チャットで
相談する

口コミを
投稿する
内田 育宏 先生

抜歯/口腔外科の名医
日野市立病院
歯科口腔外科部長・歯科衛生室長
専門
口腔がん
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2022年09月09日

臨床実績


口腔外科患者数/月
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


初診までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
-時間程度

※医療機関の関係者の方へ

クリンタルでは「患者様へのメッセージ」なども追加することができますので、ぜひこちらのフォームよりご入力をお願い致します。(修正や掲載は全て無料です)

※掲載情報は独自の調査・分析により収集しており、最新かつ正確な情報になるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。
※実際に受診を検討される場合には、直接医療機関にもお電話で問い合わせいただくことを推奨いたします。

内田 育宏先生のインタビュー

公開日:2019年04月25日
口腔がんの診断からターミナル期まで、患者さんとともに歩む

内田先生が歯科医師を志したきっかけについて教えていただけますか

もともと絵を描くことや彫刻などが凄く好きで、将来は美術系の分野に進学しようかと思っていました。ところが、上には上がいるように、美術系の分野では自分よりも絵が上手な方がたくさんいらっしゃいますので将来を考えました。そうしたなかで、もともと手先が器用だったこともあり、それを生かせる職業として歯科医師を選択しました。

内田先生は歯科の中でも口腔がんをご専門とされていらっしゃいますが、口腔がんをご専門とされた背景は何かございますか?

歯科医師を志して東京歯科大学へ進学しましたが、卒業後は慶應義塾大学病院で研修を行いました。そして、慶應義塾大学病院から東京都内や、栃木県の病院など関連病院で研鑽を積みました。

研修中は特に口腔がんを専門にするという意識はなかったのですが、歯科医師になって4年目の頃、都立病院に勤めていた時に小宮先生という口腔がんをご専門とされている先生に出会いました。小宮先生は私の恩師にあたる方なのですが、非常に厳しく、妥協を許さない先生でした。

小宮先生がどれほど厳しかったかと言うと、例えば、若手の医師はとにかく解剖学の本を読めと言われ、手術に関する書籍を読むのを禁止されました。多くの場合、若手の医師は自身で外来を診るのではなく、上級医の先生の診療を手伝うところから始まります。しかし、当時、勤務していた都立病院が設立されたばかりだったこともあり、まだ患者さんもそれほど多くない状況でした。そのため、午前中に主な仕事が終わり、昼食を摂った後は13時頃から21時まで、1日8時間くらい解剖学の本を読んでいました。上条先生の書いた『口腔解剖学』という全国の歯科大学の9割くらいで採用されている教科書や、他の解剖学の本を良いと言うまで、読み続けるのです。この解剖学の本を読むことは1年半程続きましたが、そこには解剖学の知識が不十分なうちから手術に関する本を読んでしまうと、手術の手順に囚われてしまい、その手術は出来るようになっても、それを超える手術を行うことが出来なくなってしまうと言う考えからです。もちろん、この他、外科的な基本的手技についても厳しくご指導いただきました。

恩師である小宮先生にご指導いただき、解剖学の基礎から経験を積み重ねたことが、口腔がんを専門とする最初のきっかけであったように思います。とても厳しい先生でしたが、この厳しさが自分には合っていた気がしますね。

ご専門とされている口腔がんはどのように診療していくのでしょうか?

口腔がんは、舌や歯肉などのがんが発生する部位によって様々な種類がありますが、半分くらいは舌がんと言われております。舌癌の次に歯肉がんが多くなっております。口腔がんは患者さんが自身で病変を見て疑われる場合もありますので、当院では紹介状がなくとも選定療養費があれば受診できるようになっております。

多摩地域はご年配の世帯も多いため、口腔がんも80歳代の方が多く、中には90歳、100歳の方もいらっしゃいます。

近年、話題にもなっている口腔がんですが、口腔がんになりやすい因子としては、喫煙や飲酒があります。他にも歯並びや口内炎なども口腔がんの発生に影響している可能性があるとも考えられています。と言うのも、歯並びが悪いことで、物理的な刺激が生じて、口内炎ができる場合や、長期間の物理的な刺激によって癌化する場合もあるからです。他にも歯並びが悪いと、歯が十分に磨けず、虫歯となってしまうことも要因の一つであるかと思いますし、虫歯によって歯が尖る場合や、義歯が合わないことで物理的な刺激を受けるといった影響も考えられるかと思います。

このように様々な要因でできる口腔がんですが、熟練した医師であれば視診の段階でがんとわかる場合もあります。やはり、がんですので見つかった場合は患者さんに告知する必要がありますが、その際、すぐにお伝えしたほうがいいのか、詳細な検査の結果が判明してからお伝えしたほうがいいのかは、患者さんの背景なども踏まえて、それぞれの患者さんに合わせるようにしています。いきなり伝えてしまうと強くショックを受けられる方もいらっしゃいますので、そう言うことに耐えられるかと言う見極めは必要となります。それほど多いことではありませんが、場合によってはご本人よりも先にご家族にご連絡し、告知に耐えられるかということを確認させていただく場合もあります。99%のご家族はご本人に告知してくださいと言いますが、なかには絶対に言わないでくださいとおっしゃられる場合もあります。その場合、とても難しいのですが、信頼関係を築きながら治療をしてきます。

実際に口腔がんの手術はどのように執刀されているのでしょうか?

