通したシームレスな医療を提供できることも強みの一つだと考えています。
泌尿器科というのは、通院するまでに非常にハードルの高い診療科だと思います。例えば患者さんが女性の場合ですと、お持ちの病気が泌尿器科疾患であるにも係らず、 泌尿器科を受診するのは全体の4割程度というデータもあります。
しかし、泌尿器科は専門性の高い領域ですので、他科に受診された場合、適切な診療方針を立てられず、医療機関と患者さん双方が困ってしまうというケースもあります。診断治療が遅れないようにするためにも、思い切って泌尿器科を受診してください。当院では「病気はつらいけど、このクリニックを受診してよかった」と思っていただけるように心がけています。
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