
幼少の頃に漠然と医師か歯科医師になりたいと思っていたことは記憶にありますね。そしていざ大学受験を控えて進路について考えたときに、現代国語が苦手だったこともあって文系に進むのは難しいなと思い、理系に進むのであれば幼少期の思いのままに歯科医師を志すことにしました。
歯科の中でもインプラントを専門にしたのは、大学を卒業して最初に勤務したクリニックの先輩歯科医師の影響が大きかったですね。それに加えて最初に勤務したクリニックは、インプラントの材料の開発もしていました。また、もともと外科的な処置が得意だったこともありインプラントの専門医をとりました。
1998年10月に当院を開業して以来、場所の移転もしましたが、今年でちょうど20年目になります。私はインプラントの専門医資格を保有しているので、開業してもインプラントを強みとしています。ただ、インプラントだけではなく、当院には矯正を得意とする医師も在籍していますので矯正も行っています。
当院に来られる患者さんの8〜9割は他院からの紹介で受診されるので、紹介を受けて外科処置を行うこともあります。あとは審美治療を求めて来院される方がかなり多くいらっしゃいます。審美治療は主にセラミックを用いた治療になりますが、付加的にホワイトニングなどを行う場合もあります。審美治療やインプラントというと専門性が高く感じるかもしれませんが、一般診療がしっかりとできるという基礎があってこそできる治療ですので、もちろん、一般的な歯科診療も日々、行っています。
インプラントといった特定の治療のみに特化するのではなく、一般的な基礎のもとで全ての治療をできるようにしたいと思っています。基礎を大切にしたいというのは、例えばインプラントでは噛み合わせも大事になってくるからです。基礎のない歌手が歌を歌っても聴衆を感動させることができないように、基礎というのは非常に重要です。専門医ではなくてもインプラント治療をすることはできますが、専門医は一定の知識や技術を修得している証ですのである程度の質は担保されていると思います。
私は開業当初より「健康美」、「ペインフリー」という考え方を大切にしています。
「健康美」というのは歯が健康であり、かつ美しいということです。ただ歯が白いだけというのは本当の意味で美しくはありません。歯の健康と美しさのどちらかだけではなく、学術的な背景を持ちながら、両方を合わせ持つための治療を行うことが重要です。
「ペインフリー」というのは、直訳すると「無痛」になりますが、どういう意味でこの表現を使っているかに注意をする必要があります。昔は麻酔をしないで治療をするので痛いということがあったかもしれません。今は麻酔をしたうえでの治療が一般的になっていますが、麻酔をすることで治療時に痛みを感じないのと、麻酔の注射が痛くないのでは大きな違いがあります。おそらく治療を受けられる方は、麻酔の注射を打つ際の「チクン」が痛いのではないでしょうか?そのため私の治療では最初の「チクン」が痛くないように心がけています。もちろん、麻酔の種類や、誰がやっても元々痛みを伴ってしまう処置もあります。そういった場合には鎮痛剤の飲み薬も併せて痛みの少ない治療をしていきます。
インプラントを受けられると虫歯になることはありませんが、きちんとケアをしなければ歯周病と同様の状態になってしまいます。日頃の診療でもよく患者さんにお伝えするのですが、インプラントの寿命はおおよそ20〜30年ほどと言われています。しかし、ケアを怠ると10年程度で入れ替えが必要となってしまいます。インプラントを入れたからといって口腔内が一生健康でインプラントの寿命も一生もの、というわけではありません。今は人生100年とも言われており、インプラントの寿命が20〜30年であることを考えると一生で何度も施術するということも考えられます。
インプラントを受けられる際には、同時に全身の状態、すなわち医科の管理も大事です。体に何らかの異変があって免疫が低下すると、口腔内は特にその影響を受けやすいです。そのため全身状態の管理はとても大切です。
また、高齢化や介護の問題もありますね。現在インプラントは自費診療です。インプラントを入れていらっしゃる方が高齢になり自宅から出ることが難しくなった時、インプラントにトラブルがあっても保険適用は難しいので往診では治療ができないということもありました。歯科も高齢化と向き合う必要があります。
患者さんのプライバシーを大切にしています。隣で治療を受けている人が知り合いだったら、とか、入れ歯にしているのを周りに知られたくないという方もいらっしゃると思います。それに口の中を見せるというのは恥ずかしいと感じられる方もいらっしゃると思いますので、完全個室にすることでプライバシーに配慮したいという思いがあります。
他にも、特に審美治療やインプラントを検討されるにあたっては見積もりを出すようにしています。というのも、審美治療やインプラントを行う上での懸念点として費用の問題が挙げられます。昔に比べると多少は安くなってはいますが、高額な治療であることには変わりありません。そのため、当院では患者さんが治療をするかしないかを判断される前に見積もりを出すようにしていて、希望する治療と費用について複数の選択肢を提示するようにしています。その際には各選択肢のメリットやデメリットを必ず説明するようにしています。
審美治療やインプラントの治療をする際に価格だけで治療を決めることはあまりお勧めしません。しっかり歯科医師と相談をして決めることが大切だと思っています。
名医とは良医である事かもしれませんね。名ばかりの先生ではなくよく話を聞いてくれて、治療法について誤った認識があれば専門的な立場から歩み寄り、お互いにとって適切な治療法を選択できる医師が名医なのではないかと思いますね。最近は患者さん自身がインターネットで様々な情報を調べ、自分にはこの治療法が必要だとおっしゃる方も多いですが、実際に口腔内を拝見すると、別の治療法が良いと判断することもあります。ですから、やはり患者さんの相談に親身になり、様々な選択肢を提示できるということは重要なのではないでしょうか。
歯や耳鼻咽喉、食道、胸部というのは身体の中でも比較的近い場所にあり、密接に関わっているのですが、現在の医療では歯科はこの範囲まで、など様々な診療科の間で細分化された住み分けがあります。歯科も全身と密接な関係がありますので、将来的にこの住み分けが小さくなり、より密接に各診療科が連携して治療ができたら良いのではないかと思います。また歯科で言えば今後さらに再生医療が進歩していくと思いますね。
当院に関しては私以外にも歯科医師が在籍していますので、教育的な面も含めて後継者を育てていけたらいいなと考えているところでもあります。
審美治療やインプラント治療を迷っている方はまずは相談にいらして実際に医師の意見を聞いてみてください。ある程度の情報はご自身で調べられる時代ですから、いい先生がいるなと思ったらまずは足を運んでみるといいと思います。
また、これからは予防歯科がますます重要になってきます。皆さんは月に1度、2ヵ月に1度といったように定期的に美容院に行かれますよね。しかし歯科においては気がつけば3年間1度も行っていないという方も多くいらっしゃるかと思います。歯科も治療が必要になった時だけではなく、何もなくても3ヶ月に1度は定期的に診察を受けるということが理想です。3ヶ月に1度というのは、口腔内を除菌してから3ヶ月後にはまた口内細菌が増えてくるからです。歯石もそうですし、バイオフィルム(口内細菌の塊、プラーク)を除去して、綺麗な状態で薬を塗らなければ意味がありません。人生100年の時代ですから普段から歯にも気を遣っていただきたいですね。
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