※掲載情報は独自の調査・分析により収集しており、最新かつ正確な情報になるように心がけておりますが、内容を保証するものではありません。
※実際に受診を検討される場合には、直接医療機関にもお電話で問い合わせいただくことを推奨いたします。
甲状腺の病気は、きちんとした説明が受けられなかったり、説明を読んでも分かりにくかったりすることが少なくありません。また口から口へ、あるいはメディアを通して伝わる情報は、不備や誤りがあったり、誇張されていたりしていますが。こうしたものには説得力があり、不安を煽り、しかも素早く伝わってなかなか訂正されません。
正しく知れば安心できるのが甲状腺の病気です。
例えばバセドウ病は、「治らない病気」だとか「目の出る病気」などと思い込まれていることがありますね。確かに治りにくいことはありますが、そういう人が診察にくることが多いので、そう感じてしまうのか、治った状態になっても医師がそれを伝え損なうためではないかと思います。また治りにくくてもその状態でも健康な状態でいられる方法があるのがバセドウ病です。また目の症状がある場合は案外少ないのです。
橋本病は、難病とされたり、みんなが甲状腺のホルモン不足になる(これを甲状腺機能低下症という)といわれたりする間違いがあります。そして甲状腺のホルモンの不足がどうして問題なのか説明されることがあまりありません。実際には甲状腺機能の機能が正常の場合が大半で、10年経っても甲状腺機能低下症の治療が必要になるのは1-2割ほどです。ただし甲状腺機能低下症の症状は自分では分かりにくいので、6か月か1年に1度程度の検査は必要です。甲状腺ホルモンが不足する状態が続く場合には、副作用の心配がなく、しかも安価な「甲状腺ホルモン」を飲んでいれば何ら問題はありませんし、数か月で治療がいらなくなる場合もあります。また、たまたま治療が途切れても、急に体に異常がでることはありません。
なお甲状腺の病気は、患者さんに妊娠・出産する年齢である人が多いという特徴があります。そこで私が最も力を入れて取り組んできたのは、バセドウ病や甲状腺機能低下症を持った人たちが、トラブルなく子どもを持つにはどうればよいか、という問題です。その結果、最近は、それまでの誤った知識がかなり訂正され、知識と経験がある医師が関われば、ほとんどの場合、最終的に健康な子供を持つことが可能になりました。
私は、長いこと診療を行っていた甲状腺疾患の専門病院は、患者さんの数が多過すぎて、納得できる診療が不可能となったためもあって、そこをすっかり辞め、17年前、東京都予防医学協会保健会館クリニックに甲状腺外来を開設しました。
その時々にベストとされる治療法についての知識があり、個々の患者さんに合った対応ができるということでしょうか。治療が長期にわたる場合には、それまでの経過を軽視するわけにはいきません。診療にあたって、ご本人が納得できる説明ができるかどうかも問われますね。
甲状腺の検査は、一般的な検査と比べてあまり安くありません。しかし無駄な検査が行われていることが気になります。そこで他の医療機関で無駄な検査を受けないように、検査の意義について説明し、知識を持っていただいています。
他の病気にもいえることですが、耳にする情報の何が正しくて、何が誤りか判断するのは非常に難しいでしょう。テレビで報道されたり、活字になったりしたものを鵜呑みにせず、いろいろな情報に当たってみるとこれが分かってきます。
また、ためらわずに主治医に質問してはいかがでしょう。対応が悪ければそれに対して率直に意見をしてはいかがでしょう。患者さんは医師を選ぶ自由があるのですから。因みに医師は患者さんを選んではいけないのです。
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