
中学生の頃から「将来は病気や怪我で苦しんでいる人を助けたい」という思いがあり、医師を志しました。数ある専門領域の中でも耳鼻咽喉科を専門として選んだ理由には、医学生時代にアレルギー性鼻炎のレーザー治療に先駆的に取り組まれていた教授の講義を受けたことがきっかけです。薬物療法以外の治療法がまだあまり一般的でなかった当時、薬を内服しなくても鼻水や鼻づまりなどのつらい症状を数年間、抑えてくれるレーザー治療は非常に画期的でした。そこで最先端の治療に触れることができる耳鼻咽喉科を専門とすることにしました。
耳鼻咽喉科・アレルギー科・気管食道科を標榜していますので、この領域に関して様々な症状をお抱えの方が、赤ちゃんから年配の方まで幅広く受診されます。
耳の病気では中耳炎や難聴で受診される方が多いです。中耳炎は、鼻水に含まれる細菌が耳管を通って耳に侵入してしまうことで発症します。そのため鼻水を取り除いてあげることが一番大切であり、主に自分で鼻を上手にかめないお子さんに対して鼻水を吸引する処置を行います。また耳の奥に膿がたまっているような重症の場合であれば、鼓膜を切開して膿を取り除く手術を行うこともあります。中耳炎は子供に起こりやすい病気であり、治療を行なっていく上では鼻をすすらず、かむようにしていく習慣付けが大切になるので、それぞれのお子さんに合わせて指導も行います。
耳垢が大きい場合や固い場合ですと自宅で取りきれないこともあるため、当院へ来院していただき除去するという方も少なくありません。また難聴は若年では突発性難聴、高齢の方では老人性難聴で受診される割合が多いですね。突発性難聴には主に内服での治療を行って経過をみていきますが、老人性難聴は難聴が進行すると生活に支障を来たすだけでなく、認知症を起こすリスクも高まってしまうため、予防のために補聴器を使用していただくよう勧めています。補聴器は2018年4月より医療控除の対象になったので、より導入しやすい医療機器になりましたね。
鼻の病気では、当院はアレルゲン免疫療法に力を入れていることもあり、スギ花粉やダニなどを原因とするアレルギー性鼻炎で受診される方が多いです。アレルギー性鼻炎に対する治療では、内服薬や点鼻薬に加え、鼻粘膜を焼灼して鼻閉や鼻漏を軽減させるレーザー手術も対症療法として実施しています。また、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を少しずつ、継続的に舌下投与することで体質の改善を目指す舌下免疫療法なども積極的におすすめしています。
咳が長引く方にはスパイロメトリーという呼吸機能検査を行い、肺年齢、肺活量、一秒率などを測定し、喘息やCOPD等の鑑別に役立てています。
めまいの方にはまず重心動揺計という検査を行い、めまいの原因が脳の異常によるものなのか、耳の内耳という器官の異常によるものなのかを調べていきます。またいびきや睡眠時無呼吸症候群の方には睡眠時ポリグラフィーという検査をご自宅で睡眠中に行って頂きます。睡眠時ポリグラフィーの結果が重症の方にはC-PAPという機械で加圧した空気を鼻からのど、気管、気管支といった気道に送って気道を広げることで無呼吸を改善する治療法をお勧めしています。
舌下免疫療法は、ダニやスギ花粉などのアレルゲンを含む錠剤を一日1回舌下に投与して身体をアレルゲンに慣らせて、体質を根本的に改善する治療法です。免疫療法には皮下注射によりアレルゲンを投与する皮下免疫療法と舌下に投与する舌下免疫療法があります。
2014年にスギ花粉症、2015年にダニアレルギーに対する舌下免疫療法が保険適応になった際は、12歳以上という年齢制限があり、小児の治療は皮下免疫療法に限られていました。小児期のアレルギーは重症化し易く、ダニアレルギーは喘息の原因にもなり得るので、アレルギー発症早期から免疫療法を行い、継続することの意義は成人の治療よりも大きいのですが、皮下注射により痛い思いをさせてしまうのが難点でした。2018年2月からはダニアレルギー、2018年6月からはスギ花粉症の年齢制限がなくなったので、今後の普及が期待されます。
スギ花粉症は花粉が飛散していない時期に行う必要があるため、6〜12月に開始します。ダニアレルギーは特に流行の時期などがないため、通年で開始できますね。今までにアレルギー検査などを行なって、既にスギ花粉やダニアレルギーの検査が陽性であることが判明している方はすぐに治療が開始できますが、検査をしたことがない方は初診時には血液検査を行います。
初回は院内でスギ花粉やダニアレルギーを含む舌下錠を投与し、その後30分間はアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用が出ないかどうかの確認のため、院内で経過観察します。開始当初は副作用として口腔内の痒みなどが出現することもありますが、アレルゲンに身体が慣れてくるにつれて消失します。その後は月に1回の期間で医師が経過を確認する必要がありますが、御多忙で受診が困難な方で特に異常が認められない場合であれば、遠隔診療にて受診のお手間を省いて頂くことも可能です。
治療にかかる費用も比較的安価で、3割負担の方でダニアレルギーであれば1日60円、スギ花粉症であれば1日43円です。多摩地区の小中学生は、保護者の収入にもよりますが1回の受診でかかる費用は、薬代と診察代も含めて200円で済む方もいらっしゃいます。未就学児の場合ですと、窓口負担はありません。
根本的な体質改善を目指すとなると少なくとも5年間治療を継続する必要がありますが、軽症の方であれば約半年程度で、鼻づまりの消失などの改善が実感できます。体質改善には長期間かかることや、スギ花粉症の舌下免疫療法はいつでも開始できるわけではないことを考慮すると、まずは数年間効果が持続するレーザー治療を併用して多量の鼻水などの症状を軽減させつつ、舌下免疫療法を行って体質改善を図るという治療計画が理想的でしょう。
舌下免疫療法はアレルギーの根本的な治療であり、特に小児においては、アレルギー症状の重症化を予防する非常に有益な治療と考えます。しかし、まだ一般の方に普及していないというのが現状です。地域の学校関係者も巻き込みながら舌下免疫療法について少しでも多くの人に知って頂き、アレルギー性鼻炎で苦しんでいる患者さんのお役に立ちたいと思っています。
耳・鼻・のどにお辛い症状があるときには、できるだけ早く耳鼻咽喉科の受診を検討してください。特に当院では2018年8月末の時点で、ダニ舌下免疫療法を700例以上(アシテア455例、ミティキュア245例以上)行なっており、免疫療法についての経験が豊富です。アレルギーの根本的治療を望む方は、ぜひ当院を受診してみてください。
花粉症の症状が辛いから、ドラッグストアで市販薬を買うという対処方法では、毎年同じ症状で悩むことになりますし、耳鼻咽喉科の意義もなくなってしまいます。アレルギーなどの新しい治療法についての情報は、専門医のもとでしか入手できないことも多いですから、お困りの症状があるときにはインターネットの情報だけを参考にせず、お気軽に受診なさっていただければと思います。
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村川 哲也先生の口コミ
診察も丁寧で、相談しやすいです。また、アレルギーに対しての免疫療法も行っているので、症状に悩まれている方にお勧めします。
息子が中耳炎にかかり受診しました。子供に対しても優しく接して頂け、また息子も泣かずに診察が済みました。とても感謝しています。