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代田 達夫 先生

抜歯/口腔外科の名医
昭和大学歯科病院
顎顔面口腔外科 診療科長・教授、インプラントセンター副センター長
専門
顎顔面口腔外科
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2019年01月07日

臨床実績


口腔外科患者数/月
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専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
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略歴
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受診しやすさ


初診までの待機期間
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医師指定受診
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外来待ち時間
-時間程度

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代田 達夫先生のインタビュー

公開日:2019年01月07日
最新技術を用いてより精緻な手術を。口腔外科に新たな手術手法を導入した名医

代田先生が歯科医を志し、口腔外科をご専門にされるようになったきっかけについて教えてください

高校生の頃は文系科目が得意だったこともあり、教師など他の道を考えた時期もありました。しかし、当時は就職氷河期と言われ、就職が難しい時期でしたので、やはり手に職があった方が良いだろうと考え、歯科医を志すことにしました。

口腔外科を専門にしようと決めた理由には恩師の影響があります。当時、私が入局した第一口腔外科学教室には、口腔外科の第一人者であり、学生にも非常に人気のあった道 健一教授と、学生時代に剣道部の顧問としてお世話になった大野 康亮准教授がいらっしゃいました。大野先生には大学院時代の研究だけでなく、その後の口腔外科手術などでも直接指導を受けてきました。

また、当時の歯学部は大学卒業時に一通りの治療が出来るようになることを目標としていたため、大学5~6年次の臨床実習では実際に患者さんの治療を行い、知識と技術を習得することが出来ました。そのため、卒業時には口腔外科と矯正歯科以外、例えばう蝕処置や歯周病の管理、あるいは義歯の作製など、基本的な歯科治療は一通り経験していました。それもあって口腔外科に興味を持っていたところ、同学年の非常に優秀な友人から、「俺は矯正に進むから、お前は口腔外科医になれ」と勧められたこともあり、口腔外科を専門とすることにしたのです。

大学を卒業されてからは、どのようなご経験を積まれたのでしょうか

当初は早く開業したいと考えて、医員として患者さんの治療をしていましたが、研究もしてみたいという思いが強くなり、1年後に大学院へ進学しました。大学院では研究がとても面白く、日夜、研究に没頭していました。大学院修了後は大野先生の勧めでドイツのHannover医科大学のHausamen教授の下へ半年間留学し、現在はヨーロッパにおける頭蓋顎顔面外科の第一人者として活躍されている、Schmelzeisen先生と一緒にブタを使った動物実験を行いました。その後、留学先をHamburg大学へ移し、当時生体材料の病理学では世界的な権威であったDonath教授の下でインプラントに関する基礎研究を一年ほど行いました。具体的には、インプラントを顎骨の中に埋入すると、数週間かけてインプラントが骨と結合するオッセオインテグレーションという現象が起こります。私は加齢や骨粗鬆症、あるいは顎骨への放射線照射がこのオッセオインテグレーションにどのような影響を与えるのか、といったことなどを研究していました。

帰国後は臨床に戻りたい気持ちもありましたが、当時の第一口腔外科には手術が非常に上手な先輩が多く在籍されていたこともあり、その後も暫くは研究に主軸を置いてきました。本格的に臨床を始めたのは30代後半になってからで、その後は徐々に臨床が主体になってきました。

臨床ではどのような疾患をご専門にされていますか

研究が主体であった時も自分は臨床家であるとの思いは強かったので、臨床に即した動物実験を中心に行ってきました。そのため、臨床の現場に復帰してからも、当初は研究テーマでもあったインプラントに関連した診療を中心に行ってきました。口唇口蓋裂などの先天異常、口腔がんの手術、あるいは外傷などによって顎骨が欠損した場合には、骨移植によって顎骨の再建手術が行われます。そこにインプラント治療を行うことで、口腔機能の回復が期待できますので、現在ではこのような治療には保険診療が適用されています。私は当時から、このような開業医では対応できないインプラントの難症例に取り組んできました。

講師に昇格してからは、口腔がんをはじめとする様々な疾患の手術に携わってきました。口腔がんは腫瘍を完全に切除することが求められる一方、顎変形症はお顔の見た目や噛み合わせの機能を改善させる手術であるために如何にきれいに手術するかということが重視されます。同じ口腔外科でも手術に対する考え方は違いますし、向き不向きもあります。そう言ったこともあり、現在では顎変形症を専門として診療を行っています。

顎変形症の治療方法について教えて下さい

顎の骨も成長とともに伸びますので、女性ですと中学1年生位から、男性ですと中学3年生位から、お顔の形が気になってきたり、噛み合わせがずれてきたと自覚したりすることが多いです。そのため、手術のタイミングも成長期が終わってからとなります。一般的には、術前に矯正治療を行い、手術後に再度矯正治療で微調整を行いますが、条件が許される場合には矯正サージェリーファーストといって、先に手術を受けてから矯正治療をされる方もいらっしゃいます。

手術の際は、手術前日から10日間程度入院していただきます。手術時間は下顎のみであれば麻酔の時間も含めて2時間程度、上下の顎を手術する場合は5時間程度となります。難しい手術となった場合には6時間以上かかることもあります。しかし、手術は早ければ良いということではありません。顎変形症の手術は嚙み合わせだけでなく、美容にも関わることですし、患者さんにとっては一生に一度の手術でもありますので、いかに安全で正確な手術を行うかということを念頭に、常に慎重な手術を心がけています。手術後はお食事が摂れるようになったら退院というのを目安にしております。概ね10日程度の入院となりますが、患者さんの事情によっては早く退院をご希望される方もいらっしゃるので、状態をみながら少し早めに退院されることもあります。