手術の術式や適応はもちろん患者さんによって変わりますが、場合によっては大きな手術となる場合もあります。がんの組織を大きく取り除く場合、耳鼻咽喉科の医師と共に手術の方法について検討し、行なっていきます。非常勤ではありますが、形成外科の先生もいらっしゃるので、手術後に再建が必要な場合には形成外科の先生とも調整して手術を行っています。

大きな手術が必要となると入院期間は1ヶ月や2ヶ月に及ぶこともあります。患者さんのリハビリの進み具合にもよりますが、特に舌を広範囲に切除した場合には嚥下機能のリハビリにお時間がかかります。

総合病院である貴院で実際に口腔がんの治療を受けられる際の強みはどのようなところでしょうか?

当院は様々な診療科があり、しっかりとした基盤があります。がんを専門的に診療する病院では、がんを専門とする医師は多いのですが、例えばご年配の治療の場合、心臓などにご病気をお持ちの場合もあり、他科のバックアップが必要となることもございます。当院は内科と独立して循環器内科もございますので、心臓に合併症があった場合でも手術が可能です。このように他科のバックアップがあるため、多くの手術が実現できるようになっている点が強みかと思います。

また病院が中規模ですので、他科や様々な職種との連携時は非常にフットワークが軽いです。診療を依頼するとすぐに診ていただけますし、CT検査は当日、MRI検査は1週間以内にとあまり待たずに行うことが可能です。これが大規模病院となると、CT検査を受けるのに半年待ちという場合もあります。

一般的にがんの治療においては、がんに携わる診療科の医師が集まり治療方針を決定していくキャンサボードというカンファレンスがあり、とてもいいシステムではあるのですが、その場で意見が折り合わず、タイミングを逃してしまうと、なかなか治療に移れないという場合もあります。この点、当院では良くも悪くも主治医が決めたらすぐ動く、即ち治療に入れるというフットワークの軽さがあります。患者さんにとっても、がんの疑いがあるのに治療が開始できないというのは辛いですよね。直ぐに治療を開始出来ると言うことは安心感にも繋がると思います。

総合病院の中で歯科医師として心がけていることはありますか?

語弊を恐れずに言うと、がんを専門的に診療している病院であれば、極端な話、口腔がんのみに注力して診療をしていれば良いのですが、当院では総合病院として歯科医師に求められていることもありますので、そちらもきちんと取り組むようにしています。

例えば、誤嚥によって生じた肺炎で入院されている患者さんやご年配で身体機能が低下しておられる患者さんにとっては、内科的な治療だけではなく、口腔ケアも行っていく必要があると思っています。実際にNSTと呼ばれる栄養サポートチームの中に若手の歯科医師も加わり、病棟回診を行って嚥下機能や口腔内の状態について確認し、指導も行っています。この他にも、他科の入院患者さんで義歯の調整が必要となった場合など、歯科治療も行っています。

内田先生のご経験で印象に残っていることや日頃大切にされていることはございますか?

やっぱりうまくいかなかった患者さんのほうが印象に残っていますね。統計的にはそう多くはないのですが、口腔がんの中にも非常に進行の早いケースもあり、そう言った状況の場合、何をやっても治療が上手くいかないと言うこともあります。患者さんに手術を行っても、その後、早期に再発をしてしまった時はとても辛いですね。やはり手術を行う以上は全て助かって欲しいと強く思います。実際、全ての患者さんが助かるというのは難しい話なのですが、そういう気持ちは持ち続ける必要があると思い、手術に臨んでいます。

診療においては、口腔がんの早期から終末期まで診ることを大切にしています。例えば、老人保健施設に入居されている方の場合、腫瘍が大きくなってしまうことで出血や臭いが生じることもあり、なかなか介護が難しいという状況もあります。そのような場合でも、ご相談があれば積極的に入院していただき、加療しています。特に自分が担当した患者さんについては、患者さん自身が嫌とおっしゃらない限りは責任を持って診ようと思っています。

今後の展望と患者さんへメッセージをお願いします

口腔がんは見てわかる場合もあり、患者さん自身が口腔がんか不安になり来院されることも多いです。もしも、心配に感じることがあれば、いつでもいらしてください。当日の受診であっても、多少お待ちいただくかもしれませんが、診療時間内であればその日のうちに診療するように調整しています。

今後の展望としては、私自身もうすぐ61歳になりますが、恩師である小宮先生に教えていただいたように自分も若手の医師を育てていければと思っています。しかし、私もまだ未熟な部分はありますので、勉強を続けて患者さんと共に成長していけたらと思います。

日野市立病院の写真

まだ口コミがありません。匿名での投稿が可能ですので、ご協力よろしくお願いします。 ※ 現在口コミは、clintal会員様からのみ承っております。
個人(法人コードをお手持ちでない方)の新規clintal会員登録は終了いたしました。

勤務先医療機関

住所:東京都日野市多摩平4丁目3-1
電話番号:0425812677