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丸山 哲夫 先生

不妊治療(体外受精/顕微授精)の名医
慶應義塾大学病院
産科 准教授
専門
産科全般・不妊症・不育症・生殖内分泌
掲載開始日:2016年04月12日
最終更新日:2020年04月08日

臨床実績


年間不妊治療患者数(述べ)
***

専門医資格
***

学会職位
***

学術活動


論文・学会発表数
*** 件
※件数は英語論文を含まない場合がございます

最終論文・学会発表年
*** 年

学術機関
***

出身大学
***

略歴
***

受診しやすさ


初診までの待機期間
***

医師指定受診
***

外来待ち時間
-時間程度

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丸山 哲夫先生のインタビュー

公開日:2020年03月09日
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不育症があっても出産に至る本来の力を引き出す。きめ細やかな産科医療を

丸山先生が医師を志した背景について教えてください

幼少の頃に手術を受けた経験があり、人を助ける医師に漠然とした憧れがありました。しかし、親族に医療従事者もおらず、医師という職業を神格化しているところもあったので、憧れを抱くことはあっても、私には適性がないと思い込んでいました。

中高生の頃にはオイルショックを経験し、当時日本から石油がなくなり、世の中が大変なことになるのではないかというパニックがありました。オイルショックを目の当たりにしたことで、今後の日本の未来を担うのは、凄く短絡的な発想ではありますが、原子力発電しかないと思っていました。そのため、将来は理工系に進むことを目指していました。

しかし、入試が近づいてくると、本当に向いているのだろうか、能力や適性はあるのだろうかと色々と悩むようになりました。文系に転向する訳にもいかず葛藤を抱いていた頃、母親から精神心理学の書籍を勧められました。

その時に、当時慶應義塾大学医学部精神・神経科の助教授をされていた小此木啓吾先生の書籍に大変感銘を受け、精神科医になりたいと思いました。

理工系の道も目指し励んできたものですから捨て難くもありましたが、慶應義塾大学医学部に進学しました。

産婦人科医を志望されたきっかけについて教えてください

小此木先生の書籍の影響から、医学部生の頃は精神科医になりたいと思っていました。精神科医になるためには、人間の幅を広げた方が良いだろうと思い、勉強よりも人生経験を積むことを優先させていたように思います(笑)。しかし、病院での実習が始まり、実際の医療を目の当たりにした時に精神科医になるのは甘くないと思いました。

これまでそういったことをあまり意識せず、5年間過ごしていた自分自身が、また甘いと迷い始めたところで産婦人科の実習がありました。産婦人科は、お産など患者さんにおめでとうと言える機会が多い科でもあり、前向きで非常に面白さを感じました。診療内容としても内科的な治療から外科的な治療まで携われますし、生命の誕生から死に至るまで関わることができる点など非常にダイナミックに富んでいます。学問的にも生殖医学や胎児医学、内分泌医学に加え腫瘍医学など複数の領域の学問がクロスオーバーするところが魅力的に思いました。

学生時代は産婦人科がどういうものか想像しにくいこともあり、産婦人科医になることは想像すらしていませんでしたが、今振り返ると、やはり産婦人科医になって良かったと思います。もし、生まれ変わってまた職業を選ぶならば、産婦人科医になるか、産婦人科医にならないのであれば医師以外の職業になるかと思うほどです。

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貴院の産婦人科診療の特徴について教えてください

当院の産婦人科は産科と婦人科に診療科が分かれています。特に、産科では周産期と生殖・生殖内分泌を担当していることが特徴的です。婦人科に関しては悪性腫瘍を中心とした婦人科腫瘍と女性ヘルスケアを担当しています。診療科が分かれていますが、例えば子宮内膜症や子宮筋腫は産科の生殖医療と婦人科の腫瘍医療とオーバラップしますので、そういった場合にはお互いの科の持ち味を生かしながらきめ細やかな対応を心がけています。

周産期医療では、やはり大学病院という特性から母体に合併症があるなどのハイリスクな妊娠の方が中心ですが、もちろん正常妊娠にも対応しています。いわゆる出生前診断や超音波検査にも取り組んでおり、赤ちゃんもきちんとフォローし妊娠・お産ができるような診療を行っています。

生殖医療では、リプロダクションセンターを軸にして人工受精、体外受精、顕微授精等を行っています。泌尿器科とも連携して男性不妊にも対応していますし、がん患者さんが治療後に妊娠・出産するための凍結保存した卵子や受精卵による生殖医療にも取り組んでいます。

また、当院は我が国で初めて着床前診断を行った歴史もあり、遺伝性疾患に対する着床前診断や染色体の構造異常についても診療を行っています。この他、思春期を含めた月経ホルモン外来も開設し、女性のライフサイクルに沿った一連の医療が途切れることなく総合的に提供できるようになっています。

生殖医療というと、体外受精や顕微授精など、高度生殖補助医療だけと思われがちですが、薬物治療や外科的治療なども大変重要です。当院では生殖医療の一環で子宮内膜症や子宮筋腫に対して外科的治療を要する場合にも、そのまま治療が継続できるよう私を含め生殖医療チームが腹腔鏡や子宮鏡などを用いて治療を行っています。

丸山先生のご専門や現在注力している分野について教えていただけますか

産婦人科は治療も学問的にも様々なことができるところが魅力です。私は「産婦人科のなかで何が専門ですか」と尋ねられたら、「産婦人科です」と答えられるような、産婦人科全般を診ることができる医師でいたいと思っています。

産婦人科医のなかでも重要な仕事のひとつは、お子さんが欲しいと思っている方のお手伝いをすることなので、思春期から閉経前後まで女性のライフサイクルを途切れることなくサポートすることが必要です。そのため、専門に拘ることなく患者さんにとって最適な医療を一緒に探っていく方針としています。

