
幼少の頃より動物や人体に興味があり、どちらか迷った際に医師になることにしました。医学部に進学してからは、研究が好きだったので基礎研究に携わりたいという思いと、医師として臨床経験も積みたいという思いの両方がありました。そして、そのどちらも両立できるリウマチ・膠原病を専門にしたいと思っていました。卒業後は初期研修からリウマチ・膠原病領域で権威のある順天堂医院で学び、日本リウマチ学会専門医・指導医を取得しました。
当院を城東地域に開業したきっかけは、主に2つあります。
1つめは、東京の中でも城東地域はただでさえリウマチ・膠原病の専門医が少ないだけでなく、生物学的製剤を用いた治療を行っているクリニックが非常に少なかったことです。
2つめは、患者さんを大きな病院に紹介するにあたっては連携病院との距離が近いことも大切だと考えていたことです。通い慣れたクリニックとは全く別の遠い場所にある病院に行く、というのは患者さんにとっては肉体的にも精神的にも負担となってしまいますので、連携病院との距離が近いことは、もし病院へご紹介することとなっても患者さんにとっても受診のしやすさにつながるのではないかと考えました。
連携病院と申し上げましたが、当院は主に順天堂医院を連携病院としております。私自身、今でも週に1度は順天堂医院で外来をしていることもあって順天堂医院とはとても密に連携をとっています。また当院も順天堂医院の医師の派遣を受け入れており、大学病院と同等の専門性の高い治療を受けることができます。
実際に通院される患者さんは、30〜40代といった比較的若い年齢でリウマチを発症された女性が多いですね。そういった年齢では妊娠や出産といった希望をお持ちの患者さんもおられるのはもちろん、早期にリウマチの治療を行い、症状をコントロールすることで妊孕性(※妊娠しやすさ)が高まるというエビデンスもあります。患者さんと相談しながらも、リウマチの活動性を確実にコントロールできるように治療を進めていきます。
また他にも、当院の特徴として患者さんが関東近郊を始め全国からいらっしゃっていることが挙げられます。例えば東京23区はもちろんのこと、関東近郊では栃木、また遠方では仙台や鹿児島から来院される患者さんもおられます。遠方からの患者さんはインターネットで当院のことを調べて来院されることが多いようですね。
これは城東地域に限らず全国的にもリウマチ・膠原病を専門として掲げているクリニックが少ないこと、生物学的製剤などの高度な治療・管理が行えるクリニックが少ないことを示していると考えています。リウマチ・膠原病の治療は日々進化しているのですが、地域によっては専門医が少なく、受けられる治療の地域差がある可能性はあるのではないかと懸念しています。
まず、リウマチとは自分の免疫が自分自身を攻撃してしまう自己免疫性疾患の1つです。そのため、薬を使って免疫のはたらきを抑えることで自分の免疫が自分自身を攻撃することを防ぐ治療を行います。これまでは、非ステロイド抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、抗リウマチ薬と免疫抑制剤といった薬が主に使われてきましたが、リウマチ・膠原病の治療は日々進化しており、2000年代に入って生物学的製剤という薬がリウマチの治療に用いられるようになりました。
この生物学的製剤の登場によってリウマチの活動性を強く抑えることができるようになってきました。生物学的製剤による治療は主に注射で行いますが、点滴をするものやお腹などに自己注射するもの、クリニックや病院で皮下注射をしてもらうものがあります。これらは病気の状態に合わせて選択します。当院では自己注射の指導も行っています。自己注射というと怖く感じることがあるかもしれませんが、今は針が見えないようになっているものもありますし、手技的にも1、2回の来院でマスターできる方が多いです。
また、最新のリウマチ治療では、JAK阻害剤という経口投与薬が使用できることとなりました。JAK阻害剤は生物学的製剤ではないのですが、生物学的製剤と同等かそれ以上の効果が見込める薬です。
このように、日進月歩で効果的な治療法が確立されてきてはいますが、治療をする前には感染症の有無などのチェックをしっかり行う必要があります。免疫を抑えるということは同時に感染症にもかかり易くなるということでもあります。特にB型、C型肝炎ウイルスを保菌している人では、免疫を抑える薬を飲むと体内にいた肝炎ウイルスが増殖し、肝炎になってしまうことがあります。他には結核にも注意が必要ですね。このように、治療においては感染症に対して細心の注意を払わなければ、リウマチの治療はできても重大な感染症を引き起こしかねないのです。
もちろん医療も患者さんも最終的には完治を目指したいですよね。その中でまずは長い期間お薬を使わなくとも、寛解している状態が続く「ドラックフリー」を目指したいですね。”寛解”ではなく”深い寛解”を目指していくと思います。また、早期治療で寛解を目指すと疾患の予後が良くなりますので、早期発見、早期治療も目指したいです。
リウマチを診断するには造影MRIやエコーなどで関節について調べ、滑膜炎が生じているかを確認するとともに、触診や採血やレントゲンなど様々な検査やデータが必要です。しかし、なかには血液検査(血清反応)の結果と関節が痛いという症状だけでリウマチだと診断をつけてしまうこともあるようです。
先ほども述べましたが、リウマチの治療は免疫を抑える薬を使用するので、安易に治療を開始してよいというものではありません。もしも今現在リウマチ・膠原病で病院にかかっていて、治療方針などに懸念がありましたら、セカンドオピニオンなどを活用して別の医師の意見を聞いてみることをおすすめします。また、状態が悪くなった場合どの病院に入院するかを日頃から決めておくことも大切です。
患者さんの病気を治すことです。寄り添う気持ちも大切ですが、医師としては病気を治す医師が名医だと思います。
リウマチは長い期間の治療になることもありますが、その中で患者さん自身が治療の継続が辛くなってしまうこともあります。そんなときには当院で患者さんを暖かく迎え、寛解を目指して共に歩んでいきたいと思いますね。
度々にはなりますが、リウマチ・膠原病の治療の進化はめざましいです。当院ではリウマチや膠原病に関する動画も配信していまして、新しく、正しい知識を患者さんにお伝えしていくことは大切だと思っています。
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