
私は子どもの頃、からだが弱く、よく医者にかかっていました。今となっては、先生は親切心で病状を端的に説明してくれていたのだろうと振り返ることもできますが、子どもの頃は先生の一言が突き刺さることもありました。それもあって、「自分の体験を糧に、患者さんに共感できる医師になりたい」と思い、今に至ります。
医師と患者さんの間で交わされる言葉はそれほど多くはないですが、医師の発する一言は患者さんにとって良くも悪くもとてつもなく大きい影響力を持つと思うのです。流れるように忙しい日々の中でも、患者さんがどう受け止めるか、真剣に考えながら診療にあたりたいですね。
開業以前に腎不全の透析療法に携わっていた経緯があり、腎機能低下と密接に関連する生活習慣病についても診てきた経験があることから、当院は内科も標榜しております。ですから、糖尿病をはじめ、高血圧、高尿酸血症、脂質代謝異常などの内科疾患で受診される患者さんも多くいらっしゃり、泌尿器科のご病気と内科のご病気でいらっしゃる方は半々といったところでしょうか。
泌尿器科のご相談で来られる方は男性であれば、頻尿や尿が出にくいなどの排尿障害や尿路結石といったお悩みで来られる方が多いですし、昭和大学藤が丘病院でEDを専門的に治療されていた佐々木春明先生に師事していた経緯もあるので、ED(勃起不全)や不妊症のご相談で来られる方も多くいらっしゃいます。女性の場合、頻尿や尿もれなどの症状がみられる過活動膀胱のご相談や膀胱炎といったお悩みで来られる方が多いです。幸い、腎・泌尿器科に高度に専門化しているみはま病院や近隣の総合病院からの信頼も得ることができました。そのため、内科と泌尿器科で複数のご病気をお持ちの患者さんで、外来通院先として当院を紹介される方もいらっしゃいます。
その他にも睡眠時無呼吸症候群でCPAP(※睡眠時にマスクを装着し、空気を送り込むことで無呼吸を解消する治療法)による治療のために当院を受診される方もいらっしゃいます。と言うのは、排尿障害の原因は非常に多岐にわたり、睡眠の質を低下させる睡眠時無呼吸症候群が夜間頻尿の間接的な原因になっていることも少なくはないのです。睡眠時無呼吸症候群はちょうど働き盛りの年代に多く見られますので、この地域で比較的遅くまで診療を行っており、帰宅がてら通院できる当院がお役に立てているのだと思います。
男性の排尿障害の原因としては前立腺の肥大が多いのですが、過活動膀胱を合併していることも非常に多いですし、糖尿病の合併症や脳梗塞などによって排尿に関する神経が障害されていることもあり、病態は単純ではありません。既往歴の確認やI-PSS(国際前立腺症状スコア)などの問診による前立腺症状の評価票やエコー検査の所見、内服しているお薬などを総合的に評価し診断することを大切にしています。
治療では、患者さんの年齢や生活を考慮した薬の選定を心がけています。軽症から中等症程度の男性の排尿障害の治療は、前立腺を縮小させる効果をもつα1遮断薬と呼ばれる種類の薬剤が治療の第一選択となりますが、薬によっては治療効果が優れている一方で、射精時に精液が膀胱の方に逆流してしまう逆行性射精障害が高頻度でみられます。比較的お若い患者さんの場合、症状を改善する効果が多少劣る代わりに射精障害が起きにくい薬を処方するなど、治療効果の担保と患者さんの生活の質のバランスを取るように配慮しています。
EDがある場合、陰茎に流入する血流量を増加させるお薬を試していただき、症状の改善を図ります。男性側に原因のある不妊症の場合、心身のストレスや喫煙などが原因になっていることも多いです。特に喫煙は精子の運動率を低下させてしまうので、患者さんには禁煙をおすすめしています。また、亜鉛が不足しても精子の運動率は低下してしまうので、血液検査で亜鉛が不足していないかを調べ、場合によっては亜鉛の内服を行います。
不妊治療で受診される方は、ご夫婦ですでに不妊治療クリニックにかかっていらっしゃることも多いですから、不妊治療クリニックでの治療計画を伺い、適切な時期に検査や治療を組み込んでいけるようにしております。不妊症は受診にあまり気が進まない気持ちもあるかもしれませんが、お気軽にご相談して頂ければと思っております。
より専門的な検査や治療が必要な時には時期を逃さず、適切な受診先を紹介するよう心がけています。当院では、前立腺の組織を評価する前立腺生検やCT、MRIといった画像検査など高度な設備の必要な検査はできないので、精密検査が必要な時には設備が整っている総合病院にご紹介しています。また、内科を標榜していることもあり、お腹の症状で受診される患者さんもいらっしゃいますが、問診した上で胃カメラや大腸カメラなど他科の専門的な検査が必要な症例については、他のクリニックに紹介しています。
一方で、せっかく当院を頼って受診して下さったにもかかわらず、当院で検査や治療ができないことにもどかしさも感じることもあります。特に、血尿で受診された方のなかには膀胱がんなどの重篤なご病気が隠れていることもあり、膀胱鏡検査によって膀胱を直視すること重要となります。これまでは膀胱鏡検査は大きな機器が必要となるため当院には導入できず、近隣の病院を紹介しておりましたが、最近、ようやくコンパクトな膀胱鏡が発売され、導入することができました。今後は他院から紹介された膀胱がんの患者さんの経過のフォローなど、患者さんのお役に立てる幅をより広げていきたいと思っています。
当院には内科を受診してもなかなか症状が改善せず、いよいよ追い詰められた頃にようやく受診される患者さんも少なからずいらっしゃいます。お薬によって排尿障害が悪化してしまった患者さんも、適切な抗生物質が処方されずに膀胱炎が悪化してしまった患者さんも、最初から泌尿器科を受診して頂いていたら、辛い症状を長引かせずに済んだかと思います。泌尿器科は受診をためらってしまうこともあるのかと思いますが、早く受診した方が病気も早く治ることが多いです。腎臓や泌尿器の症状でお困りの方は、すぐに受診して頂ければと思います。
また、地域のプライマリケアを担うかかりつけ医として、色々な悩みに耳を傾けていきたいと思っています。病院などで複数の診療科を受診されている際に“受診先の交通整理”をすることも、かかりつけ医の大事な仕事だと思っています。他の専門医による診察が必要であれば責任をもって紹介しますし、当院で可能な治療や検査であれば責任を持って診させて頂きますから、何かお困りのことがあればお気軽に受診なさって下さい。
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