私の専門を一つだけ挙げるとすると、流産や死産を繰り返してしまう不育症になります。不育症の背景には様々な要因があり、妊娠してもリスクの高い妊娠になることが少なくないため、幅広い対応が求められます。例えば、先天的な子宮形態異常や子宮筋腫などによって子宮の形態が変化し、形態的・物理的異常から流産や死産を繰り返す方には、手術を行います。染色体の問題で流産を繰り返している方には、着床前診断や遺伝カウンセリングなどの遺伝学的な見地から対応します。不育症の方には妊娠しづらい方もおられますので、不妊症と不育症の両方の問題を持った方には、不妊治療もセットにして治療にあたります。

不育症というのは、想像していただけるとわかると思いますが、妊娠はしても流産を繰り返してしまうので、不妊症とは異なる辛さがあります。流産を3回も4回も経験すると、また流産するのではないかと不安を感じてしまいます。

不妊症の場合、妊娠しさえすれば、その後の出産と赤ちゃんはセットになっていると思われる傾向にあり、妊娠が最初で最大のゴールになります。一方、不育症の方は妊娠してからが勝負であり、そもそも妊娠すること自体が不安であったり、時に恐怖であったりもします。そのため、不育症の方が妊娠しても、おめでとう、とはあまり言えません。患者さんにとっては、そこからが戦いであり不安の始まりなのです。

そういった患者さんのお気持ちも踏まえ、また先に述べましたように、不育症の患者さんの妊娠はハイリスクであることが多いので、妊娠された後も、患者さんの希望があれば初期の段階だけではなく、生まれるまで診ていくことが出来る体制を整えています。

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基礎研究ではどのようなご研究をされているのでしょうか

研究に関しては、産婦人科全般、特に生殖に関連する診断や治療に貢献できるようなことを基礎・臨床の両面の様々な角度から行っています。

その中からメインテーマを挙げるならば、幹細胞と再生医療になります。婦人科疾患、生殖関連疾患を幹細胞のレベルで是正して、本来の機能を修復・回復する再生治療を目指しています。例えば、我々の研究では子宮内膜症や子宮筋腫の発生に幹細胞が関与していると考えています。幹細胞とは、組織や腫瘍が出来る際に大元になる細胞ですが、どういったメカニズムで疾患の発生や進展に関与しているのか、幹細胞が関与しているならば、幹細胞を標的にした治療方法の開発ができないかということを考えています。

先に述べたように、がんも含めた様々な腫瘍に幹細胞があるのではないかと言われています。再生能力の高い子宮の幹細胞を解明することによって、婦人科疾患だけでなく、他のがんや疾患の発生の解明につながる、ひとつの糸口となり全身に応用できる可能性もあります。

今後のご展望について教えてください

私が医師になった頃とは違って今の社会は大きく変化しています。女性の社会進出も一般的になりましたし、1億総中流という時代から格差社会に変化しています。

産婦人科はこれまでお産を中心としていましたが、時代の変化と共に不妊症に悩む人が増え、生殖医療も発展してきました。

そういった社会の変化や医学・医療を取り巻く環境を鑑みますと、私は、医学は科学であり、医療は文化だと思っています。医学は世界共通ですが、医療は国によって違います。特に、生殖医療は文化や社会と連動しています。例えば、米国を含め海外では多く行われている卵子提供は日本ではまだ難しい状況です。生殖医療にかかる費用も日本と海外では違いますし、医療というのは社会や文化の影響を強く受けていることがわかります。

そうなると医療者側は科学技術の革新を取り入れるだけでなく、社会や文化的考え方の変化にもアンテナを立てていく必要があります。今後もそういった変化に乗り遅れない様にしたいと自身も思いますし、若手医師の育成においても、専門的な知識や技術の習得のみならず、医学や医療を支える基礎研究に加えて社会文化にも積極的に興味を持って見聞を広めることが大切だと伝えていきたいですね。

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患者さんへメッセージをお願いします

当院には様々なエキスパートがいますし、知識や技術といったソフトの面だけでなく、あらゆる疾患に対応できるようなハードの面でも医療システムを整えています。

現在お子さんが欲しいと思っておられる不育症の方や不妊症の方はもちろん、まだお若い方で現在は月経痛、月経不順と言った症状や子宮内膜症、子宮筋腫などの良性疾患でお困りの方は産科、リプロダクションセンターを受診していただければと思います。将来の妊娠を見据えたきめ細かい対応をしていきますし、必要があれば婦人科と連携して診療していきます。

妊娠が成立した方に対してはローリスク、ハイリスクに関わらずご希望いただければ産科でしっかりフォローしていきます。

最後に私の専門分野の一つである不育症に関しては、流産の原因が見つかった場合も、見つからなかった場合も、妊娠から出産まで連続性のある治療を心がけたいと思います。不育症の検査は全て、当院でも行うことができます。

大学病院の制度上、紹介状があれば良いですが、身一つで受診していただいても構いません。困っていらしたら、受診してください。

編集後記

丸山先生は、目の前にいらっしゃる患者さんひとりの人生そのものを支える治療に対する深い知見や研鑽された治療技術に加え、産婦人科医療、ひいては社会や医学全般の発展に関する広いお考えをお持ちの先生です。取材では、子宮移植や最先端の基礎研究から繋がる“子宮をつくる”再生医療、今後の産婦人科の可能性についてもお伺いしました。質問させていただい際も、大変真摯に疾患や治療についてのお考えをお話しくださり、自分が患者の立場だったら、どんなに安心するだろうかと思いました。

慶應義塾大学病院の写真

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