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市橋 秀夫 先生

統合失調症の名医
掲載開始日:2016年06月24日
最終更新日:2020年01月08日

臨床実績


年間統合失調症患者数(延べ)
***

専門医資格
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学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
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受診しやすさ


初診までの待機期間
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医師指定受診
***

外来待ち時間
-時間程度

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※掲載情報は独自の調査・分析により収集しており、最新かつ正確な情報になるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。
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市橋 秀夫先生のインタビュー

公開日:2020年01月27日
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人生は生きることだけで十分。目標に囚われず、自分が楽しいと思える活動を増やすことが人生を豊かにするのだと思います

医師を志し、精神科の道を進まれたきっかけを教えてください

もともと物事を分析するのが好きで、エコノミストになりたいと考えていた時期もあったのですが、経済学には不安と欲望の心理学といった側面もあったからかもしれません。それで経済学部を受験していましたが、たまたま一校だけ医学部を受験しました。それが今は母校になる東京医科歯科大学ですが、その定員40人と贅沢な教育環境にあこがれがあったのも事実です。当時競争率が50倍でくじ引きのような確率でしたので、本当に運良く合格したというのが実感です。「医師を志して」などという崇高な意志もなく、我ながら安易な選択をして医師になったのだと思います。

精神科を選んだのは、時代の影響が大きいと思います。私が医学部に入学した頃は学生運動の嵐が吹いていた時代で、一人ひとりに主体性が求められる時代でした。今日では考えられないほど政治の嵐の中におかれていたのです。反体制思想を持つことを強要される時代でした。私もそういった時代の中で、恵まれた階級になることに後ろめたさを感じ、差別されたり抑圧されたりしている人の側にいなければという強迫観念があったと思います。そういうわけで、いろいろ迷いもあったのですが、最終的には精神科を選びました。でもこの選択は間違っていなかったと思います。差別されたり圧迫されたりしている人の側に立つことは診療上の哲学になりました。
こうして考えると私の選択はかなりいい加減ですが、世の中は「なにか常に明確な目標を持て」とか少し強迫的なのではないかと思います。私はその時点で自分にとって最適な選択をし、一旦決めたらそれを大事にするということで今まで来たように思います。

医学部卒業後は大学で数年間研究を行い、東京都立松沢病院や東京都立墨東病院で勤務した後、福島大学で教員をしていました。福島大学では児童精神医学の一部である障害児病理学に関する教育や研究を行いました。近隣に福島県立医科大学がありましたので、医大の先生に対する精神療法の指導も行っていました。 

大学の教授を退職し、ご開業されたのはなぜでしょうか

開業したきっかけは、開業してみないかと声をかけてくれた人がいたからです。精神科は大規模な施設や最新医療機器がなくても診察出来る診療科ですので、大病院や大学病院以上の治療水準を個人で行えると言うことも大きなファクターでした。それと自分なりの臨床をやってみたいという気持ちもあって1995年に当院を開業しました。

振り返ってみると、先ほど述べたように私はあまり計画的な生き方をしていないと思います。患者さんにもよくお話しているのですが、うつ病になりやすい人は、常に先の変化率を予想し、それに対応すべき準備をするという微分思考で生きているように思います。来るべき状況の変化は無限ですから、それだけで消耗し、不安が増大してしまいますね。多くのことはそれまでの経験をもとに、その時点のベストな選択するという積分思考でよいのですが、先のことを考えて消耗してゆくのがうつ病になりやすい人の特徴です。私はいつも積分思考で物事を決めており、今を大事にして、過ぎたことを後悔しないで生きればいいと思っています。汲むことができるのは今来ている水だけで、流れ去った水は追っても汲むことができませんよね。

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先生のクリニックにはどのような患者さんが来られるのでしょうか

私のクリニックは地域密着型というよりは大学病院のような広域型だと思います。それを志しているわけではありません。インターネット情報を通じて専門治療を求める人が増えているからだと思います。うつ病や精神病性障害だけでなく、精神療法や発達障害の治療を求めていらっしゃる方が多いのも特徴です。
私は初診時の診察が非常に重要と考えています。セラピストによる丁寧なインテークを取ってから面接し、診断と診断の根拠、治療目標や治療期間の予想、薬の作用と副作用などお話しするので結構時間がかかります。初診は一日一人しかとれないのはそのためです。治療はインフォームドコンセントが重要だと思います。

患者さんへの診断名の告知についてはどのようにお考えでしょうか

私は初診時に診断名を伝えるようにしています。精神科では診断名をはっきり伝えない先生も多いのですが、他の診療科では考えられないことでしょう。初診時に「あなたはうつ病です。この薬を飲んでください」とだけ言われたら、患者さんは医師に不信と失望を持つでしょう。どうしてうつ病と診断したのか、薬が必要なのかくらいは説明して欲しいのではないですか。私が患者なら、そういう医師にかかりたくありません。
告知は患者と医師が共に手を携えて病を治してゆこうという「治療同盟」を結ぶための前提であると私は考えます。

診察に際して心掛けていることは何でしょうか

治療を行う上で最も重要なことは、患者さんに希望を与えることだと考えています。精神医学のみならず身体医学も含めて、現在の医学に欠けているのはこの点だと思います。私が尊敬している精神科医の中井 久夫先生は「匙を投げられた患者は回復しない」とおっしゃっていました。
うつ病は絶望を与える病であると思います。かつて治療した精神科の先輩は「市橋君、うつ病は真っ暗なトンネルに入ったような気持ちにさせるんだよ」とつくづくと話されました。しかしトンネルには必ず出口があります。もともとうつ病は出口のない、つまり治らない病ではありません。
絶望感や希死念慮が強い人には「苦しい時には前を見ない、後ろも見ないで足元だけ見るのが苦しいときの登山の極意です」「足を動かしているうちに必ず見晴らしのよい、楽な場所に出られるものですよ」と言います。精神病性障害にしても対人関係に悩むパーソナリティ障害にしても、「回復できる」という希望と覚悟を持って治療に当たるべきであると思います。

