
私の父親が外科の開業医であり、幼い頃から医療が身近なところにあったことや、姉や兄が先に医学部へ進学していたこともあり、自然に医師を目指そうと思っていましたね。
専門に「内視鏡」を選んだのは、モニター越しに行われていく治療を医学生時代に目にしたことがきっかけです。もともと小さい頃にTVゲームをよくやっていたので、モニターを見ながら何かをするのは好きだったということもあるかもしれませんが、生体内をカメラで映しながら治療を行うことは、何とも言えない感動がありましたね。
私はもともと消化器外科医だったのですが、外科の大学院時代には研究のため手術から遠ざかる時期があり、その期間は内視鏡検査に携わることで医師としての技術を磨いてきましたので、自然と内視鏡下に色々なことができるようになり、気がつくと大腸ポリープ切除術などの内視鏡治療が「特技」になっていました。
胃内視鏡的洗腸液注入法(GastroEndoscopic Intestinal Irrigation:以下GEII)は、同日に胃と大腸の内視鏡検査を行う検査法の一つです。大腸内視鏡検査を行う前提として、内視鏡先端のレンズは非常に小さく、腸内に便が残っているとレンズがすぐに汚れて見えなくなってしまうため、検査前に下剤を2Lほど飲んで腸内を綺麗な状態にしておく必要があります。
これに対しては多くの方から「2リットルもの下剤を飲みきらないといけないのは辛い」という声を受けました。現在、様々な医療機関にて麻酔下で無痛の胃・大腸内視鏡検査が行われていますが、検査自体は無痛で済むとしても、検査前に下剤を飲むのはご本人の頑張りが必要になります。特に女性や高齢者では2Lもの下剤を飲みきることがそもそもできないこともあります。大腸内視鏡検査は、検診においても治療においても非常に意義深い検査であるため、私はより患者さんが苦痛や負担を感じずに受けられる方法はないかと考え、色々と頭を悩ませました。
そして考えついたのが、大腸内視鏡前に行う胃内視鏡検査時に胃カメラを通して2Lほどの下剤を十二指腸に直接注入する方法です。このGEIIでは、本人が麻酔で眠っている間に下剤を注入してしまうため、辛い思いをして下剤を飲む必要がありません。下剤を注入した後は直ちに覚醒しますので、トイレに通って腸を空っぽにしてから再度麻酔下で無痛の大腸内視鏡検査を行います。
この方法をお伝えすると「麻酔を1日に2回もかけて本当に安全なのか」というご質問をいただくのですが、当院が独自に改良したGEIIは2018年現在、最も広く普及・認知され、症例数も全国1位となっておりますし、また日々の前処置短縮率、盲腸到達時間、満足度などをブログ形式で毎日ホームページに更新していますので、一度ご覧いただき当院のGEIIがいかに安全で負担の少ない検査法であるかをご理解いただければ幸いです。
また、下は9歳から上は90歳台の高齢者まで幅広い年齢層への検査実績もあり、高齢者の中には常時酸素吸入をされている方や、寝たきりで車椅子に乗ってご来院される方など、通常は大学病院に入院して検査を行うような方でも、GEIIにより半日の日帰りで検査が受けられるようになりました。皆様、検査終了後に元気な様子でお帰りになられます。重大な副作用や合併症などもこれまでに起こっておりませんので、GEIIが負担の少ない、安全性の高い検査法であるとご理解いただければ幸いです。
内視鏡治療で重要だと思って取り組んでいるのは「がん予防」ですね。中でも大腸にできるポリープの大半は大腸腺腫と呼ばれる前癌病変でして、腺腫の一部ががん化することで大腸がんが発生します。大腸内視鏡検査では大腸腺腫ががん化する前に切除してしまうことで、近年増加傾向にある大腸がんの早期治療に繋げます。地域の方々の大腸がん死をゼロにできるように、微力ながらも日々大腸内視鏡治療に取り組んでいます。
またピロリ菌の除菌にも注力しています。ピロリ菌と胃がんの関係は、タバコと肺がんの関係によく似ています。タバコの有害成分は肺の正常細胞を傷つけて、喫煙を続けることで細胞傷害が進み、結果として肺がんのリスクが高まります。ピロリ菌はまず胃粘膜に炎症を発生させ、胃や十二指腸に潰瘍を引き起こし、炎症が持続することで胃粘膜の萎縮(老化)が進み、結果として胃がんのリスクが高まります。
喫煙とピロリ菌で異なるのは、自分の意思で予防できるかどうかです。喫煙は自らの意思で禁煙して予防できますが、ピロリ菌は幼少時より胃の中に住み着いている菌なので、除去するためには必ず除菌治療薬を必要とします。このピロリ菌の保有期間も長くなればなるほど、除菌後の萎縮も元に戻りにくくなり胃がんのリスクが高く残ってしまうため、ピロリ菌歴のある方が家族におられる場合は、検査も含め治療まで対応できる当院のような医療機関にかかることをお勧めします。
胃腸のお悩みはもちろん、胸焼けやゲップなど逆流性食道炎でお悩みの方などにもご来院していただければと思います。
まず胃の不調としては、痛み・もたれ・ムカつきなどの他に、食欲不振・体重減少などの全身症状が続いている時にも早めの受診をお勧めします。食欲不振や体重減少の原因には進行胃がんなどの重大な病気が存在することもありますし、よく起こるからと放置しないことが病気の早期発見には大切なのです。
次に、大腸では健診の便潜血検査で陽性反応を指摘されてご来院される方が多くいらっしゃいますが、便潜血陽性の場合は大腸がんの可能性も否定できませんし、大腸には何もなく胃に潰瘍や腫瘍が発生して便潜血陽性の方もいらっしゃいますので、当院ではこのような方々にこそ、GEIIによる【下剤を飲まず早い】胃・大腸内視鏡検査をお勧めしております。
また、他院ではあまり行われていないマイクロアレイがん遺伝子検査なども行っており、より高精度な健診をご希望の方はぜひご検討いただければと思います。
最後に女性に多い「便秘」についてです。これは洗腸液の大腸内視鏡検査前の腸内洗浄から外れる保険外診療にはなりますが、GEIIで苦痛なく短時間で全腸管内を完全洗浄することで、頑固な便秘を完全解消し整腸剤で腸内フローラを整える便秘リセット療法も行っています。色々と試したけど便秘が完全に解消されない方はぜひ当院までご相談ください。
私の目標は、内視鏡検査が腹部検査の第一選択肢の一つとなるようにしていきたいと考えています。
医師国家試験でも「腹部症状が見られた時は、負担の少ないエコーやX線などの検査をまず行うこと」と教わりますが、そこに当院発のGEIIによる【下剤を飲まず早い】胃・大腸内視鏡検査も同様の選択肢になりうるようにしていきたいのです。そのためには内視鏡検査が苦痛や負担の非常に少ない検査でなければならないと思っていますし、私が実践している方法がいつか様々な医療機関に広まり、負担の少ない胃・大腸内視鏡検査が半日で手軽に受けられるようにしていきたいと考えています。
最近では当院発のGEIIやその実績の表現法などを模倣される医院様も出現してきており、大変光栄に思いますが、注意すべきは麻酔せずに経鼻胃カメラで下剤注入する検査法です。経鼻は経口よりも嘔吐反射が少ないのですが、完全にゼロではなく、患者様によっては経口と同様の反射が生じる方がおり、その場合はせっかく注入した下剤を嘔吐してしまうばかりでなく、誤嚥による肺炎の危険性もあります。
もちろん当院のGEIIはそれらの問題点もクリアした安全性の高い検査法となっており、胃カメラの状態次第で急遽下剤を口から飲んで頂くようなこともありません。また、安全性に加え効率性も高めており、毎日12名までの患者様に安定したGEIIをご提供でき、更に高度便秘がなければ即日でも受けられる体制を整えています。このような負担の少ない、利便性の高い検査法を駆使して、今後も胃・大腸がんの早期発見と治療に注力していきたいですね。
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