貴院口腔外科で行なっている顎変形症手術の特徴について教えて下さい

顎変形症の手術は多くの医療機関で行われていますが、当院の特徴はナビゲーションシステムを用いた手術を行っていることです。手術前に撮影したCTデータを使ってコンピューター上で顎の骨をどのように動かすのかというシミュレーションは既に多くの医療機関で行われています。しかし、ナビゲーションシステムを用いて手術シミュレーションの結果を実際の手術に正確に反映させることが出来るのは国内では当院だけですし、世界的にもこのような手術を行っている施設はほとんどないと思います。

ナビゲーションシステムは自動車で使われているカーナビと同様のシステムで、手術中に今、患者さんのどこに器具を当てているのか、どの位置に骨を移動させたらよいのか、といったことをリアルタイムで映し出すことが出来ます。事前に設計しておいたシミュレーション通りにナビゲートしてくれるので、非常に正確に手術を行うことができます。

ナビゲーションシステムを導入してから、顎変形症の手術で日常的に使用できるまでに3年余りを要しましたが、現在ではこのシステムを用いることで、コンピューター上で設計した骨格と術後のCT画像の骨格を重ね合わせた際の誤差が1mm以内という、非常に高い精度で手術を行うことが可能となっています。

顎変形症の治療にナビゲーションシステムを用いるメリットについてもう少し詳しく教えてください

顎変形症の手術では、一般的には顎骨をどのように動かすのかというシミュレーションをエックス線写真や石膏歯列模型で行い、手術中に術者の経験で最適な位置を判断して顎骨を動かすと言った要領で行われています。しかし、これは少しアバウトな手術とも言えるかもしれません。一方、コンピューター上で三次元的な手術シミュレーションを行うことで、個々の患者さんに最も理想的な手術を設計することができます。更に、ナビゲーションシステムを用いて実際の手術にシミュレーションの結果を正確に反映させることで正確な手術が可能となりますので、美容の観点でも非常に素晴らしい結果を得ることができると考えています。

また、手術前の患者さんに手術の説明する際にも、シミュレーション画像をお見せして説明できますので、患者さんにとってもご理解いただきやすく安心して手術を受けていただけるかと思います。術後もシミュレーションでお見せした画像と術後のCT画像を重ね合わせたものをお見せすることで、術前の説明通りの結果になったことがわかりやすく、ご好評をいただいております。また、コンピューター上で模擬手術を行うことで研修医の先生や学生の指導など教育面でも非常に役に立っています。

他の施設ではナビゲーションシステムの導入が難しいのはなぜでしょうか

導入が難しい理由はナビゲーションシステムが非常に高額だということがあるのではないでしょうか。脳神経外科や整形外科、耳鼻咽喉科など、医科では腫瘍や血管がどこにあるのか確認するためにナビゲーションシステムは広く用いられていますが、歯学部の附属病院でこの機器を所有しているのは国内では当院のみではないかと思います。当院ではこれまでに100名近い患者さんにナビゲーションシステムを用いた手術を実施してきており、現在はそれらの知見をまとめ、論文として国際誌への投稿を準備しています。

先生のところで顎変形症の治療を希望される患者さんはどのような経緯で受診されるのでしょうか

多くの患者さんは近隣の矯正歯科の先生や院内の矯正歯科の先生からの紹介で来られます。これまでは新たな治療法の研究やその知見を学会や論文などで発信することに注力してきましたので、ナビゲーションを用いた顎変形症の手術を一般の方には広く知らせることはしてきませんでした。この手術方法も試行錯誤を終えてようやく軌道に乗ってきましたので、今後は一般の方々にも理解して頂けるよう、社会に向けて広く情報を発信して行きたいと考えています。

先生の今後のご展望について教えて下さい

研究としては、顎や顔面の手術後に生じる知覚異常の診断と治療法について取り組んで行きたいと考えています。お顔には多くの神経が非常に複雑に走行しているため、顎骨の形成手術の後遺症として知覚異常を訴える方がいらっしゃいます。しかし、この知覚異常に対する有効な診断や治療方法はまだ確立されていません。動物実験では強い刺激によって、脳の中で病的な状態が続き、痛みが持続することが判ってきています。現に、神経障害性疼痛のある患者さんのなかには、抗精神病薬を内服することで症状が改善される方もいらっしゃいます。今後はこの分野の研究を進めて行き、手術後の知覚異常の診断ならびに治療法の確立につなげたいと考えています。

教育に関しては、口腔外科の術者を育て、一人でも多くの専門医を輩出したいと考えています。また、医局員には常に研究者としての目を持ちなさい、と言っています。日常のありふれたことでも何故そうなるのかを考え、日々の手術でも何かもっと良い方法はないのかと常に模索していくことが大切だと思います。臨床家であるからこそ、新たな学びがあればそれが本当に良かったのかを検証し、その結果を論文として発表する。わからないことがあれば自身で研究によって明らかにするという姿勢が大切ではないかと考えています。

編集後記

代田先生は口腔外科におけるナビゲーションシステムを用いた手術法の第一人者と言える先生です。インタビュー中、この手術法の利点やこれまでの研究内容についてお伺いした際には、こちらが理解しやすいようにスライドや論文を交えて非常に丁寧に説明して下さり、とても丁寧で優しいお人柄の先生と感じました。

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