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精神科医として50年間診察をされてきた先生が、現代の日本人に関して感じていることを教えてください

第1に私が危惧していることは結果がすべてという結果主義の蔓延です。企業は長期的視野を持たず、目先の利益の獲得に目をとらわれ、信用や地道な開発を近年軽視しているように思います。政府は教育予算においても、たとえば人文科学を不必要とし、基礎科学に予算を出すことを渋ります。経済活動に直結する学問にしか予算をつけません。ノーベル賞は日本の1980年代までの遺産であることはつとに指摘されています。大学世界ランキングの中でオックスフォードやケンブリッジがどれほど人文科学や基礎研究を重視しているかを考えると、日本の一流大学が世界ランキングの圏外である問題点が浮き彫りになりますね。結果主義は結果、衰弱を招くと私は考えています。
第2には自分が人にどう見られているのかということが強すぎる点でしょう。外国人が日本の“クール”な文化について考察する番組や、来日した外国人になぜ日本に来たのかインタビューする番組を見ると、日本人の劣等感の強さがすごく感じられます。「ガイジン」から日本人はすごいといって欲しいのですね。自分が人からどう評価されるのが重要になって、「自分が他と違った特別な自分であるという証明」を求めることが文化になっているように思います。他から必要とされる自分でなければ生きる価値がないという思いが自己不信を呼び、やせ競争、学歴競争、見た目の重視と美容整形など至る所で自己愛の病理を強化しているように思います。結果が出る可能性が明確であるときにはがんばれるけども、出そうもないときには万能感が消えて、一切の努力ができなくなる人が増えています。挫折に弱く、地道な努力が難しく、傷つきやすく、他からの批判に弱い若者が増えているのではないですか?
第3に過剰な気配り文化です。日本の他者に対する配慮やおもてなしなど他者に対するホスピタリティは確かに優れたものですが、なんでも「過剰」は常に病理を生み出します。この文化は空気を読むことを周囲に要求し、忖度できることが重要な適応上の能力となっていますね。産業社会の構造的変化がスピードと正確さとコミュニケーション能力を要求することと相俟って、この国には大量の発達「障害」を生み出しているように思えます。

少子化は今後も加速してゆくと思いますが、このことはおそらく母子関係の過度の緊密化と虐待という二極分化を促進すると思われます。このことも精神科で重要な課題になってゆくでしょう。緊密化は共依存という特殊な関係を作り、母親の欲望(期待)の実現が「あなたのため」という魔法の言葉によって一芸に秀でた人間、優れた人物、業績を上げられ人間、誰もがうらやむような大学に入ること、スポーツで抜きんでる人間になることなどが投射され、それを実現することが自分の存在を肯定する条件となるでしょう。そこに自分が自分であればよいという自明の原理を維持することが難しくなると思います。

今は、何事もパーフェクトにしなければならないと考える人が多いですが、成功から学ぶことはできません。失敗からしか学べないのです。Try and Errorという言葉がありますが、これは命令形ですね。人間は失敗することによって賢くなる生き物なので、まずやってみよう、そしていい失敗をすることをおすすめします。

先生がこれまで精力的に診療や研究に取り組み続けられたのはなぜでしょうか

人生は目標を持って行動するものと思われていますが、実はそうではないのかもしれません。生まれてから死ぬまでが人生であり、人生は旅のようなものだと思います。しかし多くの人は人生をトラック上の競争のようなものと考えて競い合い、目標達成が人生の目標と考えている人が多いように思います。それらをもし達成したらそれで人生は終わりになってしまいますよね。人生はプロセスの連続ではないでしょうか。だからプロセスを大事にしたいと思います。

オランダの哲学者であるホイジンガーは人間をホモルーデンスと定義しました。これは遊戯人と翻訳されていますが、遊ぶというのは日本ではよい意味では使われませんね。ルーデンスというのは英語のplayに相当する言葉で、それ自体に生産性がなくて、主体的に楽しく関わるときにはplayといいます。プレイテニス、プレイピアノです。人に言われた仕事は労働ですが、自分で企画ができたり、工夫する余地があるとこれがプレイに変化しますね。仕事はタダでやる人はいないのに、遊びにはお金を使います。どちらが本当に重要なのか考えてみましょう。私は自分の仕事を面白くするために、発見をしたり、論文を書いたり、患者さんから教えてもらったり、感動したりしています。それがこれまでやれた秘訣なのかも知れません。創造したり、工夫をしたり、発見したり、楽しんだりすることは自分の旅を豊かにするのではないでしょうか。

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編集後記

市橋クリニック様は、代々木公園から至近にあります。市橋先生がクリニックのホームページでJR原宿駅から代々木公園の中を通る道をお勧めされていますが、実際に通ってみると都心とは思えない自然溢れる静かな環境の公園でした。
市橋先生はこの道50年にわたって精神科医をされてきた先生です。長年の経験から紡ぎだす市橋先生のお言葉は、どれも心がスッと軽くなるような言葉ばかりでした。精神科の受診は敷居が高いと感じていましたが、市橋先生には安心して相談出来ると感じました。

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