
私の家は祖父の代から医師をしているので、もともと医療は非常に身近なものでした。ですが、最初は「医師になりたくない」と考えていました。その理由は、父が開業医だったこともあって小さい頃から「自分も父と同じように医師を目指すんだ」と周囲の人から思われていたので、それに対する反発心みたいなものがあったからです。身近な職業ではありましたが、「医師にだけは絶対ならない」と変に意固地になっていたように思います。そう思っていたことや自分の趣味なども関係して、大学は工学部に進もうと考えていました。
ちょうどその頃、仲の良い友人が医学部を目指しているのを知り、その友人から「一緒に医学部を受験しないか」と誘われました。最初はもちろん断っていたのですが、友人からの誘いを受け続けるうちに医学部を受けることも少しずつ意識し始めました。今考えてみると、自分が本当は最初から医師になりたかったけれど、思春期特有の「好きなものを好きと言えない」というような気持ちが働いていたように思います。友人の誘いがきっかけではありましたが、そこから「医師を目指そう」と決め、医学部に進学しました。医学部に入学後は勉強がとても楽しく感じ、医師を目指してよかったです。
医師になると決めた頃から、私はずっと「総合診療医」になりたいと思っていました。総合診療医は内科疾患を診るのが主になりますが、若いうちに外科の手技を経験する方が、技術習得の速度も早く、医師としてはやくから成熟したスキルを身につけられるのではないかと考えました。自分が目指す総合診療医の理想は、外科内科問わずプライマリーケアを行えるような、診ることができる領域の広い医師だったので、まずは外科で経験を積むことに決めました。また、外傷の患者さんにも対応できるようになりたいと思い、救急センターでも経験をさせていただきました。その頃の経験は、開業した今も非常に役に立っています。
それはやはり父親の影響です。父親も開業医だったと先ほどお話ししましたが、父の医院は救急車対応も行う有床診療所だったのです。患者さんが救急搬送されてくると連絡があれば昼夜も問わず対応していましたし、手術も行っていました。父親がいつ休んでいるかも分からず、心配していましたが、それぐらい熱心に医療と向き合っていた父親の姿というのは今でも強く印象に残っています。
ですので、医学部に入学した頃からずっと、いずれは自分も父と同じように開業医として患者さんの診療にあたりたいと考えていましたね。今も父親の影を追っているように思いますし、この先もずっと父が私の目標です。
私は常に「地域の人のベストドクターでありたい」と意識しています。1人の医師としては、1日で診ることのできる患者さんの数も限りがありますし、自分1人でカバーできる診療地域の範囲にもやはり限界はあります。ですので、自分のクリニックに近いところに住んでいる方たちに対してとにかくより良い医療を提供したいです。もちろん遠方の方が私のクリニックへ足を運んでくれることも嬉しく感じますが、各地域にはそれぞれ素晴らしい地域医療を提供している開業医の方が多くいらっしゃいます。その先生方と協力する形で、それぞれの診療地域をカバーしていくことが大切だと思いますし、医療の質を平均して高く保つためにはそういう形がベストだと私は考えています。
対面での診療で大切なことは、当たり前のことですがやはり患者さんの目を見て話を聞くことだと思います。診療が慌ただしくなると、カルテに病状を書き込むことに意識を取られてしまう時もありますが、患者さんと正対して話を聞かないと分からないことはやはり多いです。話していることとは別に相談したいことがあったり、言いにくい悩みがあったりなど、そういうことはやはりしっかり目を見て話さないと気付きづらいですからね。そういう患者さんの細かな部分まで気付いて拾い上げられるような診療を行いたいですね。
難しく感じるのは、やはり幅広い知識が必要になる部分です。私は藤沢湘南台病院でも診療を行っているのですが、そのような大きな病院では自分が診療する疾患の範囲がある程度決まっています。ですが、クリニックでは診療科を問わず患者さんが来院されます。自分がどれだけ知識を豊富に持っているかが診療の質としてそのまま現れてしまいますので、たえず自分の医療知識をアップデートさせる必要があります。
また私は訪問診療も行っているのですが、訪問診療はより知識や経験が重要になります。院内にいればいろいろな検査をその場で行うことができますが、訪問先ではそうはいきません。視診・触診などが主な手段となってくるので、症状を見逃さないためにもできる限り様々な知識を持っていたいです。
そのため、自分の医療の質を向上させるようと診療の時間の合間をぬって出来る限り学会や勉強会などに出るようにしています。医療は日々進化していますし自分自身が知らないことはまだまだたくさんあります。勉強を通して新しいことを知ったときは何より嬉しく感じますし、自分の理想とする医療を提供するためにも出来る限り時間を作って勉強していきたいと思います。
自分のもとを訪れてくれた全ての患者さんに、満足の医師だと思いますが、日々その難しさと格闘しています。まずは「80%の患者さんを満足させること」を目標としていますが、自己評価としては全然そこまで届いていないですね。まだまだ勉強しなければいけないなと思います。
また、私の思いとして「患者さんと対等の立場」で向き合いたいです。そのためにも、来院してくれた患者さん一人一人をよく知りたいですし、いろいろと話もしたいと考えています。そのせいか、つい患者さんと問診の時に話し込んでしまい、患者さん1人に対する診療時間が長くなることが多く、そのあとの患者さんをお待たせしてしまいがちなのが、非常に申し訳ないと感じています。
ですが患者さんそれぞれで考えが違うように、病気の治療でも希望が患者さんによって異なってきます。特に初診の患者さんの場合は、その方のひととなりがまだ分からないため、最善な治療はなにかを考えることにも時間を使う必要があります。それぞれの患者さんが医療に求めるものは何か、時間をかけてしっかりと理解し、提案したいというのが私個人として強く思っている部分です